不動産の売却にかかる税金を徹底解説!計算方法・特例・節税ポイント

不動産を売却する際、「税金はどれくらいかかるのか?」「節税の方法はあるのか?」と疑問を持つ方も多いでしょう。

実際、売却益には所得税や住民税が課税されますが、計算方法や所有期間による税率、さらに特例や控除制度を理解しておくことで、支払う税金を大幅に減らせます。

本記事では、不動産売却に伴う税金の基本から、申告・納税の流れ、そして具体的な節税のポイントまでをわかりやすく解説します。

目次

不動産売却でかかる主な税金

不動産を売却した場合、利益(譲渡所得)に対して課税が行われます。ここでは税金の種類や計算方法、税金以外にかかる代表的な費用について解説します。

譲渡所得とは?

不動産を売却して利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」として課税対象になります。課税対象となる金額は次の式で算出されます。

譲渡所得=売却価格−取得費−譲渡費用

国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)

取得費には購入代金や仲介手数料、登記費用などが含まれ、譲渡費用には売却時の仲介手数料や測量費、解体費用などが該当します。

この譲渡所得に対して「所得税」「住民税」「復興特別所得税」が課税され、給与などとは別で課税される「分離課税方式」が採用されます。

売却時に発生するその他の費用

売却時には、税金のほかにも以下のような費用がかかることがあります。

  • 印紙税(売買契約書に貼付)
  • 登録免許税(名義変更や抵当権抹消など)
  • 仲介手数料(上限は法律で決められている)
  • 測量費用・解体費用(古家付き土地の場合)

これらの費用の多くは「譲渡費用」として控除可能なため、領収書などをしっかり保管しておきましょう。

所有期間で異なる税率

不動産売却で課税される税率は、所有期間によって大きく変わります。税制上、「5年以下」と「5年超」で分類され、それぞれ異なる税率が適用されます。

短期譲渡所得(5年以下)

所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、税率は以下の通りです。

  • 所得税:30%
  • 住民税:9%
  • 復興特別所得税:0.63%
  • 合計:約39.63%
国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

この所有期間は、売却した年の「1月1日時点」で判断されるため、売却タイミングには注意が必要です。

長期譲渡所得(5年超)

5年を超えて所有していた不動産を売却する場合、「長期譲渡所得」となり、税率は以下の通り軽減されます。

  • 所得税:15%
  • 住民税:5%
  • 復興特別所得税:0.315%
  • 合計:約20.315%
国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

同じ売却益でも、所有期間によって税額は大きく異なります。売却時期を調整することで節税が可能です。

売却時に使える控除・特例

不動産売却時には、特定の条件を満たすことで税負担を減らせる控除・特例制度があります。

3,000万円特別控除

自宅を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。所有期間にかかわらず適用可能で、最もよく利用されている特例のひとつです。

軽減税率の特例(10年超)

10年以上所有していたマイホームを売却する際、一定額までの譲渡所得に対して、通常よりも低い税率(約14.21%)が適用されます。3,000万円控除と併用可能です。

買換え特例

自宅を売却して新たな住宅を購入した場合、条件を満たせば譲渡益の課税を将来に繰り延べることができます。資金繰りを楽にする効果が期待されます。

相続不動産の特例

相続した不動産は、被相続人の所有期間や取得費を引き継ぐことができるため、長期譲渡所得扱いとなるケースもあります。取得費不明時は「5%ルール」も適用可能です。

確定申告と納税の流れ

譲渡所得が発生した場合、翌年の2月16日~3月15日に確定申告を行います。e-Taxを使えばオンラインでも申告可能です。

必要書類には以下が含まれます

  • 売買契約書
  • 仲介手数料などの領収書
  • 登記事項証明書
  • 特例適用時の証明書類

損失が出た場合も申告を

売却損が出た場合、「損益通算」や「繰越控除」を活用することで、所得税・住民税の負担軽減につながります。

非居住者が売却する場合

日本に住所がない非居住者が不動産を売却する場合、売却代金の10.21%が源泉徴収されます。確定申告を行えば、過不足の精算や還付を受けられることもあります。

海外在住者は手続きが複雑になるため、税理士など専門家に相談しましょう。

節税のポイント

不動産売却で手取りを最大化するには、以下の点を意識しましょう。

  • 所有期間を確認し、可能であれば5年を超えて売却する
  • 3,000万円控除や軽減税率などの特例を活用する
  • 測量費・仲介手数料などの経費を漏れなく計上する
  • 損失が出た場合も確定申告で節税する

まとめ

不動産を売却する際は、税金の仕組みや控除制度を事前に把握し、適切な準備とタイミングで行動することが重要です。特例や控除を活用することで、数百万円単位の節税が期待できるケースもあります。

わからないことがあれば税理士などの専門家に相談し、安心して不動産取引を進めましょう。

著者

クラウド管理編集部

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