この記事の3行まとめ
- 値上げを鵜呑みにするのは危険!補償の質を落とさず無駄な保険料を削減するプロの視点
- 「免責金額」の設定と「個人賠償特約」の見直しで、リスクを管理しながら固定費を圧縮
- 管理会社任せにせず「相見積もり」で競争原理を働かせ、最適な契約条件を引き出す鉄則
「保険料の更新見積もりが、前回よりもさらに上がってる…」「このままでは修繕積立金を取り崩さなければならない…」といった深刻な悩みを抱える管理組合が増えています。近年、自然災害やマンションの老朽化に伴って、損害保険会社の保険料率は上昇の一途をたどっています。しかし、管理会社から提示された「値上げプラン」を、検証もせずにそのまま受け入れてはいけません。
保険は、管理組合の会計における大きな固定費です。この費用を適正化できるかどうかが、将来の大規模修繕計画にも大きな影響を及ぼします。本記事では、ファイナンシャルプランナー資格を持つ筆者が補償の質を維持しつつ、無駄なコストだけを徹底的にカットする「プロの保険料削減術」を3つ厳選して解説します。
プロが教える!マンション管理組合の保険料を安くする3つの方法

保険料を安くするためには、単に「補償を削る」のではなく、「リスクを適切にコントロールする」という視点をもつことが大切です。多くの管理組合が、保険料高騰の対策として安易に特約を外したり補償額を下げたりしがちですが、それでは万が一の大事故が発生した際に、数千万円単位の修繕費が発生し、組合財政が破綻してしまう恐れがあります。
ファイナンシャルプランナーの視点で最も重要なのは、「発生頻度は低いが、被害額が甚大になる事故」には保険で備え、「頻繁に起きる少額の修繕」は管理組合の会計(修繕費)で対応するというリスクの切り分けです。この原則を理解せずに契約内容を見直しても、本当の意味でのコスト削減にはなりません。
ここでは、マンション管理の現場とファイナンシャルプランニングの両面から、財務の健全性を保ちつつ、無駄な保険料だけを確実に削減する具体的な3つのテクニックを紹介します。
【方法1】免責金額(自己負担額)を設定して保険料を下げる
最も即効性があり、効果的なのが「免責金額(自己負担額)」の設定です。これは、事故発生時に損害額の一部を組合が負担する仕組みです。多くの管理組合では、免責金額を「0円」に設定していますが、これを「5万円」や「10万円」に引き上げるだけで、保険料を数十万円単位で削減できるケースがあります。
保険の本来の目的は、組合の資金ではまかないきれない「甚大な損害」に備えることです。数万円程度の軽微な破損であれば、保険を使わずに管理費の「小修繕費」から支出する方が、トータルコストは安く済みます。
さらに重要なのが「損害率」の改善です。少額の事故で頻繁に保険を使うと、保険会社からの評価(損害率)が悪化し、次回の更新時に保険料がさらに値上げされる原因になります。「小さな事故は自己資金で対応し、将来の保険料アップを防ぐ」という戦略を持つことが、賢い管理組合の常識となりつつあります。
【方法2】重複しがちな「個人賠償責任特約」の金額を見直す
マンション総合保険の特約の中で、特によく検討すべきなのが「個人賠償責任補償特約(包括契約)」です。これは、居住者が洗濯機のホース外れなどで階下に水漏れ被害を与えた際、その賠償金を補償するものです。
管理組合が一括で加入するため、被害者への救済がスムーズになるメリットがありますが、実は居住者個人の火災保険や自動車保険にも同様の特約が付いていることが多く、補償が重複している「無駄払い」の状態が散見されます。
また、補償限度額の設定も重要です。過去の慣例で「1事故につき10億円」や「無制限」に設定されていることがありますが、一般的なマンションの水漏れ事故で数億円の賠償が発生することは稀です。これを「1億円」や「5,000万円」に見直すだけでも、保険料を節約できます。
まずは居住者へのアンケートで個人の加入状況を把握し、重複加入の無駄がないか、限度額が過大ではないかを精査しましょう。
【方法3】複数の保険会社で一括見積もりを取り競争させる
管理会社任せにせず、必ず「相見積もり」を取ることも鉄則です。実は、マンション保険の保険料率は保険会社によって異なり、特に築年数や管理状況に対する評価基準には大きな差があります。例えば、ある保険会社では築古マンションの保険料が高く設定されていても、別の会社では「管理状態が良好(管理計画認定を取得している等)」であれば割引が適用される商品を持っていたりします。
また、見積もりを依頼する際は、管理会社の系列代理店だけでなく、マンション保険に特化した独立系の代理店にも声をかけるのがポイントです。独立系代理店はしがらみがないため、組合の利益を最優先した「攻めのプラン」を提案してくれる可能性が高いからです。複数の選択肢を比較し、競争原理を働かせることで、より有利な条件を引き出しましょう。
まとめ|固定費削減で管理組合の家計を守ろう

マンション管理組合にとって、保険料削減は単なる節約ではなく、資産価値を守るための重要な経営判断です。
重要なポイントは以下の3点です。
- 免責金額を設定して保険料を下げつつ、将来の値上げリスクも回避する
- 個人賠償責任特約の重複や限度額を見直し、過剰な補償を適正化する
- 管理会社任せにせず、独立系代理店も含めた複数社で競争させる
これらの対策を実行するには、理事会での合意形成が必要不可欠です。まずは現在の契約内容を確認し、「本当にこの金額が適正なのか?」という疑問を持つことから始めてみてください。