この記事の3行まとめ
- リースバックは「自宅売却後も住み続けられる」便利な仕組みだが、家賃・契約・売却価格をめぐるトラブルが多発している
- トラブルの多くは「契約内容の理解不足」「相見積もりをしない」ことが原因で、事前準備で回避できる
- 定期借家か普通借家か、買戻し価格、家賃の改定条件を契約前に必ず確認することが後悔しないカギ
リースバックは、自宅を売却しながらそのまま住み続けられる仕組みとして、住宅ローンの返済負担や老後資金の確保に悩む方から注目を集めています。しかし、その手軽さの裏側で「家賃が払えなくなった」「いつの間にか退去を求められた」「売却価格が相場より大幅に安かった」といったトラブルや後悔の声も少なくありません。
この記事では、リースバックで実際に起きているトラブル事例を具体的な数字とともに整理し、その原因・回避方法、そして「やめた方がいい人」の特徴まで、不動産の専門的な視点からわかりやすく解説します。契約してから後悔しないために、ぜひ最後までご確認ください。
- リースバックとは?仕組みと「やばい」と言われる理由
- リースバックの基本的な流れ
- 「リースバックはやばい」と言われる理由
- リースバックで多いトラブル事例7選
- ①家賃が高く支払えなくなる
- ②住み続けられない(退去トラブル)
- ③売却価格が相場より安い
- ④買い戻しができない
- ⑤契約や費用に関するトラブル
- ⑥契約後に家賃が値上げされた
- ⑦運営会社の倒産・物件の転売リスク
- トラブルが起きる3つの原因と対策
- ①契約内容の理解不足
- ②営業トークを鵜呑みにしてしまう
- ③比較せずに決めてしまう
- リースバックをやめた方がいい人の特徴
- 長く住み続けたい人
- 資金に余裕がない人
- すぐに決断してしまう人
- 後悔しないための7つの判断ポイント
- トラブルに遭ってしまった場合の相談先
- リースバックに関するよくある質問(FAQ)
- Q1. リースバックの売却価格はなぜ相場より安くなるのですか?
- Q2. 一度契約したリースバックを途中で解約できますか?
- Q3. 家賃を滞納したらどうなりますか?
- Q4. 定期借家契約と普通借家契約のどちらを選ぶべきですか?
- Q5. リースバックとリバースモーゲージの違いは何ですか?
- まとめ|リースバックは事前準備で後悔を防げる
リースバックとは?仕組みと「やばい」と言われる理由

リースバックとは、自宅を不動産会社や投資家に売却して現金化し、その後は売却先と賃貸借契約を結んで「家賃を支払いながら同じ家に住み続ける」仕組みです。正式には「セール・アンド・リースバック(Sale and Leaseback)」と呼ばれ、もともとは企業が保有不動産を活用する財務手法として使われてきました。
近年は個人向けにも広がり、住宅ローンの返済が苦しい人、まとまった老後資金が必要な人、相続対策をしたい人などが利用しています。引っ越しをせずに資金を確保できる点は大きな魅力ですが、「売却」と「賃貸」が組み合わさった複雑な契約のため、仕組みを理解せずに契約するとトラブルになりやすいのです。
リースバックの基本的な流れ
- リースバック会社に査定を依頼する(買取価格・家賃の提示)
- 条件に合意し、不動産売買契約を締結する
- 売却代金を一括で受け取る
- 同時に賃貸借契約を結び、家賃を払いながら住み続ける
- (希望すれば)将来的に買い戻す
「リースバックはやばい」と言われる理由
結論から言えば、リースバックという仕組み自体が危険なのではなく、「内容を十分に理解しないまま契約してしまうこと」がリスクです。具体的には、以下のような特性が「やばい」と言われる背景にあります。
- 売却価格が市場相場より安い(一般的に相場の60〜80%程度)
- 家賃が周辺相場より高くなりやすい(買取価格に対する利回りで決まるため)
- 契約形態によっては住み続けられない(定期借家契約の場合)
- 買い戻し価格が売却価格より高くなることが多い
リースバックで多いトラブル事例7選

リースバックでは、契約内容の理解不足や条件の見落としによって、さまざまなトラブルが発生しています。ここでは特に相談の多い7つの事例を、原因とあわせて解説します。
①家賃が高く支払えなくなる
リースバック後は、住宅ローンの代わりに毎月の家賃が発生します。この家賃は、買取価格に対する「期待利回り(年7〜13%程度)」を基準に設定されるため、周辺の賃貸相場よりも割高になりがちです。
たとえば2,000万円で買い取られた物件の場合、年利回り10%なら年間家賃は200万円、月額約16.6万円にもなります。周辺相場が月12万円程度のエリアでも、これだけの家賃を払い続ける計算になり、生活費とのバランスが崩れて支払いが厳しくなるケースが後を絶ちません。
| 買取価格 | 想定利回り | 年間家賃 | 月額家賃 |
|---|---|---|---|
| 1,500万円 | 8% | 120万円 | 約10.0万円 |
| 2,000万円 | 10% | 200万円 | 約16.6万円 |
| 2,500万円 | 12% | 300万円 | 約25.0万円 |
②住み続けられない(退去トラブル)
「売却後もずっと住み続けられる」と思って契約したのに、数年後に退去を求められるトラブルです。これは賃貸借契約が「定期借家契約」になっている場合に起こりやすく、契約期間(多くは2〜3年)が満了すると更新できず、退去を求められる可能性があります。
「普通借家契約」であれば原則として更新でき、長く住み続けられますが、定期借家契約は更新の保証がありません。契約形態の違いを理解しないまま署名すると、想定より早く住み替えが必要になります。
| 項目 | 普通借家契約 | 定期借家契約 |
|---|---|---|
| 更新 | 原則できる | できない(再契約は要相談) |
| 長期居住 | 可能性が高い | 期間満了で退去の恐れ |
| 家賃 | やや高め | やや低め |
| おすすめの人 | 長く住みたい人 | 数年後に住み替え予定の人 |
③売却価格が相場より安い

