【FP監修】不動産投資で相続対策をする賢い方法を徹底解説

不動産投資を相続対策に活用したいけど、「本当に節税効果はあるの?」「何から手をつければいい?」と不安に感じていませんか? 大切な家族に資産を残したい、というあなたの思いに寄り添います。

この記事では、ファイナンシャルプランナーの視点から、不動産投資がなぜ相続税対策に有効なのか、その仕組みから賢い物件選びの方法、そして注意点まで徹底的に解説します。この記事を最後まで読んで、将来の不安を解消し、安心した未来を手に入れましょう。

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FPが解説!なぜ不動産投資が相続税対策に有効なのか?

老後の生活や家族への資産承継を考えたとき、多くの方が「相続税の負担はどのくらいだろうか」と不安に感じるのではないでしょうか。筆者もファイナンシャルプランナーとして活動する中で、資産家の相談者様から「何もしなければ数千万円の相続税がかかると言われて驚きました」と困った表情で相談されることがあります。

不動産投資は、このような相続税の悩みを解決する有効な方法のひとつです。現金や有価証券とは異なり、不動産には税法上の特別な評価方法が定められています。その仕組みを正しく理解し、賢く活用することが、大切な資産を守り、未来の家族の生活を守ることにつながるのです。

ここでは、なぜ不動産投資が相続対策として有効なのか、その仕組みについて分かりやすく解説します。

① 現金を不動産に変えるだけで税金が安くなる理由


相続税の計算方法は、保有している財産の種類によって異なります。現金や預金は、額面通りに評価されるため、1億円持っていればそのまま1億円として計算されます。一方、不動産は「相続税評価額」という独自の基準での評価です。この評価額は、市場価格(時価)よりも低く設定されているため、現金を不動産に換えることで、相続税評価額が下がるケースがあります。

たとえば、市場価格1億円の土地でも、相続税評価額は路線価(道路に面した土地の1平方メートルあたりの評価額)に基づいて評価され、約8割程度になることが一般的です。 また建物は、固定資産税評価額で評価され、これは市場価格のおよそ5〜6割程度になる場合が多いです。 このように、同じ1億円の資産でも、現金で持っている場合と不動産で持っている場合で、相続税の課税対象となる金額に大きな差が生まれます。

出典:ゼロリノベ「路線価とは|正しく相続税を算出するために気をつけること4つ」(2025年1月)

② 賃貸に出せばさらに評価額を大幅に減らせる


不動産投資の真価は、賃貸に出すことで評価額をさらに大きく下げられる点にあります。この仕組みは、相続税の計算において、他人に貸している不動産(賃貸不動産)の評価が、自分で使う不動産(自用不動産)よりも低くなるというルールに基づいています。

賃貸収入というメリットを得ながら、同時に相続税の節税効果を高められるのは、不動産投資ならではの大きな魅力です。

③ 借入を利用すると節税効果がさらにアップ


相続税対策として不動産投資を行う場合、銀行から融資(借入金)を受けて物件を購入するのが一般的です。この借入金は、相続税の計算上、大きなメリットをもたらします。

理由は、相続税では、被相続人が残したプラスの財産からマイナスの財産(債務)を差し引いた金額が課税対象となるからです。不動産を購入するために借り入れたローンは、このマイナスの財産に該当します。たとえば、1億円の不動産を借入金1億円で購入した場合、プラスの財産が1億円、マイナスの財産が1億円となり、差し引きゼロとして計算されるのです。

もちろん、借入には金利や返済負担などのリスクも伴います。しかし、不動産の評価額を下げつつ、借入金でさらに相続財産全体を圧縮できるこの仕組みは、相続税対策として有効に働く場合がありますが、税務署に否認されるリスクもあるため注意が必要です。

ただし、相続税対策とみなされると税務署から否認される可能性もゼロではありません。詳しくは後ほど注意点のセクションで詳しく解説します。

賢い人と知らない人の違いを示す不動産投資の相続対策イメージ

賢い人が実践する!相続対策で成功する不動産投資の選び方

相続対策のために不動産投資を始める際、「どんな物件を選べばいいんだろう?」と悩む人も多いのではないでしょうか。実は、どんな物件でも良いわけではありません。効果的な相続対策を実現するためには、選び方にいくつかのポイントがあります。

