この記事の3行まとめ
- 課税所得900万円が損得の分岐点
- 所得分散と経費拡大で手残りが増える
- 維持コストを考慮した実質利益で判断
マンション投資で利益が出始めると、所得税の負担が重くなり、資産形成の効率が落ちていると感じることがあります。特に本業の所得が高い方は、不動産所得が合算されることで税率が上がるため、法人化の検討が不可欠です。
しかし、法人化には設立費用や社会保険料などの維持コストも伴います。本記事では、法人化の5つのメリットと、損得を分ける判断基準を解説します。この記事を読めば、あなたが今法人化すべきか、その明確な基準が分かるでしょう。
マンション投資の法人化で得られる「5つの主要なメリット」

マンション投資における法人化は、資産形成を加速させるための戦略的な方法です。法人の器を活用することで、個人の限界を超えた税制上の利点を活かすことができます。
特に高所得層にとっては、手残りの現金を増やすための選択肢となるでしょう。ここでは、法人化によって得られる具体的なメリットを5つ解説します。
①所得税と法人税の「税率差」を利用して手残りを増やす
個人の収入が増えるほど税金が高くなる仕組みと、法人の安定した税率を比較することで、資産形成の効率性は明確になります。両者の税負担の違いは以下の通りです。
| 比較項目 | 個人(所得税・住民税) | 法人(実効税率) |
| 適用される税率 | 最大55% | 約23%~33.5% |
| 税負担の性質 | 所得に応じて負担が急増 | 一定利益以上で個人より低負担 |
| 恩恵の受けやすさ | 低中所得層向け | 高所得層・事業拡大層向け |
給与所得が高い方ほど、不動産から出る利益を法人の収入として分けるメリットは大きくなります。税率差を活かして法人側に効率よく資金を留めることで、再投資に回せる現金をより速く増やすことが可能です。
②役員報酬の活用による「所得分散」で世帯の税負担を軽減
法人化により、家族を役員にして報酬を支払うことが可能です。所得を分散させれば、世帯全体の適用税率を下げられます。
家族も給与所得控除を受けられるため、手残りは効率よく増えるでしょう。所得を一人に集中させるより、速いスピードで資産を築けます。
③「経費の範囲」を広げて効率的な資産運用を促進する
個人事業主に比べ、法人の方が経費として認められる範囲が広いのが特徴です。主要な項目の違いをまとめると、以下のようになります。
| 経費項目 | 個人事業主 | 法人(資産管理会社) |
| 役員報酬 | 不可 | 認められる |
| 出張日当 | 不可 | 日当の支給が可能 |
| 生命保険料 | 最大12万円控除 | 法人契約で経費化が可能 |
| 社宅活用 | 自宅の一部のみ | 賃貸物件を社宅として活用可能 |
| 赤字の繰越 | 3年間 | 10年間 |
法人は個人では認められない多くの支出を事業経費として計上できます。これらを適切に運用することで課税所得を少なくし、より多くの資金を次なる投資に回せるようになります。
④赤字を10年間繰り越せる「欠損金」で将来の利益と相殺
大規模修繕などで大きな赤字が出た際、法人は10年間にわたり欠損金を繰り越せます。この長期の繰越期間は、長期的な投資計画において大きな強みとなります。
将来の利益と過去の赤字を相殺し続けることで、長期間にわたる納税額の抑制が可能です。支出が重なる時期でも、手元に残る現金の推移を安定させることができます。
⑤法人の仕組みを活用した「相続税対策」と円滑な資産承継
マンション投資不動産を個人で持ち続けるよりも、法人で所有する方が相続に向けた備えがスムーズです。株式の生前贈与を活用すれば、建物を分け合うことなく実質的な承継を進められます。
家族への報酬支払いは将来の納税資金準備にも繋がり、早期に会社組織を構築することで柔軟な資産防衛が可能になります。
「今すぐ法人化すべきか」を見極める3つの判断基準と注意点

すべてのケースで今すぐ法人化すること正解とは限りません。設立・維持にはコストがかかるため、リターンとのバランスを冷静に見極める必要があります。
ここでは、合理的な判断を行うための3つの重要な基準を解説します。
課税所得「900万円」を超えているかという損得の分岐点
法人化の一般的な目安は、個人所得の合計が900万円を超えるタイミングです。所得税率は900万円を超えると23%から33%へ上がります。
法人の税率と逆転するこのラインが、法人成り検討の分岐点と言えます。まずはご自身の確定申告書で課税所得の合計を確認し、このラインに達しているかをチェックしてください。
物件の追加購入や「事業規模の拡大」を予定しているか
今後の投資計画も重要な要素です。以下の条件に当てはまるなら、早期の法人化を検討すべきです。
- 5年以内に1棟物件や複数の区分マンションを追加購入する予定がある
- 不動産収益のみでの早期リタイアを目指している
- 家族への資産承継を前提とした長期運用を計画している
法人として実績を積むことで金融機関の信用が高まり、融資条件が有利になる可能性が高まるためです。
コストと社会保険料の負担が「節税額」を上回らないか
法人化すると、赤字でも毎年約7万円の法人住民税が発生します。また、役員報酬を支払う場合は社会保険料の負担もかかります。
- 法人住民税:約7万円
- 税理士顧問料:年間20〜50万円程度
- 社会保険料の会社負担分
これらの維持コストと、法人化による節税額を天秤にかけ、実質的な手残りが増えるかを確認することが大切です。
まとめ|法人化は「現在の所得」と「将来の規模」から総合的に判断する

マンション投資の法人化は、高所得者にとって資産形成を加速させる有効な手段です。課税所得900万円という明確な分岐点に加え、所得分散や経費枠の拡大といった法人ならではの強みを活かすことで、世帯全体の手残りを着実に増やすことが可能となります。
ただし、設立費用や社会保険料といった維持コストを上回る節税効果があるかを、実質的な手元に残る現金を確認して冷静に判断することが大切です。まずはご自身の収支状況を可視化し、信頼できる税務の専門家に詳細な試算を依頼することをお勧めします。
あなたの投資ステージに合わせた適切なタイミングでの法人化こそが、揺るぎない資産基盤を築き、将来の自由を手にするための第一歩となるでしょう。