共用廊下にゴミ袋が置かれたままになっていたり、玄関前に段ボールや私物が積み上がっていたりすると、見た目の印象が悪くなるだけでなく、ほかの入居者からの苦情にもつながります。
とはいえ、勝手に撤去してよいのか、入居者本人に直接注意してよいのか、それとも管理会社に任せるべきかなど、対応に迷うケースも少なくないでしょう。
本記事では、オーナーの立場から、共用部のゴミ・私物放置トラブルへの向き合い方を整理します。
この記事の3行まとめ
- 共用部へのゴミ・私物放置は、美観だけでなく防災・契約違反など複数の問題につながる
- 勝手な撤去や感情的な注意はトラブルの原因になるため、証拠確保と段階的対応が基本
- 契約書・掲示・入居時説明などで仕組み化し、トラブルは「ルールで管理」する
なぜ放置がNGとされるのかといった基本的な理由から、やってはいけない対応、適切な対処のステップ、費用負担の考え方、トラブルを未然に防ぐための予防策まで、実務でそのまま役立てやすい形で解説していきます。
共用部に物を置くのは基本NG|まず押さえておきたい前

共用部とは、入居者全員が利用するスペースのことを指します。
共用廊下や階段、エントランス、ゴミ置き場の周辺、駐輪場付近などが代表的な例です。
こうした場所に家庭ゴミや粗大ゴミ、段ボール、ベビーカー、家具、家電、自転車などを置いてしまうと、避難経路が塞がれて危険なだけでなく、臭いや虫の発生、建物全体の印象悪化につながります。
さらに、「他の人も置いているから自分も大丈夫だろう」という意識が広がり、放置が常態化してしまう可能性が高いです。
多くの賃貸物件では、賃貸借契約書や管理規約で共用部への私物放置を禁止しています。
つまり、共用部への放置は単なるマナー違反ではなく、場合によっては契約違反として扱われることもある、という点をまず理解しておくことが大切です。
オーナーがやってはいけない対応

放置物を見ると、つい強めに注意したくなりますが、対応を誤るとトラブルが拡大します。
ここでは、オーナーがやってはいけない対応を紹介します。
勝手に撤去・処分する
共用部に置かれているとはいえ、ほとんどの場合は入居者の私物です。
勝手に処分してしまうと、損害賠償を求められるリスクがあります。
さらに、「勝手に処分された」という不信感から関係性が悪化し、クレームや退去につながる可能性もあります。
入居者へ直接注意する
感情的な言い合いになったり、「言った・言わない」のトラブルに発展する可能性があります。
原則として、直接対立せず、管理会社を通して対応するのが無難です。
第三者が入ることで記録が残り、トラブル時にも説明しやすくなるため、法的にも運営的にも安全です。
強い口調の貼り紙をする
罰金や禁止、即撤去などの強い表現は、かえって反発を招きやすく、長期化の原因になります。
冷静に、手順に沿って進めることが重要です。
脅すような表現は、入居者の心理的抵抗を強め、「無視される貼り紙」になってしまうため、結果的に効果が薄くなります。
正しい対処手順

共用部の放置対応は、段階を追って進めることが大切です。
記録→共有→注意→撤去、という流れを作っておくことで、トラブル時にも説明しやすくなります。
- 状況を記録する
- 管理会社へ共有する
- 掲示で全体に注意喚起する
- 個別注意と期限の設定
- 撤去し、一時保管する
- 最終的に処分を検討する
上記の流れで進めると、感情的な対応を避けられるだけでなく、対応の証拠が残り、後から説明しやすくなります。
撤去や処分は最終段階で行いましょう。
撤去費用は誰が負担?

基本的には、放置した入居者が負担するのが原則です。
ただし、誰の物か特定できない場合や、証拠や手続きが不十分な場合には、オーナーや管理側が負担せざるを得ないケースもあります。
記録・写真撮影・注意文書の送付などをきちんと残しておくことで、費用負担を巡るトラブルを減らしやすくなります。
トラブルを防ぐための予防策

共用部の放置トラブルは、事前の対策が何より効果的です。
賃貸借契約書には、共用部への放置禁止だけでなく、撤去までの手順や費用負担の考え方も明記しておき、入居時の説明でしっかり伝えます。
あわせて、放置禁止の掲示物やゴミ出しルールの案内を分かりやすく掲示しておくことで、ルールを認識してもらいやすくなります。
さらに、定期巡回や防犯カメラの設置が抑止力として働き、放置物の発生そのものを減らす効果も期待できます。
共用部のゴミ放置はルールで冷静に対応する

共用部にゴミや私物が放置されると、美観や住環境が損なわれ、クレームの増加や物件価値の低下につながります。
共用部へのゴミ放置は、防災・防犯の観点でも、大きなリスクを抱えることになります。
ただし、感情的に対応したり、独断で処分したりすると、入居者トラブルや法的問題へ発展しかねません。
契約やルールを基準にしながら、証拠を残しつつ段階的に対応し、管理会社と連携して進めることが重要です。
判断に迷う場合は、無理に進めず、専門家や管理会社へ相談しながら対処していくようにしましょう。