家具付き物件は、「すぐに住める」「引っ越しの準備が少なくて済む」といった点から、入居者にとっては魅力的な条件です。
一方で、マンション管理においては、想定外のトラブルや負担増につながるケースもあります。
家具付き物件のトラブルを防ぐには、管理体制や運用ルールまで含めて設計しなくてはいけません。
この記事の3行まとめ
- 家具付き物件は、空室対策として有効に見える一方、管理面の負担やトラブルリスクも伴う
- 成功のカギは、管理体制や運用ルールを含めて設計できているかどうか
- 家具付き物件を検討する際は、入居者ニーズと管理の相性を踏まえた判断が欠かせない
この記事では、マンション管理の視点から、家具付き物件を導入する際の考え方やメリット、注意すべきポイントを整理して解説します。
家具付き物件とは?

家具付き物件とは、ベッドやテーブル、収納家具などが備え付けられている賃貸物件を指します。
単身者や短期入居者、法人契約を想定した物件で、空室対策や募集強化の一環として導入されることが多いです。
家具付き物件で備えられている家具や家電は、オーナー側の備品として扱われるため、破損時の対応や退去時の原状回復など、通常の賃貸よりも手間や費用がかかります。
募集時の見栄えを良くし、内見時の印象を高める狙いがある一方で、その後の運用まで見据えた導入判断が欠かせません。
家具付き物件を導入するメリット

家具付き物件は、空室対策に最適な施策です。
ここでは、家具付き物件を導入する主なメリットについて解説していきます。
募集時の訴求力が高まりやすい
家具付き物件のメリットは、募集写真や内見時の印象がよくなりやすいことです。
室内に家具が配置されていることで生活イメージがしやすくなり、入居後の暮らしを具体的に想像してもらいやすくなります。
同じ条件の物件と比較した場合、視覚的な差別化につながるでしょう。
特に、初めて一人暮らしをする層や、転勤・単身赴任などで早期入居を希望する層に対しては、有効な募集手法です。
ターゲットを絞った運用がしやすい
家具付き物件は、ターゲットを明確に設定した運用と相性が良い募集形態です。
単身者向け、短期滞在向け、法人契約向けなど、入居者像がはっきりしていると、管理方針や募集条件も整理しやすくなります。
一方で、ターゲットを曖昧にしたまま導入すると、「便利そうだが自分には合わない」と判断され、かえって空室期間が長引くケースもあります。
家具付き物件は、誰に向けた物件なのかを明確にしたうえで運用することが大切です。
家具付き物件で起こりやすい管理トラブル

家具付き物件は、募集面ではメリットがある一方で、管理の現場では通常の賃貸にはないトラブルが発生しやすくなります。
ここでは、家具付き物件で起こりやすい代表的な管理トラブルを紹介します。
家具・家電の破損・故障対応
家具付き物件では、家具や家電の破損・故障が管理課題になります。
経年劣化なのか、入居者の故意・過失なのか、その線引きが難しく、対応を誤るとトラブルに発展します。
管理会社やオーナーがどこまで対応するのか、事前にルールを決めておかないと、対応が場当たり的になるので注意が必要です。
退去時トラブルが増えやすい理由
退去時には、「どこまでが通常損耗なのか」「修理・交換費用は誰が負担するのか」といった点で、入居者との認識がズレやすいため、家具の原状回復トラブルが起こりやすくなります。
家具付き物件を管理するときは、退去時対応まで含めた管理設計を行わなくてはいけません。
家具が「不要」な入居者とのミスマッチ
すべての入居者が家具を必要としているとは限りません。
すでに家具を持っている人にとっては、家具付き物件がかえって使いづらく感じられるケースもあります。
家具の撤去や保管、処分の可否など、管理規約や契約内容を曖昧にしたまま募集すると、トラブルの原因になります。
マンションの空室対策は管理で決まる|ターゲット別に見る効果的な改善ポイント
家具付き物件を管理する際のポイント

家具付き物件は、事前に管理のルールを整えておくことで、リスクを抑えて運用できます。
ここでは、家具付き物件を管理するうえで、最低限押さえておきたいポイントを紹介します。
管理規約・契約内容を明確にする
家具付き物件では、備品一覧を明示し、修理・交換・弁償のルールを契約書に明確に記載しておくことが重要です。
どこまでが通常使用で、どこからが入居者負担になるのかを曖昧にしたまま募集すると、退去時や故障時にトラブルへ発展しやすくなります。
管理上の負担を減らすためにも、トラブルが想定されるケースを事前に文章で整理しておきましょう。
管理会社と役割分担を決めておく
家具や家電の不具合が発生したとき、どこまで管理会社が対応し、どの段階でオーナー判断が必要になるのかを、あらかじめ整理しておく必要があります。
対応フローを事前に決めておくことで、入居者からの連絡時にも迷いがなくなり、トラブルの混乱を防ぎやすくなります。
管理会社に任せるべき業務とオーナーが直接関わるべき業務の違い|効率的な賃貸経営の役割分担
家具付きが「向いている物件」を見極める
すべてのマンションが、家具付き物件に向いているわけではありません。
立地や築年数、想定するターゲット層によっては、家具を付けることで管理負担だけが増えてしまうケースもあります。
「募集に有利かどうか」だけでなく、管理として無理なく回せるかどうかを基準に、導入の判断をしましょう。
家具付き物件が向いているケース・向いていないケース

家具付き物件の導入の成否を分けるのは、家賃や立地ではなく、管理負担をどこまで許容できるかという点です。
ここでは、家具付き物件が成立しやすいケースと、注意が必要なケースを解説します。
管理負担を許容できる場合は成立しやすい
管理体制が整っており、トラブル対応や備品管理に一定の手間をかけられる場合、家具付き物件は有効な空室対策になります。
特に、短期入居や法人契約など、入居期間や入居者像がある程度限定される物件では、運用が安定しやすい傾向があります。
ターゲット層の多くが「家具があること自体」に価値を感じるのであれば、管理負担と得られる効果のバランスも取りやすくなります。
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管理負担を増やしたくない場合は注意が必要
一方で、短期売却や長期入居を前提としたマンションでは、家具付きがかえってデメリットになるケースもあります。
備品管理やトラブル対応が増えることで、運用のストレスが大きくなる可能性も否定できません。
管理負担を極力増やさず、安定運用を優先したい場合は、家具付き導入は慎重に検討する必要があります。
家具付き物件は「管理できるか」で判断する

家具付き物件は、空室対策として魅力的に見える一方で、楽観的な導入はリスクが表面化しやすい傾向にあります。
成功の分かれ目は、募集力の高さではなく、管理として無理なく回せるかどうかです。
家具付き物件を検討する際は、「本当に管理できるか」という視点を最優先に、物件特性や管理体制と照らし合わせながら検討することが大切です。