リースバックの買取価格は、通常の仲介売却と比べて低くなる傾向があります。一般的に市場相場の60〜80%程度が目安です。仲介で3,000万円で売れる物件が、リースバックでは1,800万〜2,400万円程度になるイメージです。
早期に現金化できるメリットはありますが、相見積もりを取らずに1社だけで契約してしまうと、「他社ならもっと高く売れたのに」と後悔するリスクが高まります。複数社を比較するだけで、数百万円の差が出ることも珍しくありません。
④買い戻しができない
「将来お金ができたら買い戻せる」と聞いて契約したのに、いざ買い戻そうとしたら難しかった、というトラブルです。原因は主に次の3つです。
- 買戻し価格が売却価格より高い(売却額の1.1〜1.3倍が一般的)
- 買戻しの期限が設けられている(〇年以内など)
- そもそも契約書に買戻し条項が明記されていない
たとえば2,000万円で売却した家を1.2倍の2,400万円で買い戻す場合、再びローンを組む必要があり、年齢や収入によっては融資が下りないこともあります。買戻しを前提にする場合は、価格・期限・条件を契約書で必ず確認しましょう。
⑤契約や費用に関するトラブル
契約後に「聞いていなかった費用」を請求されるトラブルもあります。具体的には、敷金・礼金・更新料、原状回復費用、固定資産税の負担区分などです。売却後は所有者が変わるため固定資産税の支払い義務はなくなりますが、その分が家賃に上乗せされているケースもあります。
⑥契約後に家賃が値上げされた
契約更新時に家賃が引き上げられるケースもあります。賃貸借契約に「家賃改定条項」が含まれていると、貸主の判断で家賃が上がる可能性があるため、改定の有無・上限を事前に確認することが重要です。
⑦運営会社の倒産・物件の転売リスク
リースバック会社が倒産したり、所有物件を第三者に転売したりすると、契約条件が変わったり退去を求められたりするリスクがあります。賃貸借契約は新しい所有者にも引き継がれるのが原則ですが、トラブルを避けるためにも、運営実績や財務基盤のしっかりした会社を選ぶことが大切です。
トラブルが起きる3つの原因と対策

これまで紹介したトラブルの多くは、共通する原因から発生しています。原因を知り、対策を講じれば、リースバックのリスクは大きく減らせます。
①契約内容の理解不足
最も多い原因が、契約内容を十分に理解しないまま署名してしまうことです。特に「普通借家か定期借家か」「買戻し条件」「家賃改定の有無」は、後のトラブルに直結する重要ポイントです。
【対策】契約書は隅々まで読み込み、不明点は必ず書面で回答を求めましょう。可能であれば、宅地建物取引士や弁護士など第三者の専門家にチェックしてもらうのが安全です。
②営業トークを鵜呑みにしてしまう
「ずっと住めます」「いつでも買い戻せます」といった口頭での説明を信じてしまい、契約書に明記されていなかった、というケースです。口約束は法的な効力が弱く、トラブルになっても証明が困難です。
【対策】重要な条件はすべて契約書に明記してもらいましょう。「契約書に書いていないこと」は守られないと考えるのが鉄則です。
③比較せずに決めてしまう
1社だけの提示で決めてしまうと、売却価格が相場より低かったり、家賃が割高だったりするリスクが高まります。
【対策】必ず3社以上から見積もりを取り、「買取価格」「家賃」「契約形態」「買戻し条件」を総合的に比較しましょう。一括査定サービスを活用すると効率的です。
リースバックをやめた方がいい人の特徴

リースバックは万能ではありません。以下のような人は、他の選択肢を検討した方が良いケースが多いです。
長く住み続けたい人
定期借家契約の場合は数年で退去を求められる恐れがあります。「終の住処にしたい」という人は、普通借家契約を結べる会社を選ぶか、そもそもリースバック以外の方法を検討すべきです。
資金に余裕がない人
家賃が相場より高くなりやすいため、月々の支払い余力が乏しい人は、いずれ家賃を払えなくなるリスクがあります。売却で得た資金を生活費に充てる計画では、長続きしない可能性が高いです。
すぐに決断してしまう人
「早く資金が欲しい」と焦って即決すると、安い価格・不利な条件で契約しがちです。複数社の比較や専門家への相談を省かず、冷静に判断できる人でなければ後悔につながります。
後悔しないための7つの判断ポイント

