入居者から「水が漏れている」「設備が動かない」と連絡が入ると、つい焦ってしまいますよね。
けれど、水漏れや設備トラブルは、最初の対応を誤るだけで被害が一気に広がり、修理費用やクレーム対応の負担も大きくなってしまいます。
この記事では、オーナーとしてどのように動くべきかを整理します。
この記事の3行まとめ
- 水漏れ・設備故障は、原因追及より「安全確保」と「被害拡大の防止」が最優先
- 証拠を残し、管理会社や専門業者と連携して、独断で判断しない
- 費用や責任は調査後に整理し、再発防止までをセットで考える
触ってよい範囲と避けるべき対応、費用や責任の考え方、さらに再発防止までの流れを、順を追って分かりやすく解説していきます。
まず最初にやること|初動対応の全体像

トラブルが起きた瞬間は、どうしても原因を突き止めたくなります。
ですが、最優先すべきなのは原因追及ではありません。
はじめに意識したいのは、「安全を確保すること」と「これ以上被害を広げないこと」です。
原因の特定や本格的な修理は、無理にオーナーが判断しようとせず、基本的には専門業者に任せる前提で対応しましょう。
STEP1|危険がないか確認する

最初に行うのは、入居者から状況を丁寧に聞き取り、危険がないかを確かめることです。
ここから、確認ポイントを紹介します。
感電・漏電のリスクをチェック
水が電気設備の近くに流れている場合は、感電や漏電、さらには火災につながるおそれがあります。
状況によっては、可能であればブレーカーを落としてもらい、それ以上は無理をせず待機してもらうよう案内しましょう。
床上浸水・滑り事故の危険
床が濡れていると、転倒事故の原因になります。
小さな子どもやペットが近づかないよう、あらかじめ声をかけておくと安心です。
入居者が不安になっている場合の声かけ
突然のトラブルで入居者は強い不安を抱えがちです。
まずは落ち着いてもらえるよう、「順番に確認して対応するので大丈夫です」と伝え、安心して待ってもらえる環境をつくりましょう。
STEP2|被害を広げない応急対応

安全が確保できたら、次は被害をこれ以上広げないための応急対応を考えます。
止水・電源OFF(可能な範囲で)
元栓の場所が分かる場合は止水し、危険がありそうなときは電源を切ることで、被害をある程度抑えられます。
ただし、元栓の場所が分からない場合や不安がある場合は、無理に操作しないよう必ず伝えます。
水受け・雑巾での一時対応
バケツで水を受けたり、タオルで軽く拭いたりといった簡単な応急処置を行いましょう。
あくまで応急的な対応であり、根本的な解決ではないという意識を持っておくことが大切です。
無理なDIYや分解は絶対にしない
配管や設備を自分で外したり分解したりすると、破損が広がりやすく、責任の所在も分かりにくくなります。
少しでも迷ったら手を止め、専門業者の判断を待ちましょう。
STEP3|必ず「証拠」を残す

水漏れや設備トラブルは、状況をきちんと記録しておくことがとても重要です。
記録する時のポイントを紹介します。
写真・動画で状況を残す
どこからどのくらい漏れているのか、広がり方はどうか、設備にエラー表示が出ていないかなどを、写真や動画で残します。
現場の様子が分かるだけで、その後の判断が格段にしやすくなります。
いつ・どこで・どう起きたかメモする
気づいた時間や発生時の状況、操作したことの有無などを、簡単で構わないのでメモに残しておきましょう。
こうした記録は、最終的に費用負担や責任の整理を行う際の、大切な材料になります。
STEP4|管理会社・専門業者へ連絡する

状況の把握ができたら、管理会社や専門業者と連携しながら進めていきます。
ここでは、オーナーが行うべき対応を紹介します。
誰に・何を伝えるべきか
連絡先は、原則として 管理会社 です。
管理委託していない場合は、普段から付き合いのある 水道・設備・電気などの専門業者 に連絡します。
これまでに集めた情報を整理し、以下の内容を分かりやすく共有しましょう。
- 現在の状況
- 写真や動画
- 入居者の不安点
- 応急対応の内容
至急案件かどうかの判断ポイント
水が広がっている場合や、電気設備の近くまで到達している場合、さらに階下への漏水が疑われる場合などは、至急対応が必要になります。
現場での判断は、原則として専門家に任せるようにしましょう。
その場で「費用の話」は断定しない
よくある失敗が、その場で費用負担を断定してしまうことです。
原因がはっきりする前に言い切ってしまうと、あとからトラブルになりやすくなります。
ここでは「調査後に判断します」と伝える程度に留めておきましょう。
水漏れ・設備故障でよくあるケース別初動

ここからは、よくある状況ごとに、初動で意識しておきたいポイントを確認していきます。
トイレ・洗面所・キッチンの水漏れ
止水栓の場所が分かる場合は締めてもらい、いったん使用を控えてもらいます。
あとは状況を写真で残し、専門業者の判断を待つのが基本です。
給湯器が動かない・お湯が出ない
再起動は試しても構いませんが、何度も繰り返すのは避けましょう。
表示されているエラーコードやランプの状態を記録しておくと、原因の特定に役立ちます。
エアコンからの水漏れ
まずは電源を切り、周囲の家具や床をタオルなどで保護します。
内部を開けたり掃除したりするのは控え、業者の確認を待つようにしましょう。
上階からの漏水トラブル
入居者同士で直接やり取りをさせるのではなく、必ず管理会社を介して対応します。
責任の判断や費用負担については、専門家の調査結果をもとに整理するのが基本です。
やってはいけないNG対応

水漏れや設備トラブルが起きると、早く解決したい一心で「つい、やってしまいがちな対応」があります。
次のような行動は、トラブルの長期化や責任問題につながりやすいため注意が必要です。
- 勝手に分解・修理する
- 原因や責任を決めつける
- 写真を撮らない、記録を残さない
- 入居者へ感情的に対応する
これらは一見、早い対応のように見えて、後から大きなクレームや費用トラブルに発展しやすくなります。
まずは落ち着いて状況を整理し、記録を取り、専門家と連携しながら進めることが大切です。
費用は誰が負担?責任の考え方

水漏れや設備故障が起きたとき、気になるのが誰が費用を負担するのかという点です。
基本的な考え方は、次の通りです。
設備劣化の場合(オーナー負担)
老朽化や自然故障が原因で起きたトラブルは、建物の設備不具合とみなされることが多く、基本的にはオーナー負担となります。
入居者過失の場合(入居者負担)
誤った使い方や不注意が原因で故障した場合は、入居者側の負担となるケースが一般的です。
内容によっては、入居者加入の保険で対応できることもあります。
外的要因・原因不明の場合
災害や外的要因による故障は、保険での対応が検討されることがあります。
また、原因がすぐに特定できない場合は、慌てて判断せず、調査結果を待つことが大切です。
いずれの場合も、「その場で誰の責任かを断定しない」ことが、トラブルを避けるポイントになります。
トラブルを減らすための予防策

水漏れや設備故障は、完全に防ぐことはできません。
しかし、日頃の備え次第で発生頻度も被害の大きさも大きく抑えることができます。
特に、次のような取り組みは効果的です。
- 設備点検のタイミングを決める
- 入居時説明で「連絡の流れ」を明確にする
- 対応マニュアルを社内で共有する
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初動対応で被害とトラブルは大きく変わる

水漏れや設備故障は、賃貸経営を続けていれば避けきれないトラブルです。
けれど、起きた直後の初動で、まず安全を確保し、被害が広がらないように落ち着いて対応し、状況を丁寧に記録しながら、管理会社や専門業者など関係者としっかり連携していく。
この一連の流れを意識するだけで、被害の規模もトラブルの大きさも、ぐっと抑えられます。
判断に迷うときほど独断で進めず、必要に応じて保険会社も含めて相談しながら、冷静に対応することが大切です。