この記事の3行まとめ
- 複数戸保有は「家賃収入増・リスク分散・節税」の3大メリットが狙えるが、固定費とローン返済も戸数に比例して増える
- 2戸同時空室になると月15万円規模の持ち出しも。キャッシュフロー悪化リスクを必ずシミュレーションする
- 2戸目は「①1戸目の運用実績」「②エリア・物件タイプの分散」「③手元資金6か月分」の3基準をクリアしてから
マンション投資の1戸目が軌道に乗ると、「もう1戸増やせば収入が倍になるのでは」と考える方は少なくありません。実際、複数戸の保有は家賃収入の積み上げや節税効果など大きなメリットをもたらします。一方で、見落とされがちなのが「空室リスクとコストも戸数に比例して増える」という事実です。
2戸目の判断を誤ると、空室と固定費が重なり、家計全体を圧迫しかねません。本記事では、不動産投資を検討している方や既にオーナーの方に向けて、マンション投資で複数戸を持つメリット・リスクを具体的な数字で比較し、失敗しないための「2戸目に進む3つの判断基準」を徹底解説します。
- マンション投資で複数戸を持つとは?基本の考え方
- マンション投資で複数戸を持つメリット
- メリット1:家賃収入が積み上がり収入基盤が厚くなる
- メリット2:エリア分散で空室・災害リスクを軽減できる
- メリット3:物件ごとの損益通算で節税できる
- メリット4:団体信用生命保険による「生命保険効果」が高まる
- マンション投資で複数戸を持つリスク・デメリット
- リスク1:固定費が戸数に比例して増える
- リスク2:空室が重なるとキャッシュフローが急悪化する
- リスク3:突発的な修繕・設備交換費用が重なる
- リスク4:追加融資が受けにくくなる場合がある
- 区分マンション複数戸と一棟物件はどちらが有利?比較解説
- 失敗しない!2戸目に進む3つの判断基準
- 基準1:1戸目の運用実績を「数字」で確認する
- 基準2:エリアと物件タイプを分散させる
マンション投資で複数戸を持つとは?基本の考え方
「マンション投資で複数戸を持つ」とは、区分マンション(マンションの一室)を2戸以上保有し、それぞれから家賃収入を得る投資手法を指します。1戸ずつ買い増していくスタイルが一般的で、ローンを活用しながら段階的に保有戸数を増やしていくのが基本の流れです。
複数戸保有には、大きく分けて次の2つのアプローチがあります。
- 区分マンションを複数戸保有する:別々の物件を1戸ずつ買い増していく。エリア分散がしやすく、1戸あたりの投資額を抑えられる
- 一棟マンション・一棟アパートを取得する:1つの建物全体を保有する。一度に複数の入居者を抱えるが、土地・建物全体の管理責任を負う
本記事では、まずは取り組みやすい「区分マンションの複数戸保有」を中心に解説します。複数戸を持つ選択は、収入面でもリスク管理面でも大きな影響を与えるため、メリットだけに目を向けると足をすくわれかねません。まずはメリットとリスクの両面を整理し、全体像をつかんでいきましょう。
マンション投資で複数戸を持つメリット

複数戸保有には、1戸保有では得られない大きなメリットがあります。代表的な4つを順に見ていきましょう。
メリット1:家賃収入が積み上がり収入基盤が厚くなる
複数戸を持つ最大のメリットは、家賃収入の増加です。たとえば月8万円の家賃収入がある区分マンションを2戸保有すれば月16万円、3戸なら月24万円の収入になります。
ローン完済後は、管理費・修繕積立金・固定資産税を差し引いた分がそのまま手取りになります。たとえば家賃8万円・諸経費1.5万円の物件なら、完済後は1戸あたり月6.5万円前後が手元に残る計算です。2戸あれば月13万円、年間156万円の不労所得となり、公的年金にプラスする収入基盤として機能します。保有戸数が多いほど、老後の収入の柱は太くなります。
メリット2:エリア分散で空室・災害リスクを軽減できる
1戸だけの場合、その物件で空室が発生すると家賃収入はゼロになります。これは投資全体の生命線が1点に集中している危険な状態です。
一方、2戸を別々のエリアに持っていれば、片方が空室でも、もう一方の家賃でローン返済を補える可能性があります。さらに地震・台風・水害といった災害は地域単位で発生するため、エリアを分けることで「2戸同時被災」のリスクも下げられます。リスクを1か所に集中させない分散効果は、複数戸保有の大きな価値です。
メリット3:物件ごとの損益通算で節税できる
節税面でも複数戸保有は有利に働きます。不動産所得は物件ごとの収支を合算して計算するため、修繕費や減価償却費で赤字が出た物件があれば、黒字の物件と相殺できます。さらに不動産所得全体が赤字になれば、給与所得とも損益通算でき、課税所得を圧縮して所得税・住民税の負担を抑えられます。
特に減価償却費は実際の現金支出を伴わない経費のため、帳簿上は赤字でもキャッシュフローはプラスというケースもあり得ます。複数戸を持つことで、こうした税務上の調整の選択肢が広がります。ただし節税目的だけで赤字物件を増やすのは本末転倒なので、あくまで投資の付随効果と捉えましょう。
メリット4:団体信用生命保険による「生命保険効果」が高まる
投資用ローンには、原則として団体信用生命保険(団信)が付帯します。ローン契約者に万一のことがあった場合、残債が保険で完済され、家族に無借金の収益物件が残ります。
複数戸を保有していれば、その分だけ家族に残せる「家賃収入を生む資産」が増えることになります。生命保険を別途手厚くする代わりに、収益不動産で保障を確保するという考え方も成り立ちます。
マンション投資で複数戸を持つリスク・デメリット
