【プロが解説】REITと現物不動産投資|メリット・デメリットを徹底比較!

現物不動産投資オーナーのあなたは、「このまま物件を所有し続けるべきか?」「管理の手間をなくしたい」といった悩みを抱えていませんか?その解決策として、REIT(不動産投資信託)に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、REITと現物不動産投資の違いを、メリット・デメリットの両面から徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたの投資スタイルに合った比較検討の材料となり、次の資産運用を考える際の参考になるでしょう。

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REITと現物不動産投資の真の違いとは?

不動産投資をされている方が、REITに関心を持つのは当然のことです。所有物件の管理、空室リスク、修繕費用など、現物不動産投資ならではの悩みは尽きないからです。筆者もファイナンシャルプランナーとして、多くの現物不動産オーナーから同じような相談を受けてきました。

例えば、築古アパートを所有するクライアントは、大規模修繕の度にまとまった資金が必要になり、管理会社とのやりとりに疲弊していました。「この手間から解放されたい、もっとシンプルに資産を増やしたい」という切実な声は、現物不動産共通の悩みと言えるでしょう。

REITと現物不動産投資の最も大きな違いは「手間とリスクのコントロール方法」にあります。

投資方法の違い
  • 現物不動産投資:物件の選定から管理、売却まですべて自分で行うため、手間はかかりますが、その分だけリスクを自分でコントロールできる裁量権が大きいです。
  • REIT:資産運用のプロが代わりに不動産を管理・運用するため、物件管理の手間は発生しませんが、価格変動等の市場リスクは残ります。

この違いを理解することが、次の投資戦略を考える上で非常に重要です。

REITと現物不動産投資は「手間」と「リスク」が違う!

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現物不動産投資は、ご存知の通り物件の選定から管理、そして売却に至るまで、すべてを自分自身で行う必要があります。このため、空室が発生すれば入居者募集に奔走し、建物の不具合があれば修繕の手配をしなければなりません。こうした一つひとつの手間が、長期的に見ると大きな負担となり、投資家としての時間を奪ってしまうのです。

一方、REITは、不動産のプロである運用会社が投資家から集めた資金で不動産を購入・運用するという仕組みです。投資家は、運用にかかる一切の手間から解放され、株式のように手軽に売買ができます。また、REITは複数の物件に分散投資されているため、一つの物件で空室が出ても、他の物件でカバーできる仕組みとなっており、分散することで個別物件リスクの低減に寄与する場合があります(市場全体の下落リスクは残る)。

筆者の経験上、特に多忙な経営者や医師など、時間を何より大切にする方々が、この「手間の違い」を理由にREITへの投資を始めるケースが非常に多いという印象です。

現物不動産投資オーナーがREITを選ぶ理由


現物不動産オーナーがREITを選ぶ理由として、最も多い理由は「効率とシンプルさ」を求めるようになったからといえるでしょう。特に、複数の物件を所有し、管理に時間を取られているベテラン投資家ほど、REITのメリットを強く感じています。

「REIT 現物不動産投資 どっちがいい」という疑問の答えは、まさにここにあります。現物不動産投資で得られるメリット(節税やレバレッジ効果)を十分に享受した後、管理の手間や空室リスクから解放されたいと考え、REITへの投資に切り替えるオーナーは決して少なくありません。

実際に、あるクライアントは長年保有していた都心のマンションを売却し、得た資金で複数のJ-REITに分散投資しました。これにより、物件の維持管理から解放されただけでなく、複数の物件に投資していた時よりも過去に安定的な分配を受けた期間もありますが、将来を保証するものではありません。

このように、REITは現物不動産投資で抱えがちな悩みを解決し、投資家のポートフォリオに新たな選択肢をもたらすのです。

REITと現物不動産投資のメリット・デメリットを徹底比較!

REITと現物不動産投資のメリット・デメリットを比較する記事用イメージ

ここからは、REITと現物不動産投資の具体的なメリット・デメリットを徹底的に比較していきます。どちらの投資方法にも一長一短があり、投資目的やライフスタイルによって最適な選択は変わってきます。

ファイナンシャルプランナーとして、筆者は多くの相談者から「結局、どちらが良いのか?」と問われてきました。その都度、その方の資産状況や投資への考え方を丁寧にヒアリングし、最適な投資方法を一緒に探してきました。

ここでは、不動産投資の経験があるからこそ理解できる、一歩踏み込んだメリットデメリットを解説していきます。両者の違いを明確にし、次の投資戦略を立てるための参考にしてください。

REITのメリット


REITが持つ最大のメリットは、現物不動産投資では実現が難しい「少額投資」と「リスク分散」を同時に達成できることでしょう。

通常、現物不動産を購入するには数千万円、場合によっては億単位の資金が必要です。しかし、REITであれば、株式と同じように数万円から購入できるため、少額から投資できる場合があり、選択肢の一つとなり得ます。これまで不動産投資に興味はあっても、資金面で諦めていた人も参入しやすいです。

