この記事の3行まとめ
- マンション投資の経費は毎年型と初年度型に分かれる
- 経費にできないものとグレーゾーンの判断基準を解説
- 正しい計上で節税効果を得よう
「この支出は経費にできるのだろうか?」マンション投資で確定申告を迎えるたびに、頭を悩ませる方は少なくないでしょう。
計上できる経費を見落としたまま申告しているケースもあります。
本記事では、マンション投資の経費を「毎年かかるもの」と「初年度だけのもの」に分けて解説します。経費にできない支出や、判断に迷うグレーゾーンの見分け方もあわせてみていきましょう。
マンション投資で経費にできるもの一覧

マンション投資の経費とは、家賃収入を得るうえで必要となる支出を指します。ローン金利や管理委託料など毎年かかるものと、不動産取得税のように購入初年度だけ発生するものに分けられます。
正しく計上すれば不動産所得を抑えられるため、納める税金を減らせます。
毎年かかる経費と金額の目安
区分マンション1室を運用するケースで、毎年発生する主な経費を一覧にまとめました。
| 経費項目 | 内容・金額の目安 |
| ローン金利 | 返済額のうち利息部分のみが対象。元本返済分は計上できない |
| 管理委託料 | 賃貸管理会社への委託費。一般的に家賃の5%前後が相場 |
| 修繕積立金・管理費 | マンション管理組合に毎月支払う費用 |
| 火災・地震保険料 | 複数年一括払いの場合は1年分ずつ按分して計上 |
| 固定資産税・都市計画税 | 毎年1月1日時点の所有者に課税される |
| 減価償却費 | 建物取得費を耐用年数で按分。鉄筋コンクリート造は47年 |
| 通信費 | スマホやネット代のうち、投資に使った割合を按分 |
| 交通費 | 物件確認や管理会社との打ち合わせにかかった移動費 |
| 税理士・司法書士への報酬 | 確定申告や登記手続きの依頼費用 |
この表の中で、ローン金利・管理委託料・修繕積立金の3つは毎月の支出と連動するため、金額を把握しやすい項目です。
減価償却費は実際にお金が出ていかないにもかかわらず経費にできるため、計上を忘れやすい点に注意しましょう。
通信費や交通費はプライベートとの按分が必要になるため、利用記録を残しておくと確定申告がスムーズに進みます。
購入初年度だけ発生する経費
マンションを購入した年には、初年度だけの経費がまとまって発生します。代表的な項目は以下のとおりです。
- 不動産取得税(物件取得後しばらくしてから納付書が届く)
- 登録免許税(所有権移転登記の際に課される税金)
- 印紙税(売買契約書に貼付する収入印紙の代金)
- ローンの事務手数料・保証料(融資を受ける際に金融機関へ支払う)
- 司法書士への報酬(登記手続きの代行費用)
初年度は経費が多くなり、不動産所得が赤字になった場合は給与所得との損益通算により所得税の還付を受けられる場合もあります。金額が大きくなりやすい項目が多いため、忘れずに確定申告で申請しましょう。
引用:国税庁「No.2250 損益通算」
マンション投資で経費にできないもの

所得税・住民税やスーツ代など、不動産投資と直接の関連がない支出は経費として認められません。「経費で落とせる」と思い込んだまま計上すると、税務調査で否認されることがあるため注意しましょう。
認められない支出の代表例
経費にできない支出とは、不動産投資との関連性がないと税務上判断されるものを指します。具体的には、以下の項目が該当します。
- 所得税・住民税(投資の有無にかかわらず発生する税金)
- スーツ・腕時計・ビジネスバッグ(打ち合わせ専用でも認められにくい)
- ジムの会費・旅行代(個人の福利厚生にあたる支出)
- 資格取得費用(宅建士やマンション管理士など「個人のスキルアップ」と見なされる)
- 反則金・罰金(違法行為への制裁のため経費にはならない)
これらを経費として計上すると、税務調査で過去にさかのぼって否認される場合があります。迷ったときは「家賃収入を得るために直接必要な支出か」を判断の目安にしましょう。
否認されやすいグレーゾーンの見分け方
経費にできるか判断が分かれやすいのが、修繕費と通信費・交通費の扱いです。
修繕費と資本的支出は混同しやすいため、以下の表で違いを整理しました。
| 区分 | 修繕費(一括で経費) | 資本的支出(減価償却の対象) |
| 定義 | 原状回復のための工事 | 資産価値を高める工事 |
| 具体例 | 給湯器を同じ型に交換 | 給湯器を新型へ入れ替え |
| 具体例 | 同グレードの壁紙張り替え | 壁紙のグレードアップ |
| 計上方法 | 工事をした年に一括計上 | 耐用年数にわたって按分計上 |
通信費や交通費は、プライベートと投資の使用割合を分ける「家事按分」が必要です。按分割合に法的な決まりはないものの、使用頻度や時間をもとに算出するのが一般的です。領収書とあわせて利用目的や日時をメモしておけば、税務調査でも説明しやすくなります。
引用:国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定」
よくある質問(FAQ)|マンション投資の経費に関する疑問を解決
Q.マンション投資の経費に上限金額はある?
A.法律上の上限金額はありません。事業に必要で金額も妥当な支出であれば、制限なく計上が可能です。高額な経費ほど、領収書や契約書で根拠を示せるよう準備しておきましょう。
Q.セミナー参加費や書籍代は経費にできる?
A.できます。不動産投資に関するセミナーの参加費や書籍代は、情報収集のための費用として経費に計上可能です。プライベートの趣味と区別がつくよう、セミナーの内容や参加日を記録しておきましょう。
Q.経費の相談は税理士にすべき?
A.判断に迷う項目があるなら相談すべきです。初めての申告や修繕費と資本的支出の判断に迷うときは、不動産に詳しい税理士への相談をおすすめします。年間の顧問料は数万円からが目安で、この費用自体も経費に計上できます。
まとめ|マンション投資の経費を正しく計上しよう

マンション投資では、ローン金利や減価償却費など毎年発生する経費と、不動産取得税のように初年度だけかかる経費の両方を漏れなく把握しておくことが大切です。
経費にできない支出やグレーゾーンの判断基準を知っておけば、税務調査での否認リスクも減らせるでしょう。
特に通信費や交通費の家事按分は、利用目的と日時を記録しておくだけで申告時の根拠になります。
本記事の一覧表をもとに、今年の確定申告で計上漏れがないか見直してみましょう。経費を正しく活用すれば手残りが増え、マンション投資の収益性を高められるはずです。
判断に迷う経費がある場合は、不動産投資に詳しい税理士に早めに相談するのも有効な手段でしょう。