この記事の3行まとめ
- 住民の高齢化が招く、なり手不足
- 要件緩和と第三者管理方式を比較検討
- 早めの着手で防ぐ、積立金滞納
マンション管理の現場では、住民の高齢化が理事のなり手不足を招いています。
「まだ先の話」と考えて対策を先延ばしにすると、修繕積立金の滞納や総会の機能停止につながりかねません。
本記事では、高齢化が管理組合に与える影響と、今から検討できる対策を紹介します。
読み終える頃には、次の理事会で提案できる具体案が見えてきます。
マンション高齢化が招く実務リスクと今すぐできる対策

マンションの高齢化は、住民の入れ替わりが少ないまま年数だけが経過することで進みます。
国土交通省の調査では、居住者のうち60歳以上の割合が過半数に達しており、この傾向は今後も強まる見込みです。
高齢化が進むと、理事会の担い手が不足するだけでなく、修繕積立金の滞納や住民間の話し合いの遅れも起こりやすくなります。
築年数の浅いマンションであっても、いずれ同じ課題に直面する可能性は否定できません。
ここでは高齢化の実態を数字で確認したうえで、なり手不足への具体的な対策を順に見ていきましょう。
住民の高齢化はどこまで進んでいるか
マンションの住民は、想像以上に高齢化が進んでいます。
国土交通省の令和5年度マンション総合調査によると、世帯主の年齢は60歳代が27.8%でした。70歳以上も25.9%にのぼり、両者を合わせると過半数を占める結果となっています。
築年数の古いマンションほどこの傾向は顕著で、昭和59年以前に完成した建物では70歳以上の割合が55.9%に達しました。
築40年を超えるマンションでは、住民の半数以上がすでに高齢者ということになります。新築時に30代だった住民も、40年後には70代を迎えており、これは特定のマンションだけの問題ではありません。
この状況を放置すると、次に説明するなり手不足がさらに深刻化していく恐れがあります。
高齢化が引き起こすなり手不足と積立金滞納
住民の高齢化は、管理組合の運営に複数の影響を及ぼします。
特に深刻なのが、次の3つの問題です。
- 理事のなり手が不足し、同じ人が輪番で何度も引き受ける状態になる
- 高齢を理由に役員就任を断る住民が一定数存在し、国土交通省の調査でも主要な辞退理由として挙げられている
- 施設への入所や相続の発生により空き家が増え、修繕積立金の滞納につながる
どれか一つの要因ではなく、複数の問題が重なりながら進行していく点に注意が必要です。
たとえば理事のなり手不足が続くと、同じ住民に負担が集中し、不公平感からさらに引き受け手が減るという悪循環も起こります。
なり手不足への対策|要件緩和と第三者管理方式の比較
なり手不足への対策には、大きく分けて2つの方向性があります。
役員就任の要件を緩和する方法と、外部の専門家に運営を任せる第三者管理方式です。
それぞれの特徴を比較すると、次の表のように整理できます。
| 対策 | 内容 | メリット | デメリット |
| 要件緩和 | マンション所有者の子世帯やオンライン参加者にも理事就任を認める | 費用をかけずに担い手を増やせる | 規約改正には総会決議が必要になる |
| 第三者管理方式 | マンション管理士などの専門家が理事会運営を担う | 高齢化が進んでも運営が止まらない | 委託費用が発生し、利益相反への注意も必要になる |
たとえば要件緩和の場合、マンションに住んでいない子世帯や単身赴任中の世帯主も対象に含めます。
オンラインで理事会に参加できる仕組みを整えれば、就任のハードルはさらに下がるでしょう。
第三者管理方式は費用がかかりますが、高齢化がどれだけ進んでも運営が止まらない安心感が魅力です。すでに管理費を滞納する住戸が増えている管理組合ほど、導入を急ぐ価値があります。
費用を抑えたい場合は要件緩和から着手し、それでも担い手が確保できない場合に第三者管理方式を検討する順序をおすすめします。
どちらを選ぶにしても、住民全体への丁寧な説明と住民間での話し合いが欠かせません。
よくある質問|マンション管理と高齢化に関する疑問を解決
Q.マンション管理組合の役員のなり手不足はどう解決すればいいですか
A.役員就任の要件緩和から始めるのが現実的です。マンション所有者の子世帯やオンライン参加者にも門戸を広げることで、費用をかけずに担い手を増やせます。それでも不足する場合は第三者管理方式の導入を検討しましょう。
Q.空室が増えた場合、修繕積立金はどうなりますか
A.空き家が増えると、管理費や修繕積立金の徴収が滞りやすくなります。相続人が不明な場合は請求自体が難しくなるため、早期に組合員名簿を整備し、連絡先を把握しておくことが重要です。
Q.第三者管理方式を導入するデメリットはありますか
A.専門家への委託費用が発生する点に加え、管理会社が管理者を兼ねる場合は利益相反のリスクがあります。契約前に業務範囲と費用を明確にし、複数の候補を比較しながら選ぶことをおすすめします。
まとめ|高齢化対策は「気づいた今」から始める

マンションの高齢化は、住民の入れ替わりが少ない建物ほど静かに進行していきます。
気づいたときにはすでに理事のなり手が不足し、修繕積立金の滞納も始まっているケースが少なくありません。
一つのマンションだけの特別な事情ではなく、多くの管理組合が同じ道をたどっています。
今回紹介した要件緩和と第三者管理方式は、どちらも今日から検討を始められる選択肢です。まずは次の理事会で、住民の年齢構成と役員辞退の理由を共有することから始めてみましょう。
現状を数字で示すだけでも、住民の当事者意識は大きく変わります。
小さな一歩の積み重ねが、10年後のマンションの資産価値を守ることにつながります。