入居入居希望者から申込書が届くと、「この人は本当に大丈夫だろうか」と不安になることは珍しいことではありません。
とはいえ、入居審査は入居者を厳しく選別するためのものでなく、賃貸経営全体のリスクを適切に管理することにあります。
この記事の3行まとめ
- 入居審査は選別ではなく、家賃滞納やトラブルを防ぐためのリスク管理
- 印象ではなく、申込内容・書類・保証内容など客観的な情報で判断する
- 迷う場合は無理に決めず、管理会社や保証会社と連携して進める
この記事では、入居審査の基本的な仕組みやチェックポイント、判断で迷ったときの考え方まで、オーナー目線で分かりやすく整理していきます。
入居審査の流れ|誰がどう関わる?

入居審査には、仲介会社・保証会社・管理会社(オーナー)と、いくつかの段階的がます。
ここでは、それぞれがどんな役割を担っているのかを整理しておきましょう。
不動産会社(一次チェック)
ままず最初に確認するのは、仲介会社です。
申込書をもとに、以下の基本情報をチェックします。
- 収入や勤務先
- 家族構成
- 希望条件
- 緊急連絡先
この段階で、情報に矛盾がある、条件に明らかに合っていないなどの違和感があれば、申込段階でストップすることもあります。
保証会社(支払い能力のチェック)
次に、保証会社による審査が行われます。
内容としては、クレジット審査に近いイメージです。
- 家賃の支払い能力
- 過去の滞納履歴
- 借入状況
- 本人確認
総合的に評価して、「継続的に家賃が払える人かどうか」を判断します。
ここで審査が通らなかった場合、基本的には契約は進められません。
滞納リスクを減らす方法|家賃保証会社の活用とオーナーの注意点
管理会社・オーナー(最終判断)
保証会社の審査が通っていても、それだけで「必ずOK」というわけではありません。
最終的には、物件との相性や近隣住民との関係性、トラブルの可能性などを踏まえ、管理会社やオーナーが総合的に判断します。
下記に当てはまる場合、慎重に検討する必要があります。
- 極端に騒音リスクが高そう
- ルールに無頓着な印象が強い
- これまでのやり取りで不安が残る
審査で確認する主な項目

入居審査では、いくつかのポイントを総合的に確認します。
ここでは代表的な項目を紹介します。
収入と家賃負担率
まず重視されるのが、収入に対する家賃の割合です。
一般的な目安は、家賃=手取り収入の30%前後といわれています。
これを超えてくると、生活費や突発的な出費が重なった際に、家賃滞納のリスクが高まりやすくなります。
勤務先・雇用形態・勤務年数
同じ年収でも、といった雇用形態によって、収入の安定性は変わります。
また、勤続年数が短すぎる場合は、転職直後で不安定なケースもあるため、慎重に確認することが重要です。
過去の滞納履歴
保証会社を通じて、過去の家賃滞納履歴が確認できる場合があります。
一度だけの遅延であれば事情によって考慮できますが、繰り返し滞納がある場合 は、将来的なリスクが高いと見て、慎重な判断が求められます。
連帯保証人・保証会社
誰が家賃の支払いを最終的に担保してくれるのか、という視点も重要です。
- 保証会社の審査に通っているか
- 連帯保証人が適切か
この体制がしっかりしているほど、万が一の際のリスクは小さくなります。
入居人数・生活スタイル
同じ部屋でも、過度に人数が多い場合や生活時間帯が深夜中心の世帯、騒音が発生しやすい職業・ライフスタイルの場合には、近隣トラブルの可能性 が高くなることがあります。
設備への負担や騒音リスクを考慮し、物件との相性を見極めることが大切です。
審査で「迷うケース」と判断の考え方

