不動産クラウドファンディングの活用方法|少額から始める不動産投資の新しい選択肢

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不動産投資と聞くと、多くの人は「高額な資金が必要」「専門知識がなければ難しい」といったイメージを抱きがちです。しかし、近年インターネットの普及とともに登場した「不動産クラウドファンディング」が、その常識を変えつつあります。これは「少額から」「専門知識がなくても」不動産投資に参加できる新しい仕組みです。

この記事では、FP資格を持つ筆者が、不動産クラウドファンディングの基本的な仕組みから、そのメリット・デメリット、具体的な活用方法までを詳しく解説します。不動産投資に興味はあるけれど、資金や手間がネックになっている方は、ぜひこの記事をお読みください。

不動産クラウドファンディングとは?その仕組みと種類

不動産クラウドファンディングの仕組みをイメージした図。投資家から資金が集まり、不動産運営に活用される様子を表現。

不動産クラウドファンディングは、不特定多数の投資家からインターネットを通じて資金を集め、その資金で不動産を購入・運用し、得られた収益を投資家に分配する仕組みです。

匿名組合型とは?


現在、国内の不動産クラウドファンディングのほとんどがこの形式を採用しています。これは、投資家が事業者と「匿名組合契約」を結び、事業者が不動産を所有し運用します。投資家は出資しているため、事業から得られた利益の分配を受けられるのです。この形式の大きな特徴は、投資家が不動産の名義人になる必要がないため、手間がかからず、匿名性が保たれる点です

出典:不動産戦略メディア「リディア」「【任意組合】と【匿名組合】の違いは?不動産クラウドファンディングを知ろう!」2024年1月

任意組合型とは?


匿名組合型とは異なり、任意組合型では、投資家が共同で不動産を所有します。この形式は、不動産の所有権を持つという点でメリットがありますが、名義変更の手間や不動産取得税の負担が発生するなど、手続きが複雑になる傾向があります。現在は匿名組合型が主流であり、任意組合型はあまり見られません。

不動産クラウドファンディングのメリットとデメリット

不動産クラウドファンディングのメリットとデメリットをイメージした図。家の模型とMERIT・DEMERITの文字ブロック。

不動産クラウドファンディングは、手軽に始められる一方で、知っておくべきリスクも存在します。

比較項目 不動産クラウドファンディングのメリット
少額から始められる 1万円程度の少額から投資が可能です。
専門知識が不要 物件の選定や管理・運用は事業者が行います。
手間がかからない 賃貸管理や修繕の手間が一切かかりません。
比較項目 不動産クラウドファンディングのデメリット
元本割れリスク 投資元本が保証されていません。
中途解約不可 原則として、運用期間中は資金を引き出せません。
想定外リスク 不動産価格の変動や災害による損失リスクがあります。

不動産クラウドファンディングは、少額から手軽に不動産に投資できる新しい仕組みです。 専門的な知識がなくても始められるため、資産運用の初心者にも適しています。 しかし、元本が保証されていないため、投資には慎重な判断が必要です。

メリット


主要なメリット
  • 少額投資が可能 多くの不動産クラウドファンディングでは、1万円から投資が可能です。これにより、今まで不動産投資に手を出せなかった層でも気軽に始められます。
  • 専門知識が不要 物件の選定や管理、運用、売却などはすべて事業者が行います。投資家は、ファンドに投資するだけでOKです。
  • 手間がかからない 賃貸管理や修繕、入居者募集といった手間は一切かかりません。日常の忙しい方でも、手軽に資産運用できます。
  • 短期で高利回りが狙える ファンドによっては、運用期間が数ヶ月から1年程度の短期で、比較的高い利回り(年率3%~9%程度)を狙えます。

