不動産投資は安定した収益を得られる一方で、「税金」の知識が欠かせません。利益が出れば当然税金が発生し、節税対策を知らないと余計な負担を背負うことになります。不動産投資を始めたばかりの方の中には、「どの税金がかかるのか」「どうやって節税できるのか」まで理解しきれていない方も多いでしょう。税金の知識が浅いと、思わぬ出費に悩まされてしまいます。
そこで本記事では、不動産投資を始めたばかりの方が押さえておくべき税金の基礎知識から、具体的な節税ポイントまで解説します。
1)不動産投資でかかる主な税金

不動産投資で押さえておきたい主な税金は次のとおりです。
1. 所得税・住民税
家賃収入から必要経費を差し引いた「不動産所得」に対して課税されます。給与所得がある方は給与と合算して課税されるため、累進課税で税率が高くなるケースもあります。
2. 固定資産税・都市計画税
不動産を所有している限り毎年かかる税金です。土地や建物の評価額に応じて計算され、長期的なランニングコストとして考えておく必要があります。
3. 不動産取得税
物件購入時に一度だけかかる税金で、購入価格(課税標準額)の3〜4%程度が目安です。
4. 登録免許税
不動産を購入・登記する際に支払う税金です。所有権移転や抵当権設定の際にかかります。
5. 譲渡所得税
物件を売却して利益が出た場合に課税されます。所有期間が5年以内か5年超かによって税率が大きく異なる点に注意が必要です。
2)節税の基本!必要経費を正しく計上する
節税の第一歩は「経費の正しい計上」です。不動産投資では想像以上に多くの支出が経費として認められます。
・減価償却費:建物や設備の価値を年数に分けて経費化できる
・ローン利息:借入金の元金ではなく利息部分は経費にできる
・管理費・修繕費:管理会社への委託料や修理費用
・保険料:火災保険や地震保険の掛け金
・交通費・通信費:物件確認や管理にかかる交通費、電話代など
とくに「減価償却費」は、大きな金額を数年かけて経費計上できるので、節税効果が大きくなります。
3)青色申告でさらに節税効果を高める

個人投資家の場合、「青色申告」を選ぶことでさまざまな税制優遇を受けられます。青色申告の特徴は次のとおりです。
- 青色申告特別控除(最大65万円)
複式簿記で帳簿をつければ、大きな控除が受けられる。 - 赤字の繰越控除
不動産所得が赤字になった場合、翌年以降3年間繰り越して利益と相殺できる。 - 家族への給与を経費化
家族に物件管理を手伝ってもらい、その対価を給与として支払えば経費にできる。
初心者でも会計ソフトを活用すれば比較的簡単に青色申告が可能です。節税効果が大きいため、前向きに検討すべきでしょう。
4)法人化による節税メリット
物件規模が拡大して収益が大きくなると、個人よりも法人化した方が有利になるケースがあります。法人化の特徴やメリットは次のとおりです。
- 法人税率が一定である:個人の累進課税と異なり、利益が増えても税率が急激に上がらない
- 経費計上の幅が広い:役員報酬、生命保険料、福利厚生費なども経費化できる
- 所得分散が可能である:家族を役員にして報酬を分配すれば、個人課税を抑えられる
ただし法人設立費用や維持費が発生するため、目安として年間1,000万円以上の利益が見込める場合に検討するのが一般的です。
5)節税と税務リスクのバランスに注意

節税を意識するあまり、過度な経費計上や架空の費用計上を行うと税務調査で否認されるリスクがあります。特に初心者は「どこまでが経費になるのか」を誤解しがちです。
税務署は不動産投資に関する申告を重点的にチェックする傾向もあるため、税理士のサポートを受けながら正しく節税することが重要です。
【まとめ】資産を効率的に増やすためにも「節税」は必要不可欠
不動産投資の成功は、収益力だけでなく「税金対策」をどれだけ理解しているかにも大きく左右されます。初心者ほど、税金を軽視して後から想定外の出費に悩まされるケースが少なくありません。お伝えした節税ポイントは次のとおりです。
- 必要経費を漏れなく計上する(減価償却費・利息・修繕費など)
- 青色申告で控除や繰越を活用する
- 物件規模が大きくなったら法人化を検討する
- 無理な節税はリスクになるため、専門家に相談する
今回紹介したポイントを押さえておけば、余計な税負担を避け、資産を効率的に増やしていくことができます。不動産投資は長期戦です。正しい節税知識を武器に、安定した投資運営を目指しましょう。