入居審査では、数字だけでは判断しきれない「グレーゾーン」のケースも少なくありません。
ここでは、迷いやすい例と、考え方のポイントを紹介します。
収入は低いが安定している
年収そのものは高くなくても、公務員や継続年数が長く、収入が安定している場合は、滞納リスクが必ずしも高いとは限りません。
家賃負担率だけでなく、安定性や生活状況まで含めて判断することが大切です。
転職直後・フリーランス
転職したばかり、またはフリーランスの場合、収入証明が十分に提出できないことがよくあります。
その場合は、下記のポイントをチェックして、リスクを分散できるかどうか確認しましょう。
- 預貯金の残高証明
- 追加保証(保証会社の上乗せなど)
- 親族の連帯保証人
「収入が不安定=即NG」ではなく、補える仕組みがあれば前向きに検討できます。
外国籍・留学生
外国籍や留学生の場合は、サポート体制の有無 が非常に重要です。
日本語でのやり取りができるか、連絡先が明確か、受け入れ可能な保証会社はあるのかを確認しましょう。
支援団体や学校、勤務先のサポートがある場合は、安心材料になります。
高齢単身者
高齢の一人暮らしでは、緊急連絡先や見守りサービスの有無、体調面を考慮した審査が必要です。
医療面や緊急対応の体制が整っていれば、無理に敬遠する必要はありません。
審査で落とすときに注意したいこと

入居審査では、どうしても「お断り」せざるを得ないケースが出てきます。
とはいえ、対応を誤るとクレームやトラブル、さらには法的リスクにつながることもあるため、判断や伝え方で気をつけたいポイントを整理しておきましょう。
主観ではなく「基準」で判断
まず意識しておきたいのは、主観ではなく基準で判断するということです。
見た目や第一印象、なんとなくの不安感といった曖昧な理由で判断するとトラブルに発展しやすくなります。
家賃負担率や収入の安定性、保証会社・連帯保証人の有無、周辺環境との相性といった、あらかじめ決めている審査基準に照らして、客観的に判断することが重要です。
理由は伝えすぎない
不審査で落とした理由を詳しく説明しすぎないこともポイントです。
具体的な理由を細かく伝えると、不当拒否だと主張されたり、言い方によっては差別的発言と受け止められたりする可能性があります。
基本的には、「総合的な判断により、今回は見送りとさせていただきます」といった表現に留めるのが無難です。
審査基準は社内で共有しつつ、対外的には必要以上に踏み込まないようにしましょう。
差別・不当拒否にならないために
差別・不当拒否と誤解されないよう、国籍や家族構成、職業、性別、年齢などの属性だけで判断することは避けなければなりません。
これらはあくまで参考情報であり、決定的な理由にはなりません。
最終的には、家賃の支払い能力やルールを守れるかどうか、建物や周辺環境との相性といった客観的な観点から、冷静に判断していくことが大切です。
滞納・トラブルを防ぐための仕組み化

入居審査は、仕組みとして整えておくことで、滞納やトラブルの発生率を大きく下げることができます。
ここでは、オーナー目線で押さえておきたい仕組み化のポイントを紹介します。
家賃保証会社の選び方
まず重要なのが、どの家賃保証会社と提携するかです。
保証料の安さだけで選ぶのではなく、下記のポイントを確認しておきましょう。
- 審査基準が適切か
- 代位弁済(滞納時の立替)のタイミングはいつか
- 退去や回収までのフローが明確か
入居申込書・ヒアリングの標準化
次に大切なのは、情報の集め方を標準化することです。
担当者によって判断が変わると、トラブルの原因になります。
同じ申込書式・同じヒアリング項目を使い、誰が見ても同じ基準で判断できる体制 を作ることがポイントです。
審査基準は定期的に見直す
一度作った審査基準も、永久に使えるわけではありません。
入居者のライフスタイルや働き方は変化していきます。
こうした変化に合わせて、今の基準は現実に即しているか?を定期的に見直していくことが大切です。
審査は断るためではなく物件を守るために行う

入居審査は、入居希望者を選別したり、排除したりするためのものではありません。
目的はあくまで、賃貸経営におけるリスクをできるだけ小さくし、安心して住んでもらう環境を守ることにあります。
だからこそ、感覚や印象だけで判断するのではなく、あらかじめ決めた基準に沿って冷静に進めていくことが重要です。
適切な入居審査は、単に入居者を選ぶ作業ではなく、結果的に、物件の価値とブランドを守ることにつながっていきます。