不動産投資で税金を減らす仕組み|減価償却から法人化まで徹底解説!
不動産投資で「本当に節税できるのか?」と疑問に感じていませんか。給与や事業の所得が増えるほど、税負担は確実に重くのしかかります。減価償却や損益通算を活用すれば節税につながる場合があります。ただし、誰でも効果が得られるわけではなく、年収や物件選び次第で結果が大きく変わります。
本記事では、不動産投資による節税の仕組みやシミュレーション方法、法人化のメリットまで徹底解説します。最後まで読むことで、あなたに適した節税戦略を見つけられるはずです。
不動産投資で税金を減らす仕組みを理解する
不動産投資には、会社員でも活用できる「税金を減らす仕組み」があります。その代表例が減価償却・損益通算・青色申告特別控除の3つです。適用要件を満たす場合、課税所得を抑えられる可能性があります。
減価償却で課税所得を圧縮する方法
建物の価値は年々下がるとみなし、その分を経費として計上できる制度が「減価償却」です。木造住宅なら法定耐用年数22年、鉄筋コンクリート造なら47年と定められており、その年数で建物価格を按分して毎年経費化できます。減価償却は経費算入により課税所得を減少させます。
損益通算で給与所得と相殺できる理由
国税庁によれば、不動産所得の赤字は原則損益通算の対象ですが、土地取得に係る借入金利子等には通算制限があるため注意が必要です。これにより、不動産投資の赤字分を給与所得から差し引き、課税所得を減らすことで、所得税・住民税の負担を軽くできます。
青色申告を活用した特別控除と経費計上
青色申告特別控除は複式簿記・保存要件等を満たす場合に55万円(一定要件下で65万円)を適用できます。また、青色申告では要件を満たす純損失の繰越控除が可能です(期間・適用要件は法令改正を含め確認が必要)。
節税効果が高い人と低い人の特徴

不動産投資の節税効果は、すべての人に同じように働くわけではありません。所得水準や課税状況によって「節税メリットが大きい層」と「効果が限定的な層」が明確に分かれます。ここでは、どんな人が不動産投資の節税に向いているのかを整理します。
課税所得ごとの税率と節税効果イメージ
課税される所得金額 | 所得税率 | 住民税率 | 合計税率 |
---|---|---|---|
195万円以下 | 5% | 10% | 15% |
195万円超 330万円以下 | 10% | 10% | 20% |
330万円超 695万円以下 | 20% | 10% | 30% |
695万円超 900万円以下 | 23% | 10% | 33% |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 10% | 43% |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 10% | 50% |
4,000万円超 | 45% | 10% | 55% |
課税所得900万超や年収1200万超の会社員が有利な理由
課税所得が高いほど、適用される所得税率も高くなります。国税庁の「所得税の速算表」によると、 課税所得900万円を超えると税率は33%、1,800万円を超えると40%に上昇します。
この層は、減価償却や損益通算によって課税所得を数十万〜百万円単位で圧縮できれば、そのまま数十万円規模の節税効果につながります。 特に課税所得が900万円を超えると税率は33%、 1,800万円を超えると40%となるため、 年収1,200万円前後以上の会社員や専門職は節税効果を享受しやすい層といえます。
課税所得900万円以下では効果が限定されるケース
課税所得が900万円未満の層は税率が20%または23%にとどまります。 そのため、不動産投資による赤字を損益通算しても、得られる節税額は数万円程度に限られるケースが多くなります。
また、ローン返済や管理コストを考慮すると、節税効果以上にキャッシュフローが圧迫されるリスクもあるため、 「節税目的だけ」での投資は向きません。 この層にとっては、長期の資産形成や相続税対策など他の目的と組み合わせて活用することが重要です。
「不動産投資は節税できない」と言われる背景
不動産投資で「節税できない」と言われるのは、主に以下の理由からです。
つまり、不動産投資の節税効果は「誰でも必ず得られるものではない」ため、収入水準や投資目的に合わせた判断が不可欠です。
節税効果を高める戦略と注意点

不動産投資による節税効果は、物件の種類や投資の方法次第で大きく変わります。ここでは、効果を高めるための3つの戦略と、それぞれに潜む注意点を解説します。
物件選びで差が出る!築古・木造・建物割合の違い
不動産投資の節税効果は「どんな物件を選ぶか」で大きく変わります。
法人化のメリット・デメリットを徹底比較
法人化は「所得規模が大きくなってから」が基本戦略です。
シミュレーションで未来の税負担を見える化
節税効果は購入直後に最大化し、年数が経つにつれて減っていきます。減価償却が終了すると税負担が増え、ローン返済でキャッシュフローが厳しくなる「デッドクロス」のリスクがでてきます。事前にシミュレーション(損益計算・キャッシュフロー予測・売却時課税見込み)を行い、長期の資金計画を立てることが必須です。
国税庁の所得税速算表を使えば「赤字100万円でどれくらい節税できるか」が明確に試算できるため、投資判断がしやすくなります。
不動産投資の節税で失敗しないための事例と比較

不動産投資の節税は大きな魅力がありますが、現実には失敗してしまう事例も少なくありません。ここでは代表的な3つのケースを紹介し、他の節税制度との比較も行います。
新築区分マンション投資で失敗した実例
新築ワンルームマンションを複数戸購入した会社員の事例です。営業担当から「節税できる」と勧められましたが、実際には建物価格が高く減価償却による経費が少ないため、節税効果は限定的でした。その後、家賃下落や修繕費増加によってローン返済を家賃収入で賄えず、キャッシュフローが赤字化してしまいました。
新築区分マンションは資産価値の下落が早いため、収支悪化や新築区分マンションは価格推移や収支が物件・市場条件により大きく異なり、 期待どおりの効果が得られない場合があります。
節税目的だけで始めた人の落とし穴
「とにかく税金を減らしたい」と考えて不動産投資を始めると、物件の収益性や立地条件を軽視してしまうケースがあります。減価償却の効果が切れると税負担が増え、ローン返済は続くため資金繰りが苦しくなる、いわゆるデッドクロスが起こりやすくなります。
不動産投資はあくまで長期的な資産形成が主目的であり、節税はその副次的メリットとして位置づけることが重要です。
他の節税策(iDeCo・ふるさと納税)との比較ポイント
出典:iDeCoの概要
まとめ
本記事では、不動産投資における節税の仕組みを解説しました。減価償却による課税所得の圧縮、損益通算で給与所得と相殺する方法、青色申告を活用した控除や経費計上などを整理し、さらに「誰に節税効果が出やすいのか」「法人化のメリット・デメリット」「デッドクロスへの注意点」など、実務に直結する視点も紹介しました。
私自身も投資を始めた当初は「節税になる」と聞いて飛びつきましたが、シミュレーションを怠った結果、思わぬ税負担が発生した経験があります。逆に、事前に収支や税制を理解して取り組むと、毎年の納税額を安定的にコントロールでき、将来の資産形成に大きな違いが出ます。
読者の皆さんが次に取るべき行動は、「自分の所得水準や投資スタイルに合った節税効果のシミュレーション」を行うことです。そのうえで、物件選びや法人化などの戦略を検討すれば、無理のない資産形成が可能になります。
不動産投資は節税だけが目的ではなく、長期的な資産づくりの手段です。ぜひ一度シミュレーションや専門家への相談を行い、「税金対策」と「資産形成」を両立させてください。あなたの将来にとって、大きな一歩になるはずです。
よくある質問(FAQ)
Q:会社員でも不動産投資で節税できる?
A:青色申告や経費の適用が要件を満たす場合に可能となることがあります。
会社員の方でも不動産所得があれば「青色申告特別控除(最大65万円)」を使うことができます。また、ローン利息・管理費・修繕費などの経費も計上できるため、給与から天引きされる所得税や住民税の負担を軽減できます。特に課税所得が900万円を超える高額給与層では、節税メリットが大きくなるといえるでしょう。
Q:減価償却を使った節税は将来デメリットになる?
A:デッドクロスや売却時の課税に注意が必要です。
減価償却を利用すると短期的に課税所得を圧縮できますが、建物の価値を早く経費化する分、将来は経費が減り、ローン返済額の方が大きくなる「デッドクロス」が起こる可能性があります。また、売却時には帳簿価額と売却額の差が「譲渡益」として課税されるため、出口戦略を考えて投資計画を立てることが大切です。
Q:法人化すれば必ず節税できる?
A:条件次第で有利になるが、必ずではありません。
法人化すると経費計上の幅が広がり、給与分散や社会保険料の最適化が可能です。ただし、設立費用や会計・税務のランニングコストがかかるため、物件規模が小さい場合は逆に負担増になるケースもあります。