
不動産投資を始めようと考えたとき、まず直面するのが「どのタイプの物件を買うか」という問題です。特に、区分マンション投資においては、ワンルームマンションとファミリータイプマンションのどちらを選ぶべきか、多くの人が頭を悩ませます。両者にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらが有利かということは一概には言えません。
この記事では、宅建士資格を持ち不動産投資ローンを担当した筆者が、ワンルームマンションとファミリータイプマンションそれぞれの特徴を比較し、投資戦略やリスクの観点からどちらがご自身の投資スタイルに合っているかを探っていきます。
ワンルームマンション投資のメリット・デメリット

ワンルームマンションは、単身者向けの小規模な部屋を指します。学生や社会人、高齢者など、幅広い層のニーズがあります。
比較項目 | ワンルームマンション投資のメリット |
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少ない自己資金 | ファミリータイプより価格が安く、ローンを組みやすいため初心者でも投資を始めやすい |
空室リスク分散 | 複数所有することで、一部空室でも他の物件から家賃収入を確保できる |
流動性の高さ | 価格が安く買い手が見つかりやすい。特に駅近は常に一定の需要がある |
比較項目 | ワンルームマンション投資のデメリット |
---|---|
入居者入れ替え | 学生や単身赴任者は引っ越し頻度が高く、原状回復費や広告費が発生しやすい |
管理費・修繕費 | 築年数が経過すると、修繕積立金や管理費が上昇しキャッシュフローが悪化するリスク |
ファミリータイプマンション投資のメリット・デメリット

ファミリータイプマンションは、夫婦や家族世帯をターゲットにした物件です。一般的に2LDK以上の間取りが該当します。
比較項目 | ファミリータイプマンション投資のメリット |
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空室期間が短い | 一度入居者が決まると長期間住み続ける傾向があり、安定した家賃収入を得やすい |
賃料設定の高さ | 部屋が広いためワンルームより高い家賃を設定でき、年間収入の差につながる |
入居者の定着 | 学校区や治安、環境を重視するため、一度住むと長く住み続ける傾向がある |
比較項目 | ファミリータイプマンション投資のデメリット |
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高額な初期費用 | 物件価格が高く、ローン借入額も大きくなりがち。資産が少ない場合は審査も厳しい |
売却のしづらさ | 価格が高額なため買い手が限られ、経済状況によっては売却が難航する可能性がある |
管理費・修繕費 | 専有面積が広く、修繕積立金や管理費の負担が大きくなりやすい |
【比較】ワンルームマンション vs ファミリータイプマンション

ワンルームマンションとファミリータイプマンションの比較は、それぞれの特徴を理解した上で、自身の投資戦略に合ったものを選ぶことが重要です。
項目 | ワンルームマンション | ファミリータイプマンション |
---|---|---|
購入価格 | 比較的安価 | 高額 |
初期費用 | 少ない | 多い |
利回り | 表面利回りは高い傾向 | 表面利回りは低い傾向 |
空室リスク | 高い(短期的な空室) | 低い(長期的な空室は少ない) |
入居者層 | 学生、単身者、高齢者 | ファミリー層 |
賃料設定 | 低め | 高め |
売却のしやすさ | 高い | 低い |
管理の手間 | 多い(入退去手続きなど) | 少ない |
ワンルームマンションとファミリータイプマンションは、それぞれ異なる魅力と注意点があります。投資を成功させるためには、購入価格や利回りだけでなく、空室リスク、管理の手間、そして売却のしやすさといった多角的な視点から検討することが不可欠です。
購入価格と利回り
一般的に、ワンルームマンションはファミリータイプマンションよりも購入価格が安いため、表面利回り(家賃収入 ÷ 物件価格)は高く出る傾向があります。しかし、入居者の入れ替わりが激しいため、空室期間や原状回復費用、仲介手数料などを考慮した実質利回りで比較することが重要です。
ファミリータイプマンションは購入価格が高く表面利回りは低めですが、一度入居者が決まれば長期間住んでくれるため、実質利回りが安定する傾向にあります。
出典:RENOCY「不動産投資経験者なら次のマンション投資はワンルームVSファミリー、どちらのタイプ?」(2023年7月)
空室リスクと入居者層
ワンルームマンションは入居者のサイクルが短いため、常に空室リスクと隣り合わせです。一方、ファミリータイプマンションは一度入居者が決まると長く住んでくれるため、安定した家賃収入が期待できます。
ターゲットとする入居者層の違いが、空室リスクの大きな差を生んでいるのです。
管理の手間とコスト
ワンルームマンションはファミリータイプマンションと比較して入退去が頻繁に発生するため、その都度、賃貸管理会社とのやり取りや、リフォームの手配など、手間がかかります。
ファミリータイプマンションは、入居者変更が少ないため、管理の手間は比較的少ないと言えます。また、修繕積立金や管理費は、専有面積に応じて決まることが多いため、ファミリータイプマンションの方が負担が大きくなりがちです。
売却時の流動性
ワンルームマンションは、需要層が広いため、多くの場合、比較的短期間で売却が可能です。特に都心部の好立地物件は、常に一定の需要があります。
ファミリータイプマンションは、物件価格が高額なため、買い手が見つかりにくく、売却に時間がかかる可能性があります。
タイプ別に見る投資戦略

不動産投資には様々なアプローチがありますが、その成功は投資家自身の目的やリスク許容度、そして利用できる資金量に合った物件を選ぶことから始まります。
ここでは、投資家のタイプを大きく2つに分け、それぞれの戦略に適したマンションの種類とその理由について詳しく解説します。
「初心者」「リスクを抑えたい」投資家はワンルームマンション
不動産投資の基礎を学びながら小さく始めたい方
- 不動産投資のノウハウを学びたい初心者の方
- 自己資金を抑えて、複数の物件を所有してリスク分散したい方
- 将来的な売却も視野に入れて、流動性の高い物件を選びたい方
ワンルームマンション投資は、不動産投資の基本を学びながら、比較的リスクを抑えてスタートしたい方に適しています。
「安定した収益」「キャピタルゲインも狙いたい」投資家はファミリータイプマンション
長期入居で安定収入を重視する方
- 一度入居者が決まれば、長期的な安定収入を得たい方
- 自己資金が潤沢で、高額な物件にも投資できる方
- 将来的に物件を売却し、キャピタルゲイン(売却益)も狙いたい方
ファミリータイプマンション投資は、ある程度の自己資金があり、安定志向の投資家や、将来的な値上がりも期待したい方に向いています。
まとめ

ワンルームマンションとファミリータイプマンション、どちらが有利かは、投資家自身の目的、資金力、リスク許容度によって大きく異なります。
主要項目
- 初期費用を抑えたい、リスクを分散したいなら ワンルームマンション
- 安定した長期収入を得たい、大きな家賃収入を狙うなら ファミリータイプマンション
それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身のライフプランや投資スタイルに合った物件を選ぶことが、成功への第一歩となります。最終的には、物件の立地や築年数、管理体制など、個別の条件をしっかりと見極めることが重要です。まずは信頼できる不動産会社に相談し、複数の物件を比較検討することから始めてみましょう。