リースバックで失敗しないために、契 約前に必ずチェックすべき7つのポイントを紹介します。
- 売却価格は相場の何割か:市場価格の70~90%が目安。極端に安い場合は要注意。
- 家賃は無理なく払える金額か:年間家賃が売却価格の8~10%以内かを確認。
- 契約形態は普通借家か定期借家か:長く住むなら普通借家契約が安心。
- 買戻し条件は明確か:価格・期限・手続きが書面で明示されているか。
- 家賃の値上げ条項はあるか:将来的な値上げの有無と上限を確認。
- 運営会社の実績・信頼性は十分か:上場企業や宅建業免許、口コミを確認。
- 複数社を比較したか:最低3社の見積もりを取り、総合的に判断。
これらのポイントを一つひとつ丁寧に確認することで、トラブルの大半は未然に防ぐことができます。特に「契約形態」「買戻し条件」「家賃の妥当性」の3点は、後悔につながりやすい重要項目です。
トラブルに遭ってしまった場合の相談先
万が一、リースバックで不当な扱いを受けたり、契約に納得できないトラブルが発生した場合は、一人で抱え込まず専門機関に相談しましょう。
- 消費生活センター(消費者ホットライン188):契約トラブル全般の相談窓口。
- 弁護士・司法書士:契約の無効主張や法的対応が必要な場合。法テラスなら無料相談も可能。
- 宅地建物取引業協会:不動産業者の対応に問題がある場合。
- 国民生活センター:悪質業者に関する情報提供・相談。
契約書や交わした書面はすべて保管しておくことが、トラブル解決の際に重要な証拠となります。
リースバックに関するよくある質問(FAQ)
Q1. リースバックの売却価格はなぜ相場より安くなるのですか?
リースバックでは、運営会社が物件を買い取った後も売主が住み続けるため、すぐに転売や再活用ができません。そのリスクや、買戻しの可能性を見込んだ分、市場価格の70~90%程度になるのが一般的です。少しでも高く売りたい場合は、複数社を比較して交渉することが大切です。
Q2. 一度契約したリースバックを途中で解約できますか?
賃貸借契約自体は、契約条件に従って解約することは可能です。ただし、すでに売却した不動産の所有権は運営会社に移っているため、家を取り戻すには「買戻し」を行う必要があります。買戻しには事前に取り決めた価格(売却価格より高くなることが多い)が必要となるため、安易に契約解除はできません。契約前に解約・買戻し条件を必ず確認しましょう。
Q3. 家賃を滞納したらどうなりますか?
家賃を滞納すると、通常の賃貸借契約と同様に督促を受け、滞納が続けば契約解除・退去を求められます。リースバックでは家賃が相場より高めになりやすいため、無理のない支払い計画を立てることが重要です。支払いが難しくなりそうな場合は、早めに運営会社に相談しましょう。
Q4. 定期借家契約と普通借家契約のどちらを選ぶべきですか?
長く住み続けたい場合は、契約更新が原則認められる「普通借家契約」がおすすめです。一方、数年だけ住めればよい場合は「定期借家契約」でも問題ありません。ただし定期借家契約は契約期間満了で退去を求められる可能性があるため、自分のライフプランに合わせて選びましょう。
Q5. リースバックとリバースモーゲージの違いは何ですか?
リースバックは「自宅を売却して資金を得て、賃貸として住み続ける」仕組みです。一方、リバースモーゲージは「自宅を担保にお金を借り、亡くなった後に売却して返済する」仕組みで、所有権は手放しません。資金が今すぐ必要で売却に抵抗がない人はリースバック、所有権を保ちたい人はリバースモーゲージが向いています。
まとめ|リースバックは事前準備で後悔を防げる
リースバックは、自宅に住み続けながらまとまった資金を得られる便利な仕組みですが、契約内容を十分に理解しないまま進めると、家賃の高騰や買戻しトラブル、定期借家契約による退去要求など、さまざまな後悔につながる恐れがあります。
本記事で紹介したトラブル事例と対策を振り返ると、後悔を防ぐためのポイントは次の3つに集約されます。
- 契約条件を書面で必ず確認する(売却価格・家賃・契約形態・買戻し条件)
- 複数社を比較し、信頼できる会社を選ぶ(最低3社の見積もり)
- 焦らず、無理のない資金・支払い計画を立てる
リースバックは「やめた方がいい人」もいれば、状況によっては大きなメリットを得られる人もいます。大切なのは、自分のライフプランや資金状況を冷静に見つめ、メリットとデメリットの両方を理解したうえで判断することです。
少しでも不安がある場合は、不動産の専門家やファイナンシャルプランナー、弁護士などに相談してから契約を進めましょう。十分な準備と比較検討を行えば、リースバックは「後悔する選択」ではなく「納得できる選択」になります。本記事が、あなたが後悔のない決断をする一助となれば幸いです。