不動産投資シミュレーションとは?収支・ローンを自分で計算する方法

不動産投資では、「購入してから想定と違った」と後悔してしまうケースが少なくありません。

その大きな原因のひとつが、物件購入前のシミュレーション不足です。

不動産投資のシミュレーションというと、専用ツールやExcelを使うイメージを持つ人も多いでしょう。

しかし本当に重要なのは、ツールを使うことではなく、収支をどう考え、どう判断するかという視点です。

この記事では、不動産投資の収支やローンを自分で把握し、判断するためのシミュレーションの考え方を、初心者にもわかりやすく解説します。

この記事の3行まとめ

  • 不動産投資の失敗は、事前のシミュレーション不足が原因になることが多い
  • 重要なのはツールではなく、収支やローンを自分で考える視点
  • シミュレーションのポイントを理解すれば、投資判断の精度を高められる

まずは難しく考えすぎず、自分なりに数字を当てはめて収支を整理することから始めてみましょう。

不動産投資シミュレーションとは?

不動産投資シミュレーションとは、物件を購入した場合いくらの収支になるのかを事前に試算することです。

将来を正確に予測するものではなく、投資するかを判断するための材料を整理する作業と考えるとよいでしょう。

家賃収入やローン返済、管理費などを十分に整理しないまま投資を始めてしまうと、想定外の赤字や資金不足に陥るリスクがあります。

そのため、シミュレーションは不動産投資を始めるうえで欠かせない「最低限の準備」といえます。

不動産投資シミュレーションで見るべきポイント

不動産投資のシミュレーションでは、個別の数字だけを見るのではなく、全体の構造を把握することが重要です。

特に初心者の場合、利回りなど一部の指標に目が向きがちですが、それだけでは投資の実態は見えてきません。

まずは、不動産投資をどの視点でシミュレーションすべきか、全体像を整理しておきましょう。

なぜ利回りだけでは判断できないのか

不動産投資では、物件の指標として表面利回りがよく使われます。

しかし、利回りは主に家賃収入を基準に算出されるため、実際に発生する支出までは十分に反映されていないケースが多くあります。

管理費や修繕費、ローン返済、税金などを考慮しなければ、数字上は高利回りでも、実態としては赤字になる可能性も否定できません。

そのため、利回りの数字だけで投資判断をするのは危険といえるでしょう。

不動産投資は「収支」で考える

不動産投資の基本的な考え方は、非常にシンプルです。

家賃収入 − 支出 = キャッシュフロー

このキャッシュフローが安定してプラスになるかどうかが、不動産投資の成否を分ける重要なポイントになります。

シミュレーションを行う際は、利回りにとらわれすぎず、収支全体を把握することを意識しましょう。

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自分でできる不動産投資シミュレーションの方法

不動産投資のシミュレーションは、難しい計算や特別なツールがなくても行えます。

重要なのは、収入と支出を一つずつ整理し、キャッシュフローの流れを把握することです。

ここでは、初心者でも実践しやすい基本的なシミュレーション手順を紹介します。

① 家賃収入をシミュレーションする

最初に、現実的な家賃収入を想定します。

このとき、満室を前提にするのではなく、空室リスクを考慮した金額で計算することが重要です。

満室時の年間家賃収入を求める空室率を考慮して調整する
満室時年間家賃収入=月額家賃×12か月空室リスクを織り込んだ年間家賃収入=満室時年間家賃収入×(1-空室率)

たとえば、月額家賃8万円の物件の場合、

満室時年間家賃収入:8万円×12か月=96万円

空室率5%の場合:96万円×0.95=約91万円

空室率10%の場合:96万円×0.90=約86万円

このように、年間家賃収入の5〜10%程度を空室として見込むことで、過度に楽観的なシミュレーションを避けやすくなります。

家賃収入は、不動産投資シミュレーションのすべての計算の起点となるため、「少し厳しめかな」と感じるくらいの前提で設定しておくことが大切です。

② 毎月かかる支出を洗い出す

次に、毎月発生する支出を整理します。

主な項目は以下のとおりです。

  • ローン返済額
  • 管理費・修繕積立金
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険・地震保険

この段階では、細かい税額計算にこだわるよりも、毎月どれくらいお金が出ていくかを把握することを優先しましょう。

③ キャッシュフローを計算する

キャッシュフローは、次の式で求められます。

キャッシュフロー=月間家賃収入-月間支出合計

計算結果がプラスであれば、毎月現金が残る黒字運用です。

一方で、マイナスの場合は、毎月自己資金を補填しなかればいけない赤字運用になります。

たとえ少額の赤字であっても、長期間続けば家計への負担は大きくなります。

不動産投資シミュレーションで確認すべきポイント

シミュレーションを行う際は、「いくら借りられるか」ではなく、返済を続けてもキャッシュフローが残るかどうかを基準に考えることが重要です。

繰り上げ返済や借り換えについては、投資を始めた後の選択肢として考えれば十分でしょう。

最初から複雑な前提条件を盛り込みすぎると、かえって判断を誤りやすくなります。

また、シミュレーション結果を見るときは、次の点を必ず確認してください。

  • 想定が楽観的すぎないか
  • 金利上昇や空室リスクを織り込んでいるか
  • 楽観・標準・悲観の3パターンで検討しているか
  • 赤字になった場合でも、家計が無理なく耐えられるか

数字上は問題がなく見えても、現実的に続けられない投資では意味がありません。

シミュレーションは、利益を最大化するためだけでなく、長く安定して運用できるかを見極めるためのものだと考えましょう。

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不動産投資シミュレーションで注意すべきポイント

不動産投資では、過去の成功事例がそのまま再現できるとは限りません。

市場環境や金利、物件の状態によって状況は変わるため、シミュレーション結果はあくまで参考値として捉える必要があります。

特に長期保有を前提とする場合、デッドクロスのように、時間の経過とともに収支が悪化する可能性も考慮しておくことが重要です。

「シミュレーション上は問題ない」という状態と、「実際に無理なく続けられる投資」は必ずしも一致しません。

そのため、数字だけで判断するのではなく、生活費や貯蓄、突発的な支出にも対応できる資金余力を含めて検討しましょう。

また、不動産投資では節税や減価償却に注目されがちですが、その効果は人によって大きく異なります。

サラリーマンであっても、必ず節税につながるとは限りません。

シミュレーション段階では、税金は「必ず発生するもの」として大まかに織り込み、具体的な節税額や税務判断については、専門家に相談する前提で考えるのが安全です。

まとめ

不動産投資では、事前のシミュレーションが欠かせません。

大切なのはツールを使うことではなく、収支を自分で理解し、判断できるかどうかです。

家賃収入と支出を整理し、キャッシュフローを見るだけでも、失敗リスクは大きく下げられます。

無理のない前提でシミュレーションを行い、自分に合った不動産投資を検討していきましょう。

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クラウド管理編集部

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