出典:リアマネ「不動産クラウドファンディングおすすめ比較ランキング【300万投資してみた編集部が解説!】2025年9月

デメリット


注意すべきリスク
  • 元本割れのリスク 不動産クラウドファンディングは、預貯金とは異なり、元本保証はありません。不動産価格の下落や賃料収入の減少などにより、投資元本を割り込む可能性があります。
  • 中途解約ができない 原則として、投資した資金は運用期間が終了するまで引き出すことができません。急な資金が必要になった場合でも、中途解約できないため、余裕資金で投資することが重要です。
  • 想定外の事態への対応 不動産価格の変動や災害などの予期せぬトラブルが発生した場合、損失を被る可能性があります。ただし、多くのサービスでは、保険の加入などでリスク対策が取られています。

不動産クラウドファンディングの活用方法

投資をイメージしたカラフルなコインと紙幣のイラスト。1円から1万円までの金額と「投資」の文字。

不動産クラウドファンディングは、様々な投資戦略の中に組み込めます。

株式や債券との分散投資


ポートフォリオに不動産投資を組み込むことで、株式や債券とは異なる値動きをするため、リスクを分散できます。特に、不動産クラウドファンディングは物件単位で投資できるため、複数のファンドに分散投資することで、さらにリスクを低減させることが可能です。

短期的な資金の運用


運用期間が数ヶ月から1年程度の短期ファンドを活用することで、銀行の定期預金よりも高い利回りを狙えます。近い将来に使う予定がある資金を、一時的に効率よく増やしたい場合に有効です。

不動産投資の「お試し」


不動産クラウドファンディングは、多額の資金を必要としないため、不動産投資を始める前の「お試し」として活用できます。実際に収益を得ることにより、不動産投資のメリットやリスクを肌で感じられ、将来の本格的な不動産投資へのステップになるでしょう。

不動産クラウドファンディングの選び方

不動産投資をイメージしたスーツ姿の男女。住宅模型を手に持ち、笑顔でガッツポーズをしている様子。

数多くのサービスがある中で、どの不動産クラウドファンディングを選ぶべきか、以下のポイントを参考にしてください。

運営会社の信頼性


最も重要なのは、運営会社の信頼性です。財務状況や過去の運用実績、不動産開発・運用のノウハウなどを確認しましょう。上場企業や大手不動産会社が運営しているサービスは、比較的安心して投資できます。

物件情報と事業計画の透明性


投資するファンドの物件情報や事業計画が、どれだけ詳細に公開されているかを確認しましょう。収益の計算方法や事業期間、リスク要因などが明確に示されているかどうかが重要です。

利回りとリスクのバランス


利回りが高すぎるファンドには、それだけ高いリスクが潜んでいる可能性があります。一般的な不動産投資の利回りを参考に、不自然に高すぎる利回りには要注意です。

劣後出資(優先劣後方式)の有無


優先劣後方式とは、事業者(劣後出資者)が先に一定割合の出資を行い、損失が発生した場合はまず劣後出資分から補填される仕組みです。これにより、投資家(優先出資者)の元本割れリスクが低減されます。この方式を採用しているファンドは、投資家にとってリスクが低いといえます

出典:クラファンch「不動産クラウドファンディングの優先劣後システムとは?仕組みやメリットを解説」2025年1月

まとめ

日本円の紙幣の上に並べられた「ファンド FUND」の文字ブロック。不動産クラウドファンディングをイメージ。

不動産クラウドファンディングは、少額から手軽に不動産投資を始められる画期的なサービスです。しかし、メリットだけでなく、元本割れリスクなどのデメリットも理解した上で投資判断する必要があります。

株式や債券とは異なる「不動産」という資産をポートフォリオに組み込むことで、リスク分散を図りながら、効率的な資産形成を目指すことができます。この記事で解説したポイントを参考に、ご自身の投資スタイルに合った不動産クラウドファンディングを選んでみてください。

実際に投資を始める際には少額から分散投資を行い、複数のファンドや異なる運営会社を組み合わせることがリスク低減のカギとなります。また、サービスごとに募集条件や手数料体系も異なるため、複数社を比較検討し、自分のライフプランに合う投資先を選ぶ姿勢が重要です。

著者

クラウド管理編集部

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