マンション経営には、安定収入や資産形成といったメリットがある一方で、空室の長期化や家賃滞納、修繕費の増大など避けて通れないリスクもあります。
しかし、正しい知識と準備を持って臨めば、多くの問題は未然に防ぐことができます。また、万一トラブルが起きても適切な対応を取れば被害を最小限に抑えられるでしょう。
本記事では、マンション経営のトラブルを防ぐための準備と、実際に問題が発生した際の具体的な解決策を解説します。
目次
トラブルを未然に防ぐための準備

オーナーが事前にしっかり準備をしていれば、多くのトラブルは回避できます。特に資金計画や契約内容の確認、信頼できるパートナー選びは不可欠です。ここでは代表的な予防策を解説します。
精密な収支シミュレーション
投資判断を誤る大きな原因の一つが、甘いシミュレーションです。よく使われる表面利回り(年間家賃収入÷購入価格×100)は経費を考慮していないため、実際の収益を反映しません。
実質利回りは以下の式で算出します。
実質利回り=(年間家賃収入-経費)÷物件価格×100
経費には、管理費・修繕積立金・固定資産税・火災保険料・ローン利息などが含まれます。さらに、家賃が10%下落した場合や1年間空室が続いた場合といった最悪のシナリオを組み込み、赤字にならないか確認しておくことが重要です。
信頼できる管理会社の選定
管理会社は経営の質を左右します。入居者募集・家賃回収・クレーム対応・修繕工事の手配など幅広い業務を任せる相手だからです。過去の管理実績や評判を確認するほか、入居者対応の範囲や修繕時の費用負担、報告義務など契約内容を文書で明確にしておきましょう。
また、管理会社には、入居者募集に強い会社や建物修繕に強い会社などの特性があります。物件の性質に合った会社を選ぶことが失敗防止につながります。
入居者リスク管理
入居者の属性はキャッシュフローの安定性に直結します。保証会社を利用し、万一の滞納時に家賃が補填される仕組みを導入しましょう。
また、契約時の審査を厳格化し、勤務先・収入状況・連帯保証人の有無を確認することで、リスクを大幅に減らせます。入居者トラブルは一度発生すると長期化しやすいため、最初の段階でのふるい分けが重要です。
長期修繕計画と資金準備
マンションは経年劣化で外壁塗装やエレベーター交換、給排水管の変更などが必要になります。マンションの設備修繕には、数百万円〜数千万円が必要です。
10〜15年先を見越した修繕計画を立てることで、急な出費を抑え、余裕のあるマンション運営が可能になります。
契約書・サブリースの確認
サブリース契約は「空室保証」が魅力ですが、保証賃料の減額や中途解約条項が設けられていることがあります。
リスクを正しく理解して契約しなければ、経営が破綻してしまいます。契約内容は必ず確認し、不明点は専門家に相談しましょう。
災害リスク対策
地震や水害は避けられません。購入前にハザードマップで立地の災害リスクを調べ、建物の耐震性もチェックしましょう。
また火災保険や地震保険に加入し、補償範囲・免責金額・保険金の上限を必ず確認しておく必要があります。
トラブル発生後の対応と解決策

予防策をとっていても、完全にトラブルを避けることはできません。重要なのは発生後の対応スピードと適切な判断です。
家賃滞納時の対応
滞納が起きたら、すぐに入居者へ連絡を取り事情を確認します。改善がなければ内容証明郵便で督促し、保証会社や弁護士に依頼しましょう。
解決しない場合は、明け渡し訴訟や強制執行に至ることもあります。放置すると回収不能になるリスクが高まるため、早期解決が大切です。
入居者トラブルの解決
騒音やゴミ出し、共用部の利用マナー違反があれば、管理規約を根拠に注意喚起を行います。録音や写真といった証拠を残しておくと有効です。
改善が見られなければ契約違反として解除を検討することもあります。
修繕・設備不良への対応
水漏れや設備故障は入居者の生活に直結するため、即時対応が必要です。対応が遅れれば退去につながり収益悪化を招きます。
責任の所在を明確にし、管理会社と連携しながらスピーディに修繕を行いましょう。
管理会社との契約見直し
報告を怠る、修繕対応が遅いなど不信感が強い場合は契約の見直しを検討しましょう。複数社から見積もりを取り、比較検討することでサービスの質を改善できます。
売却や資産入れ替えの判断
収益性が改善しない場合は、早めに売却して資産を入れ替える判断も必要です。複数の不動産会社に査定を依頼し、出口戦略を比較検討しておくことで損失を最小化できます。
まとめ

マンション経営にはトラブルがつきものです。しかし、事前準備とリスクコントロールで被害を大きく減らすことが可能です。収支の見直し、物件点検、契約や保険の定期的な更新を怠らないようにしましょう。必要に応じて税理士・弁護士・不動産会社といった専門家の助言を受けることが大切です。
「放置しない」姿勢こそが、長期的な安定経営と資産形成への近道になります。