賃料改定の手順とは?揉めずに家賃改定を進める流れと注意点

賃料改定の手順とは?揉めずに家賃改定を進める流れと注意点

「修繕費や管理費が上がってきた」「周辺相場が上がっているのに賃料が据え置きのまま」など、賃料改定を検討する理由は物件ごとにさまざまです。

しかし、一方的に家賃の値上げを進めると、入居者とのトラブルや退去につながるリスクもあります。

賃料改定を成功させるには、前提を理解したうえで相場調査と根拠づくりを行い、通知・交渉・合意の手順を丁寧に踏むことが重要です。

本記事では、マンションオーナー向けに賃料改定の手順を整理し、揉めずに進めるための実務ポイントを解説します。

この記事の3行まとめ

  • 賃料改定はオーナーが一方的に決められず、相場調査と根拠づくりが重要
  • 通知→交渉→合意の手順を踏み、明細や覚書で条件を明確にすると揉めにくくなる
  • 断られた場合は退去リスクも踏まえ、段階改定や次回更新での再提案も検討する

スムーズに賃料改定を行いたい人は、この記事で手順やポイントを抑えておきましょう。

賃料改定はいつできる?まず押さえる前提知識

賃料改定を行う際は、どのタイミングで、どのように進めるべきかを理解しておくことが重要です。

前提を誤ると、正しい理由があっても交渉がこじれやすくなります。

まずは基本ルールと、更新時・入居中での難易度の違いを整理しましょう。

賃料改定は貸主が一方的に決められない

賃料は契約条件の中心であり、貸主側の都合だけで一方的に変更することはできません。

オーナーとして「相場が上がった」「維持費が増えた」と感じるのは自然ですが、借主が納得できる説明がなければ交渉は難航します。

賃料改定は協議によって成立するものだと理解しておくことが重要です。

更新時と入居中で難易度が変わる

賃料改定は更新時に提案するほうが進めやすい傾向があります。

更新は契約条件を見直すタイミングであり、借主側も変化を想定しやすいからです。

一方、入居中の改定は生活コストに直結するため抵抗が強くなりやすく、交渉難易度は上がります。

実務では更新時を軸にしつつ、入居中改定は慎重に検討するのが現実的です。

改定が必要になる代表的な理由

改定理由は、借主が理解できる形で説明できるようにしておく必要があります。

賃料改定の代表的な理由は、周辺相場の上昇、税負担の増加、修繕費・管理費の上昇などです。

ただし結論だけを伝えると反発されやすいため、「理由→根拠→提案内容」の順で説明することがポイントになります。

賃料改定を成功させるための準備手順

賃料改定は交渉力で押し切るものではなく、準備の質で結果が決まります。

交渉に入る前に、相場・改定幅・説明材料を揃えておきましょう。

周辺相場と競合条件を調べる

相場調査は賃料改定の土台です。

同じエリアでも、築年数・間取り・駅距離・階数・設備で賃料は大きく変わります。

できるだけ条件が近い物件を基準に、募集賃料や成約賃料の傾向を確認しましょう。

また、同じ家賃帯で比較される競合が「どんな条件で募集されているか」も重要です。

設備や管理状態に差がある場合、単純に家賃だけを揃えると逆効果になることもあるため、条件の比較は丁寧に行う必要があります。

改定幅の決め方

改定幅を決める際は、理想の賃料に一気に引き上げないことが大切です。

値上げが原因で退去されると、空室期間の家賃損に加えて原状回復費や広告費も発生し、結果的に損失が大きくなる可能性があります。

相場との差が大きい場合でも、段階的な改定や、更新ごとに少額ずつ調整すると納得されやすくなります。

賃料改定は「最大化」より「安定化」の視点で設計するほうが失敗しにくいと言えます。

根拠を言語化する

賃料改定が揉める原因の多くは、根拠が曖昧なまま話を進めることです。

借主は「なぜ今なのか」「なぜこの金額なのか」が分からないと納得できません。

相場データや維持費の増加などを整理し、できるだけシンプルな言葉で説明できる形にまとめましょう。

専門用語を並べるより、周辺の物件の相場や維持管理コストが上昇といった分かりやすい表現のほうが交渉は進めやすくなります。

賃料改定の基本手順

賃料改定は、「いつ伝えるか」「どう合意を残すか」で結果が変わります。

ここでは通知から合意までの基本の流れを整理します。

賃料改定の通知は書面が基本

賃料改定は口頭だけでなく書面で通知するのが基本です。

いつ・どの内容で申し入れたかが明確になり、後々のトラブルを防ぎやすくなります。

更新直前の通知は反発を招きやすいため、余裕を持って伝えることが重要です。

