この記事の3行まとめ
- 減価償却費=建物価格÷償却期間
- 中古は残存耐用年数で期間が変わる
- 按分方法で節税額が大きく変わる
マンション投資の減価償却費、自分で計算できるでしょうか。「不動産会社に節税になると言われたけれど、具体的にいくら経費にできるのかわからない」という声は少なくありません。
実は、減価償却費の計算で必要な要素は「建物価格」「構造」「築年数」の3つだけです。この記事では、マンション投資に多いRC造(鉄筋コンクリート造)を例に、新築・中古それぞれの計算手順を具体的な数字で解説します。
読み終えるころには、物件情報を見ただけで年間の減価償却費を自分で試算できるようになるでしょう。
マンション投資の減価償却費はこう計算する

マンション投資で確定申告をするとき、減価償却費は経費として計上できる金額の中でも大きな割合を占めます。減価償却費とは、建物の取得費用を法定耐用年数にわたって分割し、毎年の経費に計上する仕組みです。
実際の支出を伴わずに経費にできるため、正しく計算すれば所得税や住民税の負担を抑えられます。ここでは計算に必要な要素から具体的なシミュレーションまで、順を追って解説していきます。
計算に必要な3つの要素を確認しよう
減価償却費の計算式は、次のとおりです。
減価償却費=建物価格×定額法の償却率
この計算式を使うには、以下の3つの要素をそろえる必要があります。
- 建物価格:物件の購入総額から土地代を差し引いた金額
- 建物の構造:RC造・鉄骨造・木造など(構造で法定耐用年数が決まる)
- 築年数:中古物件の場合、残存耐用年数の計算に使用する
マンション投資で扱う物件の多くはRC造です。RC造の住宅用建物の法定耐用年数は47年、定額法の償却率は0.022と国税庁が定めています。なお、土地は経年で価値が下がらないため、減価償却の対象外です。
新築・中古別|耐用年数と計算式の違い
新築マンションを購入した場合、法定耐用年数の47年がそのまま減価償却期間になります。一方、中古マンションでは「残存耐用年数」を計算しなければなりません。
築年数が法定耐用年数の一部を経過している場合は、次の式で求めます。
残存耐用年数=(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%
築年数が法定耐用年数を超えている場合は、さらに短くなります。
残存耐用年数=法定耐用年数×20%
以下の表は、RC造マンションの築年数別に残存耐用年数と償却率をまとめたものです。
| 築年数 | 残存耐用年数 | 償却率 |
| 新築 | 47年 | 0.022 |
| 築10年 | 39年 | 0.026 |
| 築20年 | 31年 | 0.033 |
| 築30年 | 23年 | 0.044 |
| 築47年超 | 9年 | 0.112 |
築年数が古いほど償却期間が短くなり、1年あたりの減価償却費は大きくなります。ただし、短期間で償却が終わると、その後は経費に計上できなくなる点に注意が必要です。
RC造マンションで実際にシミュレーション
ここでは、築15年のRC造マンションを3,000万円(土地1,200万円・建物1,800万円)で購入したケースで計算してみましょう。
まず残存耐用年数を求めます。
(47年−15年)+15年×20%=32年+3年=35年
次に、耐用年数35年に対応する定額法の償却率は0.029です。
減価償却費=1,800万円×0.029=52.2万円/年
年間約52万円を、35年間にわたって経費に計上できる計算になります。たとえば給与所得が700万円の会社員であれば、不動産所得との損益通算で課税所得を圧縮でき、所得税・住民税あわせて年間10万円以上の負担軽減につながるケースもあります。
計算前に押さえたい|土地と建物の価格を分ける2つの方法

減価償却費の計算で見落としがちなのが、建物価格の特定です。マンションの売買では「総額○万円」で取引が進むため、土地と建物の内訳を把握していないケースも多くあります。
建物価格を大きく設定できれば減価償却費も増えるため、按分方法の選び方は節税効果に直結します。ここでは代表的な2つの方法を紹介します。
売買契約書で確認する
もっとも確実な方法は、売買契約書に記載された土地・建物の内訳をそのまま使う方法です。契約書に金額が明記されていれば、原則としてその金額が減価償却の基礎になります。
契約書に内訳がない場合は、消費税額から逆算する方法も使えます。土地は非課税なので、消費税は建物価格にのみ課されています。「消費税額÷消費税率=建物価格」として算出し、総額から差し引いた残りが土地価格です。
物件を購入する際には、売主と交渉して建物価格の比率を契約書に明記してもらうのが望ましいでしょう。
固定資産税評価額で按分する
契約書に内訳がなく消費税額も不明な場合は、固定資産税評価額を基準に按分する方法を用います。市区町村が発行する「評価証明書」や「公課証明書」で、土地と建物それぞれの評価額を確認できます。
たとえば、土地の評価額が1,500万円、建物の評価額が1,000万円の物件を3,000万円で購入した場合の計算は次のとおりです。
建物価格=3,000万円×(1,000万円÷2,500万円)=1,200万円
ただし、固定資産税評価額による按分は建物価格が小さくなりやすい傾向があります。節税効果を重視するのであれば、契約書への明記を優先的に検討しましょう。
まとめ|減価償却の計算を味方につけて投資判断の精度を上げよう

マンション投資の減価償却費は「建物価格×償却率」で求められ、中古物件では残存耐用年数の計算がポイントです。築年数による償却期間の違いや、土地・建物の按分方法によって年間の経費計上額は大きく変動します。
物件を検討する段階で減価償却費を自分で試算できれば、営業担当の説明をうのみにせず、手取りベースでの収支を判断できるようになります。気になる物件が出てきたら、本記事の計算手順に当てはめてシミュレーションしてみましょう。