マンション経営では、家賃収入ばかりに目が向きがちですが、実際の収益を左右するのは運営経費の管理です。
購入当初の想定より支出が膨らみ、利回りが想定を下回るケースも少なくありません。
特に近年は、設備更新費や管理コストの上昇、空室期間中の固定費負担など、見落としやすい支出が増えています。
毎月どの程度の経費が適正なのか、どこに見直し余地があるのかを把握しておくことが重要です。
本記事では、マンション運営にかかる主な経費の内訳、毎月の目安、見落としがちなコスト、見直しのポイントまでをオーナー視点で解説します。
この記事の3行まとめ
- マンション運営は複数の経費が継続的に発生し、収益に大きく影響する
- 経費の目安や見落としがちな固定費・設備更新費を把握することで、実質利回りの悪化を防げる
- 定期的なコスト点検が安定したマンション経営のポイント
マンション運営にかかる経費を見直し、安定した経営を実現しましょう。
マンション運営で発生する主な経費とは

マンション運営では、複数の支出項目が継続的に発生します。
まずは、マンション運営にかかる経費の全体像を把握しておきましょう。
管理委託費
管理会社に入居者対応や建物管理を委託している場合、毎月の管理委託費が発生します。
一般的には家賃収入の数%程度が目安ですが、業務範囲によって差が出ます。
委託内容と費用のバランスが取れているか、定期的な確認が必要です。
修繕・メンテナンス費
建物や設備の維持には、日常修繕費や定期メンテナンス費がかかります。
突発的な故障対応も含め、一定の予備費を見込んでおくことが重要です。
共用部の水道光熱費
エントランス照明、ポンプ、共用廊下の電気代など、共用部の光熱費は毎月発生する固定費です。
物件規模や設備仕様によって金額差が大きい項目です。
保険料・税金
火災保険・施設賠償責任保険などの保険料に加え、固定資産税・都市計画税などの税負担も運営コストに含まれます。
年払いのものも多いため、月割りで把握しておくと収支管理がしやすくなります。
入居者募集・広告費
空室が出た際には、仲介手数料や広告費(AD)が発生します。
空室率が高い物件ほど、この費用は大きくなりやすい点に注意が必要です。
マンション運営の毎月の経費目安

経費の適正水準を判断するには、毎月どのくらいの費用がかかるのか確認することが大切です。
ここでは、マンション運営にかかる経費の目安を紹介します。
区分マンションの目安
区分マンションの場合、管理費・修繕積立金・管理委託費などを含め、家賃収入の20〜30%前後が運営経費の一つの目安とされています。
ただし、築年数や設備状況によって大きく変動します。
一棟マンションの目安
一棟物件では、共用部維持費や清掃費、設備保守費などが増えるため、家賃収入の25〜35%程度になるケースもあります。
エレベーターや機械式駐車場の有無によっても差が出やすい部分です。
築年数による違い
築浅物件は修繕費が比較的少ない一方、築20年を超える頃から設備更新や外壁修繕などの支出が増加します。
長期修繕計画と実際の支出推移を照らし合わせて確認することが重要です。
利回りとの関係
表面利回りが高く見えても、経費率が想定より高ければ実質利回りは大きく低下します。
購入時の想定と現在の運営コストを比較し、収益構造を定期的に見直すことが欠かせません。
見落としがちな運営コスト

マンション運営では、日常的な支出以外にも見逃されやすいコストがあります。
ここからは、マンション運営で見落としがちなコストを紹介します。
空室時の固定費
空室中でも、管理費や共用部光熱費、固定資産税などは発生し続けます。
稼働率が下がるほど、これら固定費の負担感は大きくなります。
原状回復費用
退去のたびに発生する原状回復費は、想定以上に収益を圧迫することがあります。
特に回転率の高い物件では、年間トータルで大きな支出になりやすい項目です。
初心者オーナーでも安心|マンションの原状回復費用の目安と管理ポイント
設備更新費
機械式駐車場の更新、給排水設備の更改、EV充電設備の新設など、大型設備に関わる支出は金額インパクトが大きくなります。
長期的な資金計画に織り込んでおく必要があります。
管理組合関連の臨時支出
大規模修繕の前倒しや、共用部改修、設備更新などにより、臨時徴収が発生するケースもあります。
区分オーナーの場合、特に見落としやすいポイントです。
経費が増えやすい物件の特徴経費が増えやすい物件の特徴

物件条件によっては、運営コストが想定以上に膨らみやすいケースがあります。
あらかじめ「どの経費が高額になりやすいのか」を把握しておくことで、早期の対策や圧縮が可能になります。
機械式駐車場がある
機械式駐車場は、定期保守費や将来的な更新費の負担が大きくなりやすい設備です。
特に稼働率が低下している物件では、収支悪化の要因になりやすいため注意が必要です。
築古で修繕周期に入っている
築20〜30年前後の物件は、大規模修繕や主要設備の更新時期が重なりやすくなります。
その結果、一定期間に支出が集中し、資金繰りに影響を与えるケースも見られます。
管理委託費が割高
長期間見直しを行っていない場合、現在の業務内容に対して委託費が割高になっている可能性があります。
契約内容と費用のバランスが取れているか、定期的に確認することが重要です。
空室率が高い
空室が多い物件では、広告費や仲介関連費用が増加しやすくなります。
さらに、固定費の負担割合も相対的に重くなるため、経費率悪化の大きな要因となります。
マンション運営の経費を見直すポイント

運営コストは、一度決まると見直されにくい傾向があります。
しかし、定期的に点検することで、無理のない範囲で改善余地が見つかるケースも少なくありません。
管理委託内容の適正化
委託範囲の精査や複数社の比較検討により、コストの適正化が図れる場合があります。
ただし、単純な値下げだけで判断せず、業務品質や対応力とのバランスを確認することが重要です。
共用部コストの最適化
照明のLED化や設備運転時間の見直しなど、小さな改善の積み重ねが長期的なコスト削減につながります。
比較的取り組みやすく、効果が見えやすい改善ポイントといえるでしょう。
駐車場・共用部の収益化
空き駐車場の外部貸しや、EV充電設備の導入など、共用部を収益源として活用することも有効です。
ただし、管理規約や入居者満足度への影響も踏まえて、慎重に検討する必要があります。
長期修繕計画の再確認
将来の更新費を見据え、修繕積立水準やスケジュールが現状に合っているかを定期的に確認しましょう。
早めの見直しが、将来的な一時負担の増大を防ぐことにつながります。
経費管理がマンション運営の収益を左右する

マンション運営では、家賃収入だけでなく経費構造の把握が収益安定の鍵を握ります。
毎月の支出を可視化し、見落としがちなコストまで含めて管理することが重要です。
特に築年数の進行や設備状況の変化によって、経費は想定以上に増えることがあります。
定期的な見直しと中長期視点での資金計画により、無理のない運営体制を整えていきましょう。