近隣クレームは放置すると退去や悪評につながりやすく、空室リスクを高める原因にもなります。
だからこそオーナー側は、処理の手順を決めて淡々と対応することが重要です。
本記事では、マンションオーナー向けに、近隣クレームを揉めずに収束させるための考え方と実務の流れを整理します。
この記事の3行まとめ
- 近隣クレームは放置すると退去や空室リスクにつながるため、初動が重要
- 処理は「事実確認→記録→注意喚起→改善策」の順番で進めると揉めにくい
- 管理会社と役割分担し、再発防止まで仕組み化することが安定経営につながる
近隣クレームは放置すると空室リスクになる

近隣クレームは、物件価値の低下につながるサインです。
クレームが続くと、入居者本人だけでなく周囲の住民もストレスを抱え、結果として退去が増えたり、募集時に不利になったりします。
特に怖いのは、クレームが大きくなるほど「誰も対応してくれない物件」という印象が残ることです。
そうなると、同じ家賃帯の物件と比較されたときに候補から外れやすくなります。
管理会社とオーナーの役割分担を最初に決める

近隣クレームで揉めやすいのは、内容そのものより誰がどこまで対応するのかが曖昧なケースです。
管理会社がいる物件でも、オーナーがすべて丸投げしていると判断が遅れ、逆にオーナーが直接入居者へ連絡すると、関係がこじれることもあります。
基本は、一次対応は管理会社、判断が必要な部分をオーナーが決める形がスムーズです。
例えば「掲示を出す」「注意文を送る」「改善がなければ次の段階へ進む」といった対応の方針は、管理会社任せにせず、オーナー側も共有しておくと安心です。
近隣クレーム処理の基本フロー

近隣クレームは、初動で対応の質が決まります。
早すぎる断定や感情的な謝罪は避け、事実確認から進めるのが鉄則です。
まずは事実確認を取る
クレームを受けたら、最初にやるべきは謝ることではなく、何が起きたかを整理することです。
近隣住民は感情が高ぶっていることが多いため、話を聞く側は冷静に情報を集めます。
確認すべきポイントは、いつ・どこで・どんな内容が・どのくらい続いているかです。
騒音なら、時間帯や頻度、音の種類。
ゴミなら、何が、どの場所に、どれくらいの期間放置されているかなど、具体化するほど対応がしやすくなります。
ここで重要なのは、クレームを否定しないことです。
「それは入居者のせいではないと思います」といった言い方をすると、相手は「軽く扱われた」と感じ、火に油を注ぎます。
まずは受け止め、確認して対応する姿勢を示すことが大切です。
記録を残す
近隣クレームは、記録があるかどうかで難易度が変わります。
口頭だけで進めると、後で「言った・言わない」になりやすく、管理会社やオーナー側が不利になります。
最低限、クレームを受けた日時、申告内容、該当住戸の可能性、対応予定をメモに残しましょう。
可能であれば、現地確認時の写真や、掲示を出した日付なども残しておくと、後から説明がしやすくなります。
入居者へ注意喚起
事実確認ができたら、入居者へ注意喚起を行います。
ただし、ここでいきなり犯人扱いをすると反発が起きます。
ポイントは、クレームが来ている事実と改善してほしい内容を分けて伝えることです。
例えば騒音なら「深夜帯に音が響いているという連絡がありました。時間帯の配慮をお願いします」といった形にすると、角が立ちにくくなります。
相手を追い込むより、まず改善の余地を作る方が、結果的に収束が早いケースが多いです。
また、注意喚起は電話より文書のほうが記録に残り、誤解も減ります。
改善策を実施(掲示・ルール整備・設備対応)
注意喚起だけで改善しない場合は、次の手を打ちます。
騒音なら共用部に注意喚起の掲示を出す、ゴミなら分別ルールの再周知や監視強化をするなど、物件全体に向けた対策を行うと効果的です。
また、クレームが設備起因の可能性もあります。
排水音、換気扇の異音、共用部照明の不具合など、入居者のマナーだけでは解決しないケースもあるため、必要に応じて点検・修繕も検討します。
原因が曖昧なまま入居者だけを責めると、別のトラブルに発展しやすいので注意が必要です。
よくある近隣クレームの原因

近隣クレームは種類が多いですが、賃貸マンションで頻出するのは大きく3つです。
ここを押さえるだけでも、対応の精度が上がります。
騒音
騒音は最も多いクレームです。
特に単身向けやファミリー混在物件では、生活リズムの違いが原因になりやすく、悪意がなくても発生します。
注意喚起では「夜間は静かに」だけでなく、具体的に洗濯機・掃除機・足音・ドアの開閉などを示すと改善につながりやすくなります。
ゴミ出し
ゴミ問題は、衛生面だけでなく「管理が悪い物件」という印象を作りやすいのが厄介です。
掲示の徹底、ゴミ置き場の清掃、ルールの再周知など、管理の見える化が効果的です。
放置するとクレームが連鎖し、入居者全体の不満に発展します。
共用部
共用部のマナー違反は、当事者以外にも迷惑がかかるため、クレームが強くなりやすい傾向があります。
特に、喫煙や私物放置はルール違反として扱いやすいので、掲示と個別通知を組み合わせ、改善期限を設けると収束しやすくなります。
マンション管理で多いクレーム5選と効果的な対応策|オーナー必見のトラブル解決法
近隣クレームが長期化する失敗パターン

近隣クレームが長引く物件には共通点があります。
原因を知っておくと、同じ失敗を避けやすくなります。
明細や対応が曖昧で説明できない
「対応します」と言ったまま何をしたかが曖昧だと、相手は不満を募らせます。
対応は、やったことを言語化し、次の予定まで伝えるのが基本です。
小さな報告が信頼につながります。
証拠がなく水掛け論になる
入居者が「そんなことしていない」と否定したとき、記録がないと話が止まります。
記録は相手を追い詰めるためではなく、事実を整理するために必要です。
対応履歴を残すだけで、管理会社・オーナー側の負担が減ります。
注意が強すぎて入居者が反発する
正論でも言い方を間違えると、入居者が感情的になり、余計に揉めてしまいます。
最初は改善依頼として伝え、改善がない場合に段階的に強める方が、結果的に退去やトラブルを防ぎやすくなります。
近隣クレームを減らす予防策

クレーム処理は起きてから対応するだけではなく、起きにくくする工夫も必要です。
ここからは、近隣クレームを減らす対策方法を紹介します。
入居時にルールを明確化して周知する
騒音・ゴミ・共用部のルールは、入居時に一度きちんと渡しておくと、後の注意喚起がしやすくなります。
「知らなかった」を減らすだけで、トラブルはかなり減ります。
共用部の管理状態を整える
共用部が暗い、汚れている、掲示が乱れている物件は、それだけでクレームが増えやすくなります。
逆に共用部が整っていると、入居者のマナーも保たれやすく、近隣からの印象も良くなります。
設備投資より先に、管理品質を上げることが効果的な場合もあります。
近隣クレームは記録と順番で収束させる

近隣クレームの処理は、対応の順番と説明できる状態にすることが重要です。
事実確認→記録→注意喚起→改善策という流れを守れば、感情的な対立を避けやすくなります。
管理会社と連携しながら、対応を仕組み化することで、物件価値と入居継続率を守っていきましょう。