通知文には、改定後の賃料、開始時期、理由を簡潔に記載し、相談ベースで進める姿勢を示すと角が立ちにくくなります。

交渉で揉めない進め方

賃料改定の交渉は、強引に押し切ると退去につながりやすくなります。

交渉をスムーズにするには、代替案を用意しておくのが効果的です。

たとえば段階的な改定、設備改善とセットでの提案、一定期間は据え置きなど、借主が受け入れやすい形を用意すると合意が得られやすくなります。

オーナー側も譲歩ラインを決めておくことで、感情的なやり取りを避けやすくなります。

合意できたら覚書で残す

合意に至ったら、口約束で終わらせず覚書などの書面で残すことが重要です。

賃料は契約条件の中心であり、合意内容が曖昧だと「聞いていない」と揉める原因になります。

覚書には改定後の賃料、適用開始日、支払い方法などを明記し、双方の合意として残しておくと安心です。

管理会社が間に入る場合でも、最終的な合意内容はオーナー側で確認しておきましょう。

賃料改定を断られた場合の対応フロー

賃料改定は、申し入れれば必ず通るものではありません。

断られたときに強硬な対応を取ると、退去やトラブルを招きやすくなります。

断られた場合の現実的な選択肢を整理しておきましょう。

据え置き・条件変更・次回更新で再提案の判断

断られた場合は、退去リスクと据え置きによる収益低下を比較し、損をしない着地点を探ることが重要です。

空室になると家賃収入が止まり、原状回復費や広告費も発生します。

短期的に上げることより、トータルで収益が安定する方を選ぶ必要があります。

退去時の費用精算ルールとは?オーナーが揉めないためのポイントを解説

最終手段としての調停・訴訟

協議でまとまらない場合、調停や訴訟という手段もあります。

ただし時間とコストがかかり、関係性も悪化しやすいため、現実的には最終手段です。

強い対応を取る前に、相場根拠と提案内容を見直し、納得感のある説明になっているかを再確認しましょう。

賃料改定でよくある失敗パターンと回避策

賃料改定は、進め方を誤ると退去やトラブルにつながります。

ここではオーナーが陥りやすい失敗と回避策を整理します。

相場根拠が弱く、感情的な交渉になる

「周りが上がっているから」という理由だけで交渉に入ると、借主は納得しにくく、話が感情的になりやすくなります。

近い条件の募集賃料を整理し、なぜその金額なのか説明できる状態にしておくことが重要です。

通知が遅く更新直前で揉める

更新直前の通知は借主の判断材料が少なく、反発を招きやすくなります。

引っ越しには時間と費用がかかるため、急な提案は不誠実と受け取られることもあります。

賃料改定は余裕を持って通知することが重要です。

退去を招く値上げになり空室損が増える

値上げが原因で退去されると、空室損が増えて収益が不安定になります。

数千円の差で借主が動くこともあるため、改定幅は現実的なラインに設定し、安定運用の視点を優先することが大切です。

管理会社に賃料改定を依頼する場合のポイント

賃料改定は管理会社に依頼して進めるケースも多いですが、任せ方を誤ると意図しない着地になることがあります。依頼時のポイントを押さえておきましょう。

管理会社に任せる範囲と、オーナーが決めるべきこと

管理会社が交渉窓口になる場合でも、オーナーが決めるべきなのは、改定理由や目標賃料、譲歩できる範囲です。

ここが曖昧だと交渉がぶれ、判断が止まって時間だけがかかることもあります。

任せる範囲と判断する範囲を整理しておくことが重要です。

交渉前に共有すべき材料

管理会社に依頼する場合は、相場データや改定幅の希望、値上げの根拠、譲歩ラインなどを事前に共有すると合意成功の精度が上がります。

賃料改定は交渉力より準備の質で結果が変わるため、共有材料を整えることが重要です。

管理会社に任せるべき業務とオーナーが直接関わるべき業務の違い|効率的な賃貸経営の役割分担

賃料改定は準備8割で結果が決まる

賃料改定は、相場根拠と説明を整えたうえで、通知・交渉・合意の手順を踏んで進める必要があります。

特に、更新時は提案しやすいタイミングであり、準備ができているほど合意を得やすくなります。

断られた場合も退去リスクを含めて判断し、無理に押し切らないことが重要です。

マンション経営を安定させるためにも、賃料改定は「準備8割」で進めていきましょう。

クラウド管理編集部
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