マンション経営を法人化するメリット・デメリットとタイミングを徹底解説

マンション経営の収益が大きくなると、「法人化すれば節税になるのでは?」「将来の相続を考えると法人化した方が安心では?」と考える方が少なくありません。

法人化には、税率の違いによる節税効果や相続対策、さらに融資での信用力向上といったメリットがあります。その一方で、設立や維持にかかるコスト・社会保険料の負担・売却時の不利など、注意すべき点も存在します。

この記事では、マンション経営を法人化する意味やメリット・デメリット・検討すべきタイミングをわかりやすく整理します。

目次

マンション経営を法人化するとは?

マンション経営を法人化するとは、不動産を個人名義ではなく法人名義で所有し、運営することを指します。

個人で経営する場合は、所有者本人が不動産を保有し、家賃収入を不動産所得として確定申告します。これに対して法人経営では、株式会社や合同会社などを設立してその法人が不動産を所有し、得られた収益は法人の利益として課税される仕組みです。

会社形態の選択肢としては、信用力の高さを重視するなら株式会社、設立や維持にかかるコストを抑えたいなら合同会社が選択されることが多いです。

法人化するメリット

法人化の大きな魅力は、税務面での優遇や経費計上の柔軟性です。加えて、相続・贈与対策や融資面での信用力向上にもつながります。

税率の違いによる節税効果

個人の所得税は累進課税で最高45%、住民税を加えると最大55%前後に達する場合もあります。

一方、法人税率は中小企業なら実効税率でおよそ23%、所得が増えるほど法人化のメリットが大きくなります

経費計上の幅が広がる

法人は、役員報酬・交通費・福利厚生費・広告宣伝費など、個人では経費にできない支出も認められやすいのが特徴です。その分、課税所得を圧縮しやすくなります。

赤字の繰越期間が長い

個人の損失繰越は3年ですが、法人は最大10年まで繰り越せます。空室や景気変動で収益が不安定になっても、将来の黒字と相殺できるため経営の安定性が高まります。

相続・贈与対策がしやすい

法人所有なら株式を分割して相続や贈与が可能です。遺産を現物不動産で分けるより、スムーズに承継できるのは大きな利点です。

信用力・融資で有利

法人決算書を提出できるため、金融機関からの信頼度が高まり、融資を受けやすくなります。事業拡大を考える投資家にとっては重要なポイントです。

法人化のデメリット・注意点

法人化にはコスト増や制度上の制約といった注意点もあります。節税効果だけを期待すると逆効果になることもあるため、リスクも理解した上で検討する必要があります。

設立・維持コストがかかる

株式会社設立には20〜30万円程度が必要です。その後も法人住民税・会計処理・税理士報酬といった維持コストが継続的に発生します。

社会保険加入の義務

法人は原則として社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が必須です。役員報酬に応じて保険料負担が大きくなり、キャッシュフローに影響を及ぼす可能性があります。

利益が少なくても税負担がある

赤字でも法人住民税の均等割(年間7万円前後)は必ず支払う必要があります。小規模経営では負担感が強くなりがちです。

売却・譲渡で不利になる可能性

個人の場合、長期譲渡所得に軽減税率が適用されますが、法人は対象外です。そのため長期保有後に売却する際、法人より個人の方が有利になることもあります。

税務調査リスクが高まる

法人は税務署からの調査対象になりやすく、経理の透明性が求められます。帳簿や書類の整備を怠ると、リスクが大きくなります。

法人化すべきタイミング・目安

法人化が常に有利とは限りません。収益規模や相続計画、手元資金などを踏まえ、適切なタイミングを見極めることが大切です。ここでは目安となる条件を紹介します。

所得・収益の規模が大きくなったとき

不動産所得が900万円を超えるような場合、個人の高い税率よりも法人税率の方が有利になることが多いです。複数物件を所有し、規模が大きくなった段階で検討する人が多いです。

相続や事業承継を考えるとき

子どもや家族にスムーズに資産を引き継ぎたい場合、法人化が有効です。株式の形で分割・贈与でき、相続の際に柔軟に対応できます。

キャッシュフローに余裕があるとき

設立費用や維持費を負担できる資金力があるかどうかも重要です。利益が少ないうちは法人化のメリットよりもコスト負担の方が大きくなりがちです。

まとめ

マンション経営の法人化には、節税や相続対策、融資面での信用力アップといった強みがあります。しかし同時に、設立・維持コストや社会保険料負担、売却時の不利などデメリットも存在します。

大切なのは、自分の所得規模・保有物件数・相続計画・資金状況を総合的に考慮し、法人化の是非を判断することです。法人化は万能ではなく、人によって有利・不利が分かれます。

検討する際は、必ず税理士や不動産に詳しい専門家に相談し、自分にとって最適な経営スタイルを選びましょう。

著者

クラウド管理編集部

最近読んだ記事Recently