この記事の3行まとめ
- 修繕積立金の不足は深刻な課題で、国交省調査では多くのマンションで不足が発生
- 適正な積立金設定と長期修繕計画の定期見直しが資産価値維持の鍵
- 積立金値上げ・工事の分割実施・資金運用の3つの対策で不足リスクに備える
修繕積立金の現状と課題

マンションの老朽化が進む中、修繕積立金の不足は全国的な問題となっています。国土交通省の調査によると、修繕積立金が計画より不足しているマンションは決して少なくない状況です。
背景には、新築分譲時に積立金を低く設定して販売しているケースや、段階増額方式で予定通りの値上げが実施されていないことなどがあります。また、築年数の経過に伴い、給排水管やエレベーターなど設備更新の費用も増大していくのが実情です。
積立金の不足は「安全性の低下」「工事品質の低下」「資産価値の下落」という3つの大きなリスクをもたらします。
早期の対策が、資産を守る上で欠かせません。
修繕積立金と管理費の違い

マンションの運営には「修繕積立金」と「管理費」という2種類の費用が必要です。
それぞれの目的と使途を明確に理解することが、健全な資金管理の第一歩です。
| 項目 | 修繕積立金 | 管理費 |
| 目的 | 大規模修繕工事のための積立 | 日常的な管理・運営費用 |
| 使用例 | 外壁塗装、屋上防水、給排水管更新 | 清掃費、水道光熱費、点検費用 |
| 特徴 | 将来の修繕に備えて積み立てる | その月の運営費として消費 |
国土交通省のガイドラインによると、修繕積立金の目安は専有面積に応じて設定されています。
積立金の方式と地域別平均額

積立方式には主に「均等積立方式」と「段階増額方式」があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、マンションの状況に応じて選択することが重要です。
| 積立方式 | 特徴 | メリット | デメリット |
| 均等積立方式 | 最初から一定額を積み立てる | 将来の値上げリスクが少ない | 初期の負担が大きい |
| 段階増額方式 | 段階的に積立額を増やす | 初期の負担を軽減できる | 増額時に合意形成が難しい |
地域によっても修繕積立金の平均額には差があります。
修繕積立金不足に備える対策

資金不足が深刻化する前に、以下の対策を早急に検討しましょう。
1. 積立金の値上げ
最も基本的な対策は、積立金を段階的に増額することです。
長期修繕計画を見直し、必要な水準を算出した上で適正な金額に設定します。
区分所有者の理解を得るためには、将来のリスクや必要金額を「見える化」して丁寧に説明することが大切です。
2. 長期修繕計画の見直し
「緊急性の高い工事」と「延期可能な工事」を分類し、優先順位を明確化することで現実的な計画を立て直すことができます。
専門家やコンサルタントによる助言を受けることで、より合理的な資金計画を作成できます。
3. 資金運用と融資の活用
大規模修繕までの期間に余裕がある場合は、安全性の高い金融商品による資金運用も検討可能です。
| 運用先 | 特徴 |
| 普通預金 | 安全性が高い |
| マンションすまい・る債 | 住宅金融支援機構が発行 |
| 新窓販国債 | 国が発行する債券 |
| 個人向け国債 | 2027年1月から管理組合も購入可能 |
また、「マンション共用部分リフォーム融資」を活用することで、資金不足時の対応がスムーズになります。
国土交通省のガイドラインでは、長期修繕計画の見直しは5年ごとが推奨されています。
ただし、大規模修繕工事完了後や物価上昇時にも、早めの見直しが有効です。
まとめ:資産価値を守るための資金計画

修繕積立金は、マンションの資産価値を守るための「未来への投資」です。
適切な積立金設定と定期的な見直しにより、将来の大規模修繕に備えられます。
また、居住者の安全性や快適な住環境を維持するためにも、計画的な資金管理が欠かせません。
管理組合は、現在の修繕積立金の残高と長期修繕計画の整合性を確認し、不足が見込まれる場合は早期に対策を検討しましょう。
「先延ばしにしない判断」が、資産価値を守る最大のポイントです。