また、REITは複数の不動産に分散して投資しているため、特定の物件で空室が発生しても、全体の収益に与える影響は限定的です。これは、特定のエリアや物件に収益が依存する現物不動産投資にはない、大きな強みと言えます。物件の管理や運用は専門家が行うため、あなたは一切手間をかける必要がありません。

REITのデメリット


REITは多くのメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。まず、REITを運用する投資法人が倒産するリスクがある点です。投資法人が保有する不動産の価値が下落したり、適切な運用ができなくなったりすると、投資口価格が下がり、最悪の場合、元本割れする可能性があります。

現物不動産投資のように、金融機関から融資を受けてレバレッジを効かせることができない点もデメリットです。レバレッジとは、自己資金を上回る金額を借り入れて投資を行うことで、大きなリターンを狙う手法です。REITではこの手法が使えないため、自己資金の範囲内でしか投資を行うことができません。

これらのデメリットを理解し、投資目的やリスク許容度に合わせてREITへの投資を検討することが重要です。

現物不動産投資のメリット


次に、現物不動産投資が持つメリットを見ていきましょう。最大の強みは、REITにはない「節税効果」です。不動産所得が赤字の場合、給与所得など他の所得と損益通算することで、所得税や住民税を減らすことができます。特に、高所得者にとっては非常に大きなメリットと言えるでしょう。

また、購入した物件が資産価値の高いものだったり、入居率が高く家賃収入が安定していたりすれば、REITよりも高い利回りを期待できます。REITの分配金は3〜5%台ですが、現物不動産投資では物件次第でそれ以上の利回りを狙うことも可能です。

出典:Jリートの魅力|NISA|J-REIT.jp

さらに、金融機関から融資を受けることで、自己資金を大きく超える規模の物件に投資できる「レバレッジ効果」は、現物不動産投資ならではのメリットです。これにより、効率的な資産拡大を目指すことができます。

現物不動産投資のデメリット


現物不動産投資には、無視できないデメリットも存在します。まず、最も大きなリスクは「空室リスク」です。入居者がいなければ家賃収入は途絶え、ローンの返済や維持費だけが支出として残ります。これは現物不動産投資オーナーが常に抱える不安の一つです。

物件の管理や修繕には多大な手間と時間、そして費用がかかります。入居者からのクレーム対応や設備の不具合、災害時の対応など、管理会社に任せている場合でも、最終的な判断や責任はオーナー自身が負わなければなりません。

最後に、「流動性の低さ」です。株式やREITのようにいつでも売却できるわけではなく、買い手が見つからないと、売却に数か月かかることも珍しくありません。急な資金が必要になった場合でも、すぐに現金化できない点が大きなデメリットと言えます。

REIT vs 現物不動産投資比較表

比較項目 REIT 現物不動産投資
初期費用 株式のように少額(数万円〜) 多額(数百万〜数億円)
利回り 安定的に3〜5%程度 物件次第で高利回りも狙える
管理の手間 なし(プロに任せる) あり(すべて自分で対応)
リスク分散 複数の物件に分散投資 基本的に単一物件への投資
流動性 高い(いつでも売買可能) 低い(買い手が見つかるまで時間を要する)
レバレッジ なし あり(融資を受けて投資)
節税効果 不動産所得の損益通算等は不可 あり(損益通算など)

※REITの分配金利回りは銘柄・時期により変動

まとめ:あなたの投資スタイルに合った選択を!

本記事では、REITと現物不動産投資の違いを、メリット・デメリットの両面から徹底的に比較しました。現物不動産投資オーナーが、これまで抱えてきた「手間や空室リスクから解放されたい」という悩みを解決する一つの答えが、REITであることがご理解いただけたのではないでしょうか。

FPとして多くのクライアントと接してきた筆者は、REITと現物不動産投資は「どちらが優れている」というものではなく、人生のステージや投資への価値観によって使い分けるべきものだと考えています。

貴重な時間や資産を最大限に活かすため、本記事で解説した内容を参考に、ご自身の投資スタイルに合った選択をすることが何より重要です。

もし、ご自身の資産状況に合わせてどちらの投資方法を選ぶべきか迷っているなら、ぜひ一度、資産運用の専門家へ相談されることをお勧めします。あなたの理想の未来を設計してみましょう。

REITと現物不動産投資のよくある質問

Q. REITと現物不動産投資のリスクはどう違うの?


REITは複数の不動産に分散投資されているため、現物不動産投資に比べて個別物件のリスクを軽減できます。一方、現物不動産投資は特定の物件にリスクが集中する点が大きな違いです。

Q. 少額投資したいけどREITと現物、どっちが自分に合うの?


REITは少額からの投資手段として選択肢になり得ます(適否はリスク許容度による)。現物不動産投資は多額の自己資金と物件選びの専門知識が必須となります。

Q. REITと現物不動産投資では税制面でどんな違いがあるの?


REITは分散により個別物件リスクの低減に寄与する一方、市場全体の下落リスクは回避できません。現物不動産投資では不動産所得の損益通算など、節税効果が期待できる点が大きな違いです。

著者

クラウド管理編集部

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