メリットの裏側には、必ずリスクが存在します。「家賃収入が倍になる」という期待だけで判断すると失敗します。複数戸保有で特に注意すべきリスクを整理します。
リスク1:固定費が戸数に比例して増える
戸数が増えればランニングコストも比例して増加します。管理費、修繕積立金、固定資産税、火災保険料といった固定費は、空室でも支払い義務が発生する点を忘れてはいけません。区分マンションの場合、1戸あたり月1.5万〜2万円程度の固定費がかかるのが一般的です。
さらに、築年数が経過すると修繕積立金は段階的に増額されるケースが多く、購入時の収支計画が崩れる原因になります。新築時に月5,000円だった修繕積立金が、築15年で月1.5万円超に上がる例も珍しくありません。
リスク2:空室が重なるとキャッシュフローが急悪化する
下の表で、1戸と2戸保有時のキャッシュフローの変化を比較してみましょう。
| 項目 | 1戸保有 | 2戸保有 |
| 月額家賃収入 | 8万円 | 16万円 |
| ローン返済 | 6万円 | 12万円 |
| 管理費・修繕積立金 | 1.5万円 | 3万円 |
| 月間手残り(満室時) | 0.5万円 | 1万円 |
| 1戸空室発生時の収支 | −7.5万円 | −6.5万円 |
| 2戸同時空室時の収支 | − | −15万円 |
この表からわかるとおり、満室時の手残りは戸数に比例して増えますが、空室が出た際の赤字も大きくなります。特に2戸同時に空室が発生すると、ローン返済12万円+固定費3万円で月15万円の持ち出しが生じる計算です。満室時の手残りが月1万円であることを考えると、わずか1〜2か月の同時空室で1年分の利益が吹き飛ぶ構造になっています。
リスク3:突発的な修繕・設備交換費用が重なる
給湯器・エアコン・換気扇などの設備は、おおむね10〜15年で交換時期を迎えます。区分マンションの専有部設備はオーナー負担となるため、複数戸を持つほど突発的な出費の頻度は上がります。費用の目安は以下の通りです。
| 設備・項目 | 費用目安(1戸あたり) | 交換・発生周期 |
| 給湯器交換 | 8万〜15万円 | 10〜15年 |
| エアコン交換 | 6万〜12万円 | 10〜15年 |
| 原状回復・クロス張替え | 5万〜15万円 | 退去ごと |
| 退去後の客付け(広告費) | 家賃1〜2か月分 | 退去ごと |
リスク4:追加融資が受けにくくなる場合がある
1戸目のローン残債が多いと、2戸目以降の融資審査で「返済比率」が問題になることがあります。金融機関は年収に対する全ローンの返済割合(一般に35〜40%以内が目安)を重視するため、既存債務が大きいと追加融資の枠が制限されます。複数戸を計画的に増やすには、各物件の収支を黒字に保ち、金融機関からの評価を高めておくことが欠かせません。
区分マンション複数戸と一棟物件はどちらが有利?比較解説
「複数戸を持つなら、区分を買い増すのと一棟を買うのはどちらが良いのか」という疑問はよくあります。それぞれに向き不向きがあるため、主要な項目で比較します。
| 比較項目 | 区分マンション複数戸 | 一棟マンション・アパート |
| 初期投資額 | 1戸ずつ少額から可能 | 数千万〜億単位と高額 |
| エリア分散 | しやすい | 1か所に集中 |
| 空室リスク | 1戸空室で収入半減も | 全空室は起きにくい |
| 利回り | 比較的低め | 比較的高め |
| 管理の手間 | 管理組合に委ねられる | 建物全体の管理責任を負う |
| 売却のしやすさ | 1戸単位で売却しやすい | 買い手が限られる |
初めて複数戸保有に挑戦するなら、少額から始められてエリア分散もしやすい区分マンションの複数戸保有が取り組みやすい選択です。資金規模が大きく、より高い利回りを狙いたい段階に進んだら、一棟物件を検討するという順序が現実的でしょう。
失敗しない!2戸目に進む3つの判断基準

複数戸のメリットとリスクを理解したうえで、重要になるのは「いつ、どんな条件で2戸目に進むか」という判断基準です。ここでは、2戸目購入を検討する際に確認すべき3つのポイントを具体的に解説します。
基準1:1戸目の運用実績を「数字」で確認する
2戸目を検討する前に、まず1戸目が安定して黒字を出せているかを確認しましょう。確認すべき数字は、入居率・実質利回り・年間キャッシュフローの3つです。
- 入居率:年間を通じて95%以上を維持できているか
- 実質利回り:(年間家賃収入−年間経費)÷物件価格。購入時の想定を下回っていないか
- 年間キャッシュフロー:ローン返済・経費を差し引いて手元に現金が残っているか
これらの数字が良好で、想定どおりに運用できていれば1戸目は順調と判断できます。逆に、空室期間が年間2か月以上ある場合や、修繕費の持ち出しが続いている場合は、2戸目より1戸目の改善が先です。実績のない状態で買い増すと、リスクを2倍に膨らませるだけになりかねません。
基準2:エリアと物件タイプを分散させる
2戸目は、1戸目と条件の異なる物件を選ぶのが原則です。同じエリア・同じ間取りの物件を買い増すと、地震や台風などの災害時に2戸同時に被害を受けるリスクが高まるうえ、エリアの需要が落ち込めば両方とも空室になりかねません。
分散の考え方として有効なのは、以下の3軸で1戸目と異なる物件を選ぶ方法です。
- エリア軸:東京都心と横浜エリアなど、需要構造の異なる地域に分ける
- 入居者層軸:単身者向けとファミリー向けで、入退去のタイミングをずらす
- 築年数軸:新築と築浅中古で、修繕発生のタイミングを分散する
クラウド管理編集部