筆者が担当した相談者様の中には、節税効果ばかりに注目し、後になって「空室が増えてローンの返済が厳しくなった」と後悔される人もいました。相続対策という長期的な視点を持つなら、安易に高額な物件に手を出すのは危険です。ここでは、相続税の節税と将来の安定を両立させる、賢い不動産の選び方について解説します。

① 時価と評価額のギャップが大きい不動産を選ぶ


相続税対策で不動産を選ぶ際の最大のポイントは、市場価格(時価)と相続税評価額のギャップが大きい物件を選ぶことです。時価が高いにもかかわらず、相続税評価額が低く抑えられる物件は、少ない資産で大きな節税効果を得られるからです。

代表的な例としては、都心部のタワーマンションや賃貸アパートです。これらの物件は、市場で取引される価格は高い傾向にありますが、相続税評価額は路線価や固定資産税評価額に基づいて計算されるため、時価よりも低くなります。

ただし、時価と評価額のギャップだけを追求するのは危険です。不動産の価値は、市場動向や物件の築年数、管理状況によって変動します。将来的な売却も視野に入れ、資産価値が下がりにくい物件を選ぶことが重要です。

② 収益性と換金性の高い不動産を見極める


相続対策として不動産を持つのであれば、収益性と換金性を見極めることが重要です。収益性とは、家賃収入などによって安定した利益を生み出す力です。一方、換金性とは、必要になったときにすぐに現金化できる力のことです。

これらの要素は、単なる節税を超えたメリットをもたらします。安定した家賃収入は、自身の老後生活を支える「第二の年金」になるでしょう。また、将来的に相続人が納税資金を確保する必要が生じた場合でも、換金性の高い物件であれば、売却して現金に換えやすくなります。

具体的な物件としては、都心のワンルームマンションや、利便性の高い場所にある賃貸アパートなどです。これらの物件は入居需要が高く、比較的安定した家賃収入を見込めるため、資産の有効活用にもつながります。

③ 【事例】タワーマンションとアパート経営を徹底比較


相続対策でよく比較されるのが、タワーマンションとアパート経営です。どちらも節税効果が高いとされていますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

タワーマンション
  • メリット: 都心の一等地に位置する物件は、時価が高い一方で評価額が低く抑えられるケースもあります。管理の手間が比較的少なく、換金性も高い傾向にあります。
  • デメリット: 購入価格が高額になりやすく、その分借入額も大きくなりがちです。また、近年は相続税の税務調査が厳しくなり、過度な節税とみなされれば、税務署から否認されるリスクがあります。
アパート経営
  • メリット:複数戸をすべてするため、空室リスクを分散できます。首都圏の賃貸アパート平均空室率は約5%前後です。これは、数戸のアパートであれば、1室空いていても他の部屋でカバーできることを示しています。また、自分で土地でアパートを建築すれば、土地と建物の両方で節税効果を得られます。
  • デメリット: 管理の手間がかかることが多く、大規模な修繕費用も必要です。また、換金性が低いため、すぐに売却するのは難しい場合があります。

出典:プロパティデータバンク株式会社「賃貸住宅の統計はなぜ食い違う?──答えは「クラス分け」にあった」(2025年6月)

不動産投資の相続対策で失敗を防ぐための注意点を示す高層ビルのイメージ

未来が変わる!相続対策で失敗しないための注意点

不動産投資が相続税対策に有効だとわかっても、ただ闇雲に始めれば良いというわけではありません。知識がないまま進めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまり、大切な家族に迷惑をかけてしまう可能性もあります。筆者も過去に、相談者様が「節税のためにタワーマンションを買ったけど、税務署から否認されて多額の追徴課税を払うことになった」という辛いケースを何度も見てきました。

相続対策の不動産投資で失敗しないためには、税務上のルールや、家族間のトラブルを避けるための対策を事前に知っておくことが必要です。ここでは、あなたの未来を守るために、不動産投資を活用した相続対策の注意点について解説します。

① 税務署に否認される?知っておくべきルール


不動産投資は強力な節税策ですが、税務署は過度な節税に対して厳しい目を向けています。特に、相続が発生する直前に高額な不動産を購入して評価額を意図的に下げたようなケースは、税務署から「租税回避行為」とみなされ、不動産の評価額を時価で再計算するよう命じられる可能性があります。これは、「財産評価基本通達6項」と呼ばれる税務署の裁量権に基づいた判断です。

国税局のデータによると、令和3年度事務年度における相続税の税務調査(実地調査)件数は6,317件に上り、約8割が申告漏れと指摘されています。税務署から否認されないためには、以下の3つのルールを知っておきましょう。

税務調査の現状
  • 相続発生の3年以内の不動産購入は、節税目的と判断されやすい。
  • 借り入れ金額が大きすぎると、相続税逃れとみなされやすい。
  • 相続税評価額の評価を著しく引き下げるような取引は、否認される可能性が高い

出典:税理士法人 山田&パートナーズ「国税庁「令和3事務年度における相続税の調査の状況について」発表」(2022年12月)

② 相続人同士で揉めないための不動産共有対策


不動産は、現金のように簡単に分割できないため、相続人同士でトラブルになりやすい財産です。特に、不動産投資を始めたものの、対策が不十分なままだと、遺産分割で家族が揉めてしまうリスクが高まります。

筆者の経験上、不動産が原因で揉める家族の9割以上は、事前に話し合いができていないケースです。相続対策の潜在ニーズである「家族の安心感」や「レガシーの確立」を実現するためには、以下の対策を検討することをおすすめします。

家族トラブル回避のための対策
  • 遺言書の作成: 不動産の引き継ぎ先を明確に指定することで、争いを防げます。
  • 代償分割: 相続人の一人が不動産を相続し、他の相続人にはその代償として現金を支払う方法です。納税資金を確保しやすいように、換金性の高い不動産を選んでおくことが重要になります。
  • 不動産小口化商品: 複数の人で不動産を小口に分けて所有する商品です。少額から投資できるため、公平な分割がしやすくなります。

これらの対策を講じることで、あなたの大切な家族を遺産分割のトラブルから守り、安心した未来を築けるでしょう。

まとめ

今回は、不動産投資が相続税対策に有効な理由から、賢い物件選び、そして失敗しないための注意点までを解説しました。大切なポイントは、現金を不動産に変えるだけで相続税評価額を下げられ、さらに賃貸に出したり借入を活用したりすることで、節税効果が見込めるケースがあることです。

筆者の経験では、相続の悩みを抱える方の多くが、「もっと早く相談していれば…」と後悔されます。家族の将来を真剣に考えるあなたのその思いは、きっとご家族にも伝わります。

相続は誰にとってもいつか必ず訪れるものです。漠然とした不安を抱えたまま過ごすのではなく、まずは一歩踏み出し、専門家と一緒に具体的なシミュレーションをしてみましょう。不動産投資は、単なる節税ではなく、安定収入や遺産分割の円滑化といったメリットももたらします。

大切な家族を、そしてあなた自身の未来を守るために、今から行動を始めることが何よりも重要です。この記事が、あなたの相続対策の一助となれば幸いです。

不動産投資での相続対策についてよくある質問

Q1. 相続対策に有効な不動産の特徴は?


A. 時価より相続税評価額が低い物件、具体的には都心のワンルームマンションやアパートが有効です。また、収益性や換金性が高く、安定した家賃収入を得られる物件を選びましょう。

Q2. 納税資金不足にならない対策はありますか?


A. 納税資金不足を避けるには、換金性の高い不動産を保有したり、生命保険を活用したりする方法があります。安定した家賃収入を得ることも有効です。

Q3. 借入を利用した相続税対策は本当に有効ですか?


A. 借入金は相続財産から差し引かれるため、相続税の課税対象額を減らせる場合があります。ただし、否認リスクや返済負担には注意が必要です。

著者

クラウド管理編集部

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