「マンションの管理費が高く感じる」「何に使われているのか分かりにくい」と疑問を抱えている人も多いでしょう。
しかし、具体的にどの項目を見直せば良いのか分からず、改善の手を付けられない管理組合も少なくありません。
ただ管理費の安さだけを追求してしまうと、建物の安全性が低下したり、修繕不足が起きたりし、長期的には資産価値の下落につながるリスクがあります。
この記事では、管理費の内訳を理解するところから、削減できる項目・削減すべきでない項目、管理会社の見直し方法まで、実務で使える視点に絞って解説します。
この記事の3行まとめ
- 法定点検や基幹設備の保守は削減しない
- 適正な管理費へ近づけるための判断基準を理解する
- 削減できる項目と削れない項目を見極める
管理費の高騰に悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
管理費用の内訳を理解する

管理費の適正化の最初のステップは、内訳の理解です。
管理費は「何となく高い・安い」で判断してしまいがちですが、内容を分解すると、どの部分が負担を押し上げているかが明確になります。
特に注目すべきは、管理会社への委託費・清掃費・設備点検費の3つです。
これらはマンションの規模や築年数、管理方式によって大きく変動します。
委託費は、管理員の勤務形態や理事会運営サポート、事務処理に必要なコストが含まれ、最も金額規模の大きな項目です。
清掃業務は共用部の衛生管理を維持するために欠かせないもので、頻度や範囲によって費用が上下します。
設備点検費は、法律で定められている点検と、任意で行う点検が混在しているため、まず「必要性」の見極めが重要です。
決算書や予算案を確認すると、前年より増えている項目や、契約内容が更新されていない項目が見えてきます。
また、議事録には過去の検討内容や契約の背景が書かれているため、削減の判断材料として役立つでしょう。
管理費を削減できるポイント

管理費の削減をするときは、「削ってよい部分」と「削ってはいけない部分」を区別しながら行うことが大切です。
区別しながら削減することで、マンションの資産価値を維持したまま負担を軽減できます。
管理会社の委託費
管理委託費は、管理費の中で最も金額を占める割合が大きく、見直しの効果が出やすい項目です。
管理員の常駐時間が適切か、理事会サポートの範囲が過剰ではないかを確認すると、改善の余地があるケースが多く見られます。
また、管理会社は業界全体で再編が進み、価格帯やサービス内容に幅があります。
複数社から同仕様で見積りを取得すると、同業務で大きな単価差が生じることもあり、10〜30%の削減が実現した例もあります。
清掃業務の見直し
清掃業務は、住民の目に触れやすく、住環境を維持するうえで重要です。
しかし、週3回を週2回へ変更するといった調整を行っても、大きな不満を生まない場合があります。
頻度を減らしても支障が出ないか、実際に清掃の質や共用部の使用状況を確認したうえで判断することが大切です。
法定点検と任意点検を整理する
設備点検は、必要性を誤ると重大なトラブルにつながります。
しかし、実際には法令で義務づけられていない「任意点検」にコストをかけすぎているマンションも多いです。
まずは、消防法・建築基準法で定められた点検と、マンション独自で追加している点検を分類すると、調整可能な項目が見えてきます。
また、エレベーター点検のように業者によって単価差が大きい分野では、相見積りによって費用を削減できる可能性があります。
照明のLED化は確実な長期的効果がある
共用部の照明は、LED化が進むにつれ、電気代だけでなく交換費用の軽減にもつながる施策です。
特に24時間稼働しているエントランスや廊下では、LED化の効果が顕著に現れます。
自治体の補助金を活用できれば、初期費用を抑えながら導入できます。
警備契約は機器の性能向上に合わせて見直しが可能
防犯カメラやセンサーの性能が大幅に向上しているため、機器の入れ替えで巡回警備の頻度を下げられることがあります。
「昔からの契約内容」になっている場合は、現在の設備に合わせた最適化が必要です。
マンションオーナーが実践すべき管理費削減|収益性を高める賢い方法
削減してはいけない項目

管理費削減は重要ですが、短期的な削減だけを重視すると、建物の安全性や住環境が損なわれ、長期的には資産価値を大きく下げる結果になりかねません。
ここでは、絶対に削減してはいけない管理項目を解説します。
法定点検は絶対に削減不可
消防設備点検やエレベーター点検、排水管清掃などは、国の法令で義務づけられており、削減することはできません。
これらを怠ると、事故や法令違反につながり、結果的に大きな損害や補修費が発生します。
安全・衛生に関わる設備保守は建物の生命線
給水ポンプや排水ポンプ、受水槽の保守点検は、建物の維持に直結するものです。
これらを削減すると、水漏れ事故などの深刻なトラブルが発生し、住民の生活だけでなく経済的な負担も大きくなります。
管理員の勤務時間を減らしすぎない
管理員の勤務形態は、マンションの日常的な安心感に直結します。
苦情対応・清掃状況の確認・住民対応など、管理員が担う業務は幅広く、単純に時間を削減すると住民サービスの低下を招きます。
修繕積立金とのバランスを必ず確認
管理費だけを削減しても、長期修繕計画と整合していなければ意味がありません。
国交省ガイドラインを参考にしながら、管理費と修繕積立金のバランスを保つことが、長期的な資産価値維持に不可欠です。
マンションの修繕積立金とは?相場・使い道・不足時の対策を徹底解説
管理会社の見直し・相見積りの取り方

管理費の適正化には、管理会社の見直しが大きなポイントです。
相見積りは、現在の業務内容が適切かどうかを把握するチャンスでもあります。
ここからは、管理会社飲み直し方法について、分かりやすく解説します。
見積りを取る際の基本的な流れ
最初に、現行仕様書を整理し、どの業務が管理会社に委託されているのかを明確にします。
整理した内容をもとに、3社程度へ見積りを依頼すると、管理費が比較できるようになります。
仕様書が曖昧だと各社の見積り形式がバラバラになり、比較が難しくなるため、見積もり内容は統一することがポイントです。
差が出やすい項目を把握する
管理員給与・清掃単価・設備点検費は業者による差が大きいため、最も比較しやすい項目です。
特にエレベーター点検は、多くのマンションで大幅な価格差が生じる傾向があります。
管理会社変更時の注意点
管理会社を変更する場合は、住民説明会を行い、管理方式の変更による影響を丁寧に説明する必要があります。
また、旧管理会社からの引き継ぎ資料の有無により、引き継ぎ期間は2〜3ヶ月必要です。
反対派の意見も無視せず、合意形成を丁寧に行うことで、スムーズな移行が可能になります。
段階的に見直すことが管理費削減のポイント

管理費の削減は、マンションの価値を維持しながら経費を最適化するプロセスです。
しかし、管理組合が独断で進めてしまうと、住民との軋轢が生まれてしまう可能性があります。
管理費削減の成功させるためには、適切な情報整理を行い、住民全体への周知が欠かせません。
焦らず段階的に見直しを行うことで、資産価値を守りながら適切な管理費へ調整できるでしょう。