不動産投資を始めたばかりのオーナーにとって、「物件を購入した後の運用」をどう進めるかは大きな課題です。とくに賃貸経営においては、入居者募集や契約手続き、家賃回収、トラブル対応などあらゆる業務を担ってもらうために「不動産管理会社」が欠かせません。
しかし、管理会社の質や体制によって収益性は大きく左右されるため、会社選びを誤ると空室リスクや滞納問題、修繕費用のトラブルなどに直結します。この記事では、初心者オーナーが管理会社を選ぶ際に押さえるべきポイントを チェックリスト形式で解説します。
不動産管理会社を選ぶことの重要性

そもそも、なぜ管理会社選びが投資成功のカギになるのかを整理しておきましょう。
業務の専門性
入居者募集や契約更新、家賃管理など、不動産経営に必要な知識と経験を持つスタッフが対応することで、オーナーの負担を軽減できます。
収益の安定化
優良な管理会社は適切な賃料設定や効果的な募集活動により、空室期間を最小限に抑えます。
リスク管理
クレーム処理や滞納回収、修繕対応など、トラブルを迅速に解決する体制があるかどうかで、経営の安定度が変わります。
逆に、対応が遅く入居者が離れてしまう管理会社を選んでしまうと、資産価値の低下やキャッシュフローの悪化を招く恐れがあります。
不動産管理会社を選ぶ際のチェックリスト

ここからは、不動産管理会社を選ぶ際に確認すべきチェックポイントを整理します。
1. 管理実績と得意分野
まずは、管理会社における物件の管理実績や得意分野を調べましょう。
- 何戸の物件を管理しているか
- マンション・アパート・戸建てなど、得意とする物件タイプは何か
- エリアに精通しているか
管理戸数が多い会社はノウハウをもっている一方、対応がマニュアルチックな場合も多いため、柔軟な対応を求めたい場合はおすすめしません。一方、小規模で地域密着型の会社はフレキシブルに対応してくれるのが強みです。自分の物件に合うかどうかを見極めましょう。
2. 管理手数料の相場とサービス範囲
管理手数料やサービス範囲についても理解しておきましょう。
- 管理委託料は賃料の 3〜5% が一般的
- 手数料に含まれる業務(家賃集金・クレーム対応・清掃手配など)を明確に確認
- 別途費用が発生する業務(退去時清算、リフォーム手配など)もチェック
「安いから」という理由だけで契約すると、必要なサービスが別料金になり、結果的にコストが高くつくケースもあります。
3. 入居者募集力
管理会社に入居者を募集する力、いわば「集客力」があるかも要チェックです。
- 自社サイトやポータルサイトに積極的に掲載しているか
- 仲介会社とのネットワークがあるか
- 過去の入居率や平均空室期間を公開しているか
募集力が弱い会社では空室リスクが高まります。実績データを確認することが重要です。
4. トラブル対応のスピード
不動産投資では、物件のトラブルがつきものです。そのため、管理会社によるトラブル対応のスピードも確認しておきましょう。
- 夜間や休日の緊急対応が可能か
- 入居者からのクレーム窓口が整備されているか
- オーナーへの報告体制(メール・アプリ・電話など)があるか
とくに水漏れや鍵の紛失など、緊急性の高いトラブルは迅速な対応が必要です。
5. 修繕・リフォーム対応
不動産は中長期的に運用するケースが多いため、修繕やリフォームに対応した管理会社を選ぶのがおすすめです。
- 修繕の見積もりは透明性があるか
- オーナーの承諾なしに工事を進めないか
- 提携業者の選定やコスト感は適正か
一部の管理会社は修繕費で利益を上げるケースもあるため、相見積もりを取る習慣を持つと安心です。
6. 家賃滞納への対応
不動産オーナーになると、入居者による「家賃滞納」が発生することもしばしば。その際、管理会社がしっかりと対応してくれるかも重要です。
- 滞納発生時の督促フローが整っているか
- 保証会社との提携があるか
- 回収率のデータを提示できるか
滞納リスクはオーナーの収益に直結するため、管理会社の対応力を事前に確認しておくことが不可欠です。
7. 契約条件と解約のしやすさ
管理会社との契約条件や解約についてもリサーチしておきましょう。たとえば、次のような点を確認してみてください。
- 契約期間は1年単位か、更新時の条件はどうか
- 解約通知は何ヶ月前に必要か
- 他社に乗り換える際の違約金は発生するか
「契約したら最後、簡単に解約できない」というケースを避けるためにも、契約書は細かく確認しましょう。
8. 相性やコミュニケーション
担当者との相性やコミュニケーションも重要なポイントです。
- 担当者がオーナーの意向を理解しているか
- 質問に対して誠実かつ迅速に答えてくれるか
- レポートや報告書のフォーマットはわかりやすいか
数字や条件だけでなく、担当者との信頼関係も管理会社選びの決め手になります。
管理会社選びでよくある失敗例
最後に、初心者オーナーが陥りやすい「管理会社選びの失敗例」も紹介します。
【失敗例①】手数料だけで選んでしまう
安い管理料に惹かれた結果、空室対策が弱く長期的に損をする。
【失敗例②】契約書をよく読まずに締結
解約条件や追加費用の発生を見落としてトラブルになる
【失敗例③】対応スピードを確認していない
入居者のクレーム対応が遅れ、退去や悪評につながる。
こうした失敗を避けるためにも、上記のチェックリストを活用することが大切です。
【まとめ】管理会社選びは物件購入と同じくらい重要
不動産管理会社の選定は、物件購入と同じくらい慎重に行うべきプロセスです。
- 管理実績や得意分野を確認する
- 手数料に含まれるサービス範囲を明確にする
- 入居者募集力やトラブル対応力を比較する
- 契約条件や解約のしやすさを把握する
これらを押さえることで、初心者オーナーでも失敗を防ぎ、安定した不動産経営を実現できます。まずは候補となる管理会社に複数問い合わせ、条件を比較検討しながら自分に合ったパートナーを選びましょう。