この記事の3行まとめ
- 議事録は区分所有法で作成が義務づけられている
- 記載項目と記入例を押さえれば初めてでも書ける
- 完成前に5つの注意点をチェックしてトラブルを防ぐ
マンション総会の議事録を任されたものの、「何をどこまで書けばいいのか」と悩んでいませんか。実は、議事録の作成は区分所有法という法律で義務づけられており、不備があると20万円以下の過料を受ける場合があります。
とはいえ、記載すべき項目と作成の流れを事前に把握しておけば、初めての方でもスムーズに仕上げられるはずです。この記事では、議事録の書き方を記入例つきでわかりやすく解説します。この記事を読めば、総会当日から配布までの全体像がつかめるでしょう。
マンション総会の議事録に書くべき項目と記入例

マンション総会の議事録は、管理組合の意思決定を正式に残す書類です。「何となく書けばいい」では済まず、法律で記載内容や署名のルールが定められています。
ここでは、まず法律上のルールを確認したうえで、実際の記入例を紹介します。
区分所有法で定められた記載ルールを確認しよう
議事録のルールを定めているのは、区分所有法(正式名称:建物の区分所有等に関する法律)の第42条です。この条文では、次の3つが義務として定められています。
- 議長(通常は理事長)が書面または電子データで議事録を作成する
- 「議事の経過の要領」と「その結果」を記載する
- 議長と、総会に出席した区分所有者2名の合計3名が署名・押印する
ここで注意したいのが「議事の経過の要領」という表現です。一言一句を書き起こす必要はなく、各議案の審議内容を要約して記録すれば問題ありません。一方で、作成を怠ったり事実と異なる内容を記載したりすると、20万円以下の過料に処される可能性があります。
議事録に盛り込むべき項目は、次のとおりです。
- 開催日時と場所
- 組合員総数と議決権総数
- 出席議決権数(本人出席・委任状・議決権行使書面の内訳)
- 議長の選任と開会宣言
- 各議案の説明概要と採決結果
- 質疑応答の要点(採決に影響する重要な発言)
- 閉会宣言と閉会時刻
- 議長および署名人2名の署名・押印
質疑応答つき記入例で書き方をイメージする
項目を確認したら、実際の記入例を見てみましょう。質疑応答は書き方に迷いやすく、実務では「どこまで書くか」の判断が求められます。ポイントは、採決に影響を及ぼす発言だけを要約して残すことです。
令和○年○月○日(○)午前○時○分より、○○集会室において、令和○年度定期総会を開催した。
組合員数 ○○名議決権総数 ○○個出席議決権数 ○○個(委任状出席を含む)
管理規約第○条に定める総会成立要件を満たし、理事長○○○○が議長として選任され審議に入った。
【第1号議案】 令和○年度事業報告および収支決算報告承認の件
議長より事業報告および収支決算について説明があった。
質疑:○○号室の組合員より、修繕積立金の使途について質問があり、理事長が内訳を説明した。
採決の結果、賛成多数で承認された。【第2号議案】 令和○年度事業計画および収支予算案承認の件
議長より事業計画案および収支予算案について説明があった。
採決の結果、賛成多数で承認された。議長は、以上をもって本日の議事を終了した旨を述べ、午前○時○分閉会を宣言した。
以上の議事を明確にするため、この議事録を作成し、議長及び出席者が署名押印する。
令和○年○月○日令和○年度定期総会
議 長 (署名・押印)
出席者 (署名・押印)
出席者 (署名・押印)
質疑応答については、すべてのやりとりを記録する必要はありません。採決に影響しない雑談や脱線した発言は省略して構わないので、要点だけを簡潔にまとめましょう。
理事長が押さえるべき議事録作成の流れと5つの注意点

議事録の記載項目がわかったら、次に気になるのは「いつ・誰が・どう作るか」という実務の流れです。管理会社に委託しているマンションと自主管理のマンションでは手順が異なります。
ここでは多くのマンションで採用されている管理会社との連携パターンを解説します。
草案の受け取りから署名・配布までの3ステップ
議事録が完成するまでの流れは、大きく3つのステップに分かれます。
- ステップ1:管理会社の担当者(フロントマン)が草案を作成する
総会終了後、記憶が鮮明なうちに着手してもらうよう依頼しましょう。目安として、総会後3日〜1週間以内に草案を受け取れると安心です。 - ステップ2:理事長が草案の内容を確認し、加筆・修正を行う
議決権の数や採決結果に誤りがないか、記載漏れがないかを重点的にチェックします。管理会社任せにせず、理事長自身が責任を持って内容を精査します。 - ステップ3:議長と署名人2名の合計3名が署名・押印し、各区分所有者へ配布する
原本は管理事務室などで保管し、配布にはコピーを使用します。単身赴任などでマンション外に居住している組合員には郵送しましょう。
法律上、議事録の作成期限は定められていません。ただし、利害関係人から閲覧の申し出があった場合には応じる義務があるため、総会後1ヶ月以内の完成を目標にすると安全です。
完成前に確認したい5つの注意点
議事録を仕上げる前に、次の5つをチェックしておくとトラブルを防げます。
| 注意点 | 確認すべき内容 |
| 事実と異なる記載をしない | 議決権数・採決結果を出欠データと照合する |
| 総会後できるだけ早く仕上げる | 草案依頼は総会翌日、完成は1ヶ月以内が目安 |
| テンプレートで体裁を統一する | フォント・記載項目を決めて担当者間で共有する |
| 原本を確実に保管する | 署名・押印済みの原本は管理事務室で永久保存する |
| 総会の議論を録音しておく | 冒頭で出席者の了承を得たうえで録音する |
とくに注意したいのは、事実と異なる記載です。議決権の数に誤りがあると、後日「決議が無効ではないか」と問われかねません。当日の出欠データと照らし合わせて、数字の正確性を必ず確かめましょう。
まとめ|正確な議事録で総会の決定事項を守ろう

マンション総会の議事録は、区分所有法で作成が義務づけられた公式な記録です。記載すべき項目を把握し、管理会社と連携しながらスピーディーに仕上げれば、不備のない議事録が完成します。
とくに初めて担当する方は、本記事で紹介した記入例とチェックポイントを手元に置いて作業に取りかかってみましょう。正確な議事録を残すことで、管理組合の運営に対する住民の信頼を高められるでしょう。