マンション投資には、マンションの1室を購入する「区分投資」と、アパートやマンションを丸ごと購入する「一棟投資」があります。
どちらも家賃収入で資産形成を行いますが、必要な資金、リスク、収益性、売却しやすさなど、投資としての性質は大きく異なります。
この記事では、区分投資と一棟投資の違いを分かりやすく解説するので、どちらがいいか悩んでいる人は参考にしてみてください。
この記事の3行まとめ
- 区分投資は少額で始められ、手間が少ない安定型の投資スタイル
- 一棟投資は収益改善の余地が大きく、キャッシュフローを伸ばせる事業型の投資
- 資金力・リスク許容度・運用スタイルによって、最適な選択が変わる
この記事を読んで、自分に合う投資スタイルを確認していきましょう。
区分投資と一棟投資の基本的な違い

区分投資は1室を保有して貸す投資、一棟投資は建物全体を保有して運営する投資です。
同じ不動産投資でも、必要な知識や関わり方が大きく変わるため、まずはその基本構造を押さえておきましょう。
区分投資とは
区分投資は、マンションの一室のみを購入して貸し出す投資方法です。
中古ワンルームが主流で、比較的少額で始めやすい点が特徴です。
建物全体の管理は管理組合が行うため、日常的な運用負担が少なく、収入の読みやすさに優れています。
中古マンション投資のメリット・デメリットを徹底解説!失敗しないための5つの判断基準
一棟投資とは
一棟投資はアパートやマンション全体を所有し、複数戸から家賃収入を得ます。
物件価格は高額になりやすいものの、その分収益改善の余地が大きく、空室リスクも分散できます。
賃料設定、リフォーム、空室対策などを自分で判断できるため、経営型の投資といえるでしょう。
初期費用と融資条件の違い

初期費用は投資判断を分ける最も大きなポイントのひとつです。
区分は少額で始めやすく、一棟は金額が大きいものの融資条件が有利になりやすい傾向があります。
区分投資の初期費用
区分投資は1,500万〜4,000万円ほどの価格帯が中心で、自己資金も10〜20%に収まります。
融資期間は最長35年まで伸ばせることが多く、月々の返済負担が抑えられやすい点がメリットです。
ただし、築古物件の場合は融資期間が短くなり返済が圧迫されるケースもあるため、エリア・築年数の見極めが重要です。
一棟投資の初期費用
一棟投資は木造アパートで5,000万〜1.5億円、RCマンションで数億円規模になることが一般的です。
金額は大きくなるものの、建物の収益性が評価されるため、区分より金利が低くなるケースもあります。
ただし、木造の場合は法定耐用年数が22年と短いため、築古物件は融資期間が短縮され返済が厳しくなる点に注意が必要です。
収益性の違い

収益性は「安定性を取るか」「改善余地を取るか」で評価が分かれます。
区分投資の収益性
区分の利回りは一般的に3〜5%ほどで、築浅や都心物件は特に安定しやすい傾向があります。
建物管理は管理組合が行うため運用手間が少なく、年間収支が読みやすい点が魅力です。
一方で、1室のみの運用のため空室になると収入が途絶える点、収益改善の余地が小さい点は弱みとして押さえておく必要があります。
一棟投資の収益性
一棟投資の利回りは6〜10%以上を確保できるケースもあり、区分に比べ収益性が高くなりがちです。
リフォームや設備改善など、自分の判断で収益アップに取り組みやすく、キャッシュフローを増やせる点が大きな魅力です。
ただし、運営判断が直接収益に響くため、戦略性や物件管理の知識が求められます。
リスクと管理負担の違い

ここからは、区分投資と一棟投資のリスクについて解説していきます。
区分投資のリスク
区分は管理の多くを管理組合が担うため、個人オーナーの手間は非常に少なく済みます。
しかし、修繕方針や積立金の使われ方に自分で介入できないため、収益アップ施策を実施することはできません。
また、1室のみのため、空室時のダメージが大きく、利回りを自力で押し上げることも難しい傾向があります。
一棟投資のリスク
一棟は建物全体の修繕や管理をオーナーが判断するため、修繕費や管理コストの負担は大きくなります。
特に外壁修繕や屋根補修などは数百万〜数千万円規模になることも珍しくありません。
その一方で、正しく運営すれば収益改善しやすいメリットもあり、リスクとリターンが比例する投資形態と言えます。
出口戦略の違い

出口戦略は、投資の成功に決定的な影響を与える要素です。
それぞれの違いを解説します・
区分投資の出口戦略
区分は買い手が個人投資家を中心に幅広いため、市場の流動性が高く売却しやすい点が強みです。
都市部の中古ワンルームは特に人気が高く、資産価値が維持されやすい傾向があります。
ただし、築年数とともに価格が下落しやすい点には注意が必要です。
一棟投資の出口戦略
一棟投資は金額が大きく、買い手の多くが法人・プロ投資家となるため、売却期間はやや長くなる傾向があります。
価格は収益性(利回り)で評価されるため、日々の運営がそのまま資産価値に反映されます。
長期保有しながらキャッシュフローを積み上げるモデルが主流です。
どちらが向いているかの判断ポイント

投資スタイルや資金力によって、区分投資と一棟投資の向き・不向きは大きく分かれます。
以下の表で、自分がどちらのタイプに近いかを確認してみましょう。
| 判断ポイント | 区分投資が向いている人 | 一棟投資が向いている人 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 少ない自己資金で始めたい | 大きな自己資金を用意できる |
| 運用スタイル | 手間をかけず安定運用したい | 経営に積極的に関わりたい |
| 収益の考え方 | 安定性を重視 | キャッシュフローを大きく伸ばしたい |
| リスク許容度 | 空室リスクを極力抑えたい | 修繕・空室などのリスクを許容できる |
| 投資の目的 | 長期で手堅く資産形成したい | 不動産経営を事業として成長させたい |
目的に応じて選択するのが成功の近道

区分と一棟はどちらが優れているかではなく、投資目的や資金力、リスク許容度によって最適解が変わる投資です。
区分は小さく始められる安定運用、一棟は収益改善余地のある本格的な投資。
まずは自分の投資イメージに合うスタイルを選び、無理のない資産形成を目指しましょう。