マンション管理の修繕積立金相場は?管理費との違いや対策を解説

マンション管理の修繕積立金相場は?管理費との違いや対策を解説

記事の3行まとめ

  • 修繕積立金は資産を守る「貯金」。経費である管理費とは別物
  • 「段階増額積立方式」により、将来的な値上げは避けられない
  • 不足回避の鍵は、早期の現状把握と住民との合意形成にある
目次

「修繕積立金を2倍に値上げする必要があります」と管理会社から突然そう告げられ、困惑する理事長は少なくありません。実は多くのマンションが将来的な資金不足のリスクを抱えています。

本記事では、積立金の適正相場や値上げの仕組み、不足時の対策を解説します。この記事を読めば、住民への説明に必要な根拠が得られ、自信を持って管理組合を運営できるようになるでしょう。

マンション管理における修繕積立金の基礎知識と重要性

修繕積立金の基礎知識の「基礎知識」と黒板に書いてある写真

マンションを購入すると毎月発生する「修繕積立金」ですが、その役割や法的根拠を正しく理解している人は意外と少ないです。まずは、住民総会で理事長として明確に説明できるよう、基礎知識を整理しておきましょう。

修繕積立金と管理費の決定的な違い

管理費と修繕積立金はどちらも毎月徴収されますが、目的は違います。管理費と修繕積立金の違いは、以下の通りです。

比較項目管理費修繕積立金
主な目的日常的な維持管理将来の計画的な修繕
使用例光熱費・清掃費・人件費大規模修繕・設備更新
会計区分一般会計特別会計(修繕積立金会計)
性質消えゆく費用(経費)貯蓄する資産(貯金)


管理費は日々の「経費」、修繕積立金は将来への「貯金」という明確な違いがあります。両者は明確に区別されており、日常の消耗品購入などに修繕積立金を流用することは原則として認められません。

主な使い道は「12〜15年周期」の大規模修繕工事

修繕積立金の使い道は、一般的に12〜15年周期で行われる「大規模修繕工事」です。

建物は経年により必ず劣化するため、以下のような定期的なメンテナンスが欠かせません。

  • 足場の設置および撤去
  • 外壁塗装、タイルの補修
  • 屋上やバルコニーの防水工事
  • 給排水管の更新、洗浄

これらの工事には億単位の費用がかかることも珍しくなく、一時的な徴収で賄うのは困難です。マンションの資産価値と安全性を維持するための重要な資金として、計画的な積み立てが不可欠です。

引用:国土交通省「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の見直しについて(2021年3月)

区分所有法に基づく支払い義務と法的根拠

「住んでいないから払いたくない」という主張は法的に通用しません。区分所有法第19条により、区分所有者は共用部分の負担を持分に応じて負う義務が定められています。

  • 居住の有無に関わらず支払う必要がある
  • 所有している床面積(持分)に応じて負担額が決まる
  • 設備の利用頻度は関係ない

これは法的に重い義務であり、滞納が続けば最悪の場合、住まいを失う可能性さえあります。共同住宅である以上、全員で資産を守る義務があることを理解してもらう必要があります。

引用:株式会社カシワバラ・コーポレーション「管理費・修繕積立金の滞納は競売請求が可能! 要件、判例を解説」(2023年7月)

修繕積立金の相場と値上げ・不足問題への対策

グラフで値上げを表している写真

「うちの積立金は高すぎるのでは?」「将来いくらになるのか?」という住民の不安を解消するのも理事長の役割です。

ここでは、相場の目安や値上げの仕組み、不足時の対処法について解説します。

あなたのマンションは高い?安い?修繕積立金の相場と適正ライン

積立額の妥当性を判断するには、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和3年9月改定)」が役立ちます。

昨今の建築費高騰を受け、目安となる金額(専有床面積1㎡あたりの月額平均値)は従来よりも大幅に引き上げられています。

  • 20階未満(5,000㎡未満):約335円/㎡
  • 20階未満(5,000〜10,000㎡):約252円/㎡
  • 20階以上(タワーマンション):約338円/㎡

もし70㎡の部屋で月額1万円(約142円/㎡)程度の場合、最新のガイドライン基準(335円/㎡で計算すると月額23,450円)と比較して半分以下しか積み立てられていないことになります。「お得」ではなく「将来の資金枯渇」を意味するため、早急な計画見直しが必要です。

引用:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(2021年9月)

修繕積立金は将来どこまで上がる?段階増額積立方式の仕組み

多くの新築マンションでは、分譲時の積立金を低く抑え、数年ごとに値上げする「段階増額積立方式」が採用されています。この方式には以下の特徴とリスクがあります。

  • 購入時の初期負担は軽く設定されている(販売戦略のため)
  • 5年〜10年ごとの見直しで、段階的に値上げされる
  • 最終的には当初の2.5倍〜5倍以上に膨れ上がるケースもある

この仕組みを知らずに購入した住民は、値上げ時に強い抵抗感を示します。理事会は長期修繕計画に基づき、「いつ、いくらまで上がるのか」という見通しを早期に提示し、住民の心の準備を促すことが重要です。

引用:くまマンnet不動産コラム「マンションの修繕積立金は値上げに注意!「段階増額積立方式」とは」(2024年9月)

引用:株式会社あすみ「修繕積立金を値上げ幅、当初の「1.8倍」を上限に」(2024年5月)

修繕積立金が不足するとどうなる?一時金徴収の可能性と対策

大規模修繕の時期に資金が不足していると、工事ができず建物の劣化が進み、資産価値が大きく下がる恐れがあります。不足を解消するための選択肢は、主に以下の3つしかありません。

  • 選択肢1:修繕積立金の大幅な値上げを行う
  • 選択肢2:各戸から数十万円単位の「一時金」を徴収する
  • 選択肢3:金融機関から管理組合として「借入」を行う

一時金徴収は家計への負担が大きく、住民の同意を得るのが困難です。支出削減と借入で工事を行い、積立金を適正額に見直すのが妥当です。

まとめ|資産価値を守るために適正な積立計画を

まとめの写真

本記事では、マンション管理における修繕積立金の基礎知識や値上げ対策について解説しました。修繕積立金は単なるコストではなく、マンションの寿命を延ばし資産価値を守るための「未来への投資」です。

資金不足などの課題に対し早期に対策を行うことが、建物の劣化が進み、資産価値が大きく下がるのを防ぐ一番の方法です。誠実な情報開示と対話を重ねれば、必ず住民の理解は得られます。まずは手元の長期修繕計画書を確認することから始めてみましょう。

クラウド管理編集部
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