不動産所得の確定申告は、会社員の年末調整とはまったく別物です。
減価償却、修繕費、借入金の処理など、判断が分かれる項目が多く、一つのミスで数十万〜100万円単位の差が生まれることも珍しくありません。
とくにマンションオーナーの場合、申告内容の金額が大きいため、わずかな誤りが大きな損失や追徴課税につながります。
本記事では、金額インパクトの大きい致命的ミスに絞って解説します。
この記事の3行まとめ
- 減価償却や修繕費の判定ミスが数十万〜100万円単位の損失につながる可能性がある
- 耐用年数の誤りや資本的支出の誤判定、青色申告特別控除の要件未達は注意が必要
- 「正しく申告できているか」を確認することが、安定した不動産経営の土台になる
この記事を読んで、確定申告のミスを防ぎましょう。
なぜ不動産オーナーは確定申告でミスが起きやすいのか

不動産所得の計算は、「家賃収入 − 必要経費」というシンプルな構造に見えます。
しかし実際は、減価償却や借入金利息、修繕費と資本的支出の判定など、専門的な知識が必要です。
さらに、税務上はグレーゾーンとされる点も多く、処理の仕方によって税額が大きく変わります。
税理士に依頼していても、資料不足や認識のズレによってミスが起きることもあります。
だからこそ、自分でも基本的なポイントを理解しておくことが大切です。
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金額インパクトが大きい致命的ミス5選

マンションオーナーの確定申告で特に注意したいのは、少しの判断ミスが大きな税額差につながる項目です。
ここでは、実務上インパクトの大きい代表的なミスを5つに絞って解説します。
減価償却の計算ミス
最も影響が大きいのが減価償却の誤りです。
- 中古物件の耐用年数を誤っている
- 建物と土地の割合を適当に決めている
- 設備を建物と分けていない
たとえば建物割合を10%誤るだけで、償却費が年間数十万円単位で変わることがあります。
これが10年続けば、数百万円の差です。
中古耐用年数の計算を誤れば、償却期間そのものが変わり、税額にも大きく影響します。
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修繕費と資本的支出の誤判定
税務調査で最も指摘されやすいのがこの論点です。
原状回復であれば修繕費として一括経費にできますが、価値向上や耐用年数延長に該当すれば資本的支出となり、減価償却扱いになります。
例えば、100万円の工事を修繕費として計上し否認された場合、一括経費が認められず、追徴課税が発生する可能性があります。
ここは「節税できるから」と安易に判断せず、根拠を整理しておく必要があります。
ローン返済の処理ミス
初心者オーナーに多いのが、ローン元本を経費にしてしまう誤りです。
ローン返済のうち、経費になるのは利息部分のみです。
これを誤ると、過大な経費計上となり、後から修正申告の対象になる可能性があります。
帳簿上は、利息と元本を明確に区分することが基本です。金融機関の返済予定表をもとに、毎月の処理を確認しましょう。
空室期間の経費を計上していない
意外と多いのが、空室だから経費にできないと誤解しているケースです。
入居者がいなくても、賃貸を継続する意思があり、募集活動をしている場合は必要経費として計上できます。
固定資産税や管理費、減価償却費などは、原則として経費になります。
この誤解により、本来差し引けるはずの経費を申告せず、余計な税金を払っているケースも少なくありません。
青色申告特別控除の要件未達
青色申告特別控除(最大65万円)は、節税効果が非常に大きい制度です。
しかし、下記の状態では控除要件を満たさないため、控除額が減額されたり、適用できなかったりします。
- 複式簿記で記帳していない
- 貸借対照表を作成していない
- 電子申告をしていない
65万円の控除が使えないと、税率30%の場合で約20万円の差が出ます。
毎年積み重なれば大きな損失です。
税務調査で実際に見られるポイント

税務調査では、主に次のようなポイントが見られます。
- 修繕費と資本的支出の区分
- 減価償却の計算根拠
- 家事按分の妥当性
- 家族への給与の適正性
修繕費については、工事内容が原状回復なのか、資産価値を高めるものなのかが確認されます。
減価償却では、耐用年数や建物割合の算定根拠が求められることがあります。
また、自宅兼事務所などの場合の家事按分や、家族に支払う給与が実態に見合っているかどうかも重要なポイントです。
共通しているのは、「なぜその処理をしたのかを説明できるかどうか」です。
領収書や契約書、計算メモなどを整理しておくことが、余計な指摘やトラブルを防ぐための基本対策となります。
提出前に確認すべきチェックリスト

確定申告は、一度提出すると修正に手間がかかります。
だからこそ、提出前の最終確認が重要です。
特にマンションオーナーの場合、金額が大きい項目を中心にチェックするだけでも、重大なミスを防ぐことができます。
申告前に、次の点を確認しましょう。
- 減価償却の耐用年数は正しいか
- 建物と土地の割合に客観的な根拠があるか
- 修繕費は資本的支出に該当していないか
- ローンの元本返済を経費に含めていないか
- 青色申告特別控除65万円の要件を満たしているか
とくに、減価償却と修繕費の処理は、根拠資料まで含めて見直しておくと安心です。
確定申告は正しく申請することが大切

マンションオーナーの確定申告は、金額が大きい分、ミスの影響も大きくなります。
とくに、減価償却と修繕費の判断は、数十万円単位の差につながります。
節税を意識する前に、まずは正しく処理できているかを確認することが大切です。
正確な申告ができてこそ、本当の意味で安定した不動産経営が実現します。