この記事の3行まとめ
- 管理規約の第12条を確認
- 記載なしなら規約改正が必要
- 改正には4分の3以上の賛成が必須
マンション管理規約で民泊が禁止されているか、正しく確認できていますか。国土交通省の調査によると、分譲マンションの約80.5%が管理規約で民泊を禁止しています。一方で、約19%のマンションは対応を決めていない状態です。
「うちのマンションは大丈夫だろう」と放置していると、気づかないうちに違法民泊が始まり、騒音やセキュリティのトラブルに発展するケースも少なくありません。この記事では、管理規約での民泊禁止の確認方法から、記載がない場合の管理規約の改正手順までをわかりやすく解説します。
マンション管理規約で民泊禁止を確認すべき3つのポイント

マンションで民泊トラブルを防ぐには、まず管理規約の現状を正確に把握する必要があります。確認すべきポイントは次の3つです。
- 管理規約の「専有部分の用途」に関する条文を読む
- 民泊に関する記載がない場合の判断基準を知る
- 「全面禁止」と「一部禁止」の違いを理解する
管理規約を閲覧したい場合は、管理会社や理事長に依頼すればいつでも可能です。まずは手元に規約を用意したうえで、以下の内容を確認してみましょう。
管理規約のどこを見れば民泊の可否がわかるか
管理規約で真っ先に確認すべき箇所は、「専有部分の用途」を定めた条文です。多くのマンションでは第12条にあたります。
国土交通省の「マンション標準管理規約」では、この条文に2つのパターンが示されています。
- 「専ら住宅として使用する」という従来の表現
- 「住宅宿泊事業法に基づく事業に使用してはならない」という2017年の改正で追加された明確な禁止の文言
前者の「専ら住宅として使用」だけの場合は、民泊が禁止とも許可とも読み取れるため、解釈が分かれる余地が残ります。後者の文言がある場合は民泊は明確に禁止されています。この曖昧な状態は、住民同士の認識のズレやトラブルの原因になりやすいでしょう。
禁止条文がないマンションはどう対応すべきか
管理規約に民泊に関する記載が一切ないマンションは、全体の約19%にのぼります。「記載がないから民泊は自由」と考えるのは危険です。
住宅宿泊事業法では、民泊の届出をする際に「管理規約に禁止の定めがない」ことの確認が求められています。つまり、届出が受理され、住民の知らないうちに合法的に民泊が始まりうるのです。
管理規約に記載がないマンションは、以下の順序で対応を進めてください。
- 総会の議事録を過去3年分確認し、民泊に関する決議がないか調べる
- 理事会で民泊の可否について方針を話し合う
- 民泊を禁止する場合は、管理規約の改正手続きに進む
既に届出が出された後では禁止規約の改正が法的に困難になるため、記載がないと気づいた時点で動き始めるのが賢明です。
「全面禁止」と「一部禁止」の違いを知っておこう
民泊禁止の条文には、大きく分けて2つのタイプがあります。それぞれの違いを正しく理解しておかないと、管理規約の改正の際に思わぬ抜け道を残してしまいます。
| 禁止のタイプ | 条文の特徴 | 禁止される範囲 |
| 全面禁止 | 「宿泊料を受けて人を宿泊させる事業に供してはならない」 | 民泊新法・旅館業法・特区民泊のすべて |
| 一部禁止 | 「住宅宿泊事業法に基づく事業に使用してはならない」 | 民泊新法のみ(旅館業法の許可があれば運営可能) |
国土交通省は、抜け道を防ぐために「全面禁止」の条文を推奨しています。規約を確認して「一部禁止」にとどまっている場合は、条文の見直しを検討する価値があるでしょう。
民泊禁止の管理規約がないときの改正手順と注意点

管理規約に民泊の記載がない場合、または一部禁止から全面禁止に変更したい場合は、管理規約の改正手続きが必要です。
ここでは、改正に必要な5つのステップと、総会で否決されないための合意形成のコツを紹介します。
管理規約の改正に必要な5つのステップ
管理規約の改正は、区分所有法第31条にもとづく「特別決議」で行います。必要な賛成は、区分所有者数と議決権総数のそれぞれ4分の3以上です。具体的には次の流れで進めます。
- 理事会で民泊禁止の方針を決める(1〜2週間)
- 国土交通省の標準管理規約を参考に改正案を作る(2〜4週間)
- 区分所有者への事前説明会を開き、質疑応答の場を設ける(2〜4週間)
- 総会を開催し、特別決議を行う
- 議事録を全戸に配布し、掲示板やエントランスへの民泊禁止ステッカーの掲示で周知する
全体の流れで3〜4か月程度が目安です。理事会の独断で決めるのではなく、住民への丁寧な説明を挟むことで、総会当日の反対を減らせます。
総会で否決されないための合意形成のコツ
管理規約の改正で難しいのは、4分の3以上の賛成を集めることです。実際、合意形成がうまくいかず改正を断念するケースも少なくありません。スムーズに進めるために、次の3つを意識してください。
- 事前にアンケートを実施して住民の意見を把握する
- 説明会では「なぜ禁止が必要か」を具体的なトラブル事例で伝える
- 一度禁止したうえで、将来の見直し条項を設ける選択肢もあると伝える
特に効果的なのは、他のマンションで起きた騒音やセキュリティの問題を事例として共有する方法です。「自分のマンションでも起こりうる」と住民に実感してもらえると、賛成票が集まりやすくなります。
説明会での質疑応答は必ず記録に残し、出席できなかった住民にも共有しましょう。情報格差をなくすことが、合意形成の土台になります。
まとめ|管理規約の確認と早めの対応がトラブルを防ぐ

マンションで民泊トラブルを防ぐには、管理規約の第12条を確認し、民泊に関する記載の有無を正確に把握するところから始まります。記載がないマンションは約19%にのぼり、放置すると届出さえ出せば合法的に民泊が始まってしまいます。
まず今日やるべきことは、管理規約を手元に取り寄せて第12条を読むことです。禁止条文がない、あるいは一部禁止にとどまっている場合は、次回の理事会で議題にあげてみましょう。住環境と資産価値を守るための行動は、早いほど選